【宗谷地方の気候】全体の傾向・季節や地域ごとの特徴は?

自然・気候

北海道・日本国内では最も北側に位置する「宗谷地方(宗谷総合振興局管内)」。

緯度が高い地域に位置することから「とても寒冷」なイメージがありますが、気候的特徴は「海」の影響も強く受けるため、単に寒いだけではない場合もあります。

こちらでは、宗谷地方の気候の特徴を、全体的傾向・季節や地域ごとの傾向といったテーマごとに見て行きます。

宗谷地方の気候「全体的特徴」

宗谷地方の位置(出典:地理院地図・一部作図)
観測地点平均気温降水量日照時間平均風速最深積雪
稚内7.0℃1109.2mm1446.9時間4.6m/s72cm
北見枝幸6.3℃1159.6mm1504.6時間3.8m/s104cm
沓形7.4℃916.2mm1492.5時間3.8m/s観測なし
豊富6.3℃1030.8mm1333.5時間2.8m/s91cm
浜鬼志別5.6℃995.0mm1530.3時間4.9m/s平年値なし

宗谷地方は、北海道のみならず「日本国内」でも最も北側に位置する地域です。地理的には西を「日本海」・東を「オホーツク海」に挟まれた環境で沿岸部が多く、内陸部も含め海からの距離が近い環境となっています。また、北側は標高が高い地域が少なく、山間部も含め比較的ゆるやかな地形であることも大きな特徴です。

緯度は北緯45度付近となっており、赤道から北極までのちょうど「中間点」付近にあたります。

宗谷地方の気候面での全体的特徴としては、主に以下のようなポイントが挙げられます。

気候のポイント【その1】「寒冷な地域」

・緯度が高いため、日本国内では最も「北からの寒気が流れ込みやすい地域」です。
・全体的に寒冷な傾向が強く、1年を通して気温は低めです。
・海に近い場所は気温差が抑えられ、稚内など一部は「緯度の割に温暖」な気温となる場合があります。

気候のポイント【その2】「海に囲まれた条件」

・海に挟まれた地理的特徴を持ち、海から流れ込む気流の影響を1年を通して受ける地域です
・具体的には冬場の「沿岸部の気温の高さ」、夏場の「日照不足」、また「1年を通しての強風」等をもたらします。

気候のポイント【その3】「雪の降り方」

・地域ごとの雪の量に大きな差が生じやすい地域です。
・宗谷岬周辺や利尻・礼文島では雪が少なくなりやすい一方、南側の枝幸・歌登方面は道内屈指の豪雪地です。
沿岸部よりも「オホーツク海側内陸(山間)部」で雪が多くなる特徴があります。

宗谷地方の気候「季節ごとの特徴」

春の気候

観測地点平均気温降水量日照時間最深積雪
稚内4.3℃173.5mm492.6時間58cm
北見枝幸4.0℃190.4mm483.7時間98cm
沓形4.6℃143.4mm490.4時間観測なし
豊富3.9℃154.8mm444.0時間80cm
浜鬼志別3.2℃150.3mm506.1時間69cm
春(3~5月)の平年値
気温

・宗谷地方全域で「低め」の傾向が強い時期です。
・特に海沿いは「昼間の気温」が上がりにくい傾向があります。
・枝幸方面などオホーツク海の一部ではまれに「汗ばむ陽気」となります。

天気

・1年の中では「最もよく晴れる時期」・「雨が最も少ない時期」です。
・3月までは雪の日も多いですが、4月以降は天気の良い日が続きやすくなります。

・3月まではまとまった雪が降りやすい状況です。
「根雪」は4月まで残る場合もあります。
・歌登、中頓別などオホーツク海側の豪雪地は雪が消える時期が遅く、4月半ば以降の年があります。

夏の気候

観測地点平均気温降水量日照時間
稚内16.6℃289.8mm448.1時間
北見枝幸16.0℃348.8mm392.2時間
沓形17.2℃274.1mm467.9時間
豊富17.0℃291.9mm402.3時間
浜鬼志別15.4℃297.9mm399.7時間
夏(6~8月)の平年値
気温

道内では気温が低めの地域です。
・冷たい海水温の影響で、特に6月の気温の低さが目立ちます。
・宗谷地方の北側、離島部では真夏でも「暑い日」がほぼない年があります。
・枝幸町は山を越えて風が吹きこむ「フェーン現象」がやや起きやすく、宗谷地方では最も「真夏部(最高気温30℃以上)」になりやすい環境です。

天気

オホーツク海からの湿った気流の影響を受けやすく、どんよりした天気も目立ちます。
・海沿いでは降水量が観測されないような「霧雨」となる頻度がやや多めです。
・まとまった雨は6月までは少なく、以降はやや増加します。

秋の気候

観測地点平均気温降水量日照時間最深積雪
稚内10.8℃387.7mm362.6時間15cm
北見枝幸9.9℃386.7mm376.6時間23cm
沓形10.9℃341.8mm378.5時間観測なし
豊富9.4℃385.1mm338.8時間18cm
浜鬼志別9.0℃347.2mm402.5時間22cm
秋(9~11月)の平年値
気温

気温の地域差がやや目立つ時期です。
・内陸部は冷え込むペースが急で、道内でも寒さが早く訪れます。
・稚内方面、利尻、礼文島方面など日本海沿岸は海水温の影響で、緯度の割には温暖な傾向が見られます。

天気

9月は比較的よく晴れる一方、雨量が最も多い時期です。
・10月以降「冬型の気圧配置」が増えるに従い、急激に晴れ間が減少します。
・11月は曇りや雪、雨が多い天気になります。

初雪は道内で最も早い地域です。
・内陸部では11月中から多めの雪が降る傾向があります。
・沿岸部の降雪量は旭川、岩見沢などと比べやや少ない傾向があります。

冬の気候

観測地点平均気温降水量日照時間最深積雪
稚内-3.5℃261.0mm143.9時間69cm
北見枝幸-4.6℃236.3mm247.3時間98cm
沓形-3.2℃155.1mm154.9時間観測なし
豊富-5.2℃202.6mm148.5時間90cm
浜鬼志別-5.1℃195.9mm227.0時間79cm
冬(12~2月)の平年値
気温

・内陸部は道内の中でも「特に寒い地域」の一つです。
・内陸部の冷え込みは時に-30℃前後に達します。
日本海沿岸の地域は寒いものの「緯度の割には温暖」な傾向が見られます。

天気

・日本海側から断続的に雲が流れ込むため、日照時間がかなり少なくなります。
・日照時間は12月が底で、2月には増加傾向になります。
・雪が多いオホーツク海側の方が、晴れ間は多くなる特徴があります。

オホーツク海側の内陸部(山間部)道内屈指の豪雪地で、積雪が2m以上となる場合があります。
・利尻島の一部などを除き、どの地域も雪は比較的多く降ります。
・風が強いため、沿岸部では地吹雪やホワイトアウト状態となりやすい環境です。

その他

・オホーツク海側では流氷が接岸する場合があります。
・流氷は稚内に近づくほど接岸の頻度が減り、接岸しない年も多くなります。

各地域ごとの傾向まとめ

季節ごとの傾向で解説した内容も含め、宗谷地方の各自治体ごとの「気候の特徴」について特に重要なポイントを改めてまとめると、以下の通りです。

稚内市・市内の南側(内陸部)へ行くほど冷え込みやすく、雪が多くなる傾向があります。
豊富町
幌延町
・雪は稚内よりやや多い傾向です。
・内陸部は非常に厳しい冷え込みが特徴です。
猿払村
浜頓別町
・雪は稚内と同等~少し多い程度です。
・海沿いでも気温は低い地域です。
・特に春の時期は宗谷地方で最も寒く、他地域との気温差が大きくなります。
中頓別町・道内屈指の寒さと降雪量となる地域です。
枝幸町・歌登地区は中頓別と同様に、道内屈指の寒さと雪が特徴です。
・沿岸部にある町中心部も雪が多い地域です。
・山地から風が吹き込む(フェーン現象)影響で、最も夏場の気温が上がりやすい地域です。
・冬場の日照時間は「雪が多い」地域ながら最も多めです。
利尻町
利尻富士町
礼文町
・離島のため他地域とは気候が異なる傾向が強い地域です。
・雨量は大半の沿岸部では少な目(利尻島の山間部や本泊地区は多め)となります。

拠点都市である稚内市の気候については、上記の記事で別途解説しております。

宗谷地方と「札幌」を比較すると?

宗谷地方の気候を、北海道の中心都市「札幌市」と比較すると、主な項目では以下のような違い・共通点が挙げられます。

気温

・季節、時期を問わず札幌が「常に」高い状況です。
・海水温の影響で、秋は札幌との気温差が最も小さい時期になります。
・冬場は沿岸部の気温差はそれほど大きくありませんが、冷え込む内陸部との気温差は非常に大きくなります。

天気

・全体的には札幌の方が「よく晴れる」傾向にあります。
・冬場は特に差が大きく、札幌と宗谷地方の日照時間差は倍以上になることがあります。
降水量は、多く降る時期や年間の量も含め、比較的似た傾向が見られます。

・オホーツク海側は札幌と同等かやや雪が多く、日本海側へ行くと札幌より少な目となります。
・気温が低い宗谷地方の方が「少ない雨量で多く降る」傾向が見られます。

道内各地方の気候については、それぞれ個別の記事において解説しております。