【東大寺南大門】阿吽の「金剛力士像」で大変有名な日本最大規模の山門

東大寺南大門 観光スポット・みどころ

当ページの内容を含め、奈良の観光スポットに関する内容は原則としてコロナ禍前を中心とした状況に基づく「アーカイブ」的内容となっており、その後状況が変化している場合があります。
最新の状況については、各スポットに関する公式サイト、または観光協会などの情報発信などを別途ご確認下さい。

観光のご案内

概要・歴史

東大寺南大門は、東大寺境内の中でもとりわけ多くの観光客が訪れる「東大寺大仏殿」へと向かう参道の途中に位置する山門で、規模としては高さ25メートルにも及ぶ「日本国内最大規模」の実に巨大な山門(国宝)です。

圧倒的な存在感を放つ門の規模は遠くからも目立つほど大変大きく堂々としたものである一方、鎌倉時代の建築様式を反映させた「繊細さ」を感じさせるものでもあり、門自体も奈良を代表する観光スポット・東大寺の主要な見どころの一つとなっています。

東大寺境内の重要なランドマークとも言える「南大門」ですが、その歴史は大仏殿等と同じく「奈良時代」にまで遡ります。

奈良時代から建設されていた門は、平安時代中期の応和2年(962年)8月に台風の被害を受け倒壊し現存しませんが、200年以上経過した鎌倉時代の正治元年(1199年)に東大寺中興の祖として現在も広く知られる重源上人が指揮を取る中で南大門は復興され、これが現在の南大門となっています。

建築様式

門の高さが25メートル、門を支える巨大な柱の長さは21メートルにも及ぶ、日本最大の「門」である南大門の建築様式「大仏様(だいぶつよう)」(※天竺様(てんじくよう)とも呼ばれる)と呼ばれるものを取り入れています。

これは鎌倉時代に東大寺を復興した僧侶の一人であるである「重源」上人が当時の中国にあった「宋」出身の技術者である陳和卿(ちんなけい)とともに東大寺復興で活用した建築技術であると言われており、大仏様を採用した南大門は多くの円柱や貫と呼ばれる柱が張り巡らされ、建物の内部は天井がなく吹き抜けのようにすっきりとした構造になっています。

このような中国由来の建築技法を取り入れることで、見た目の上ではシンプルに、また実用的な観点からは大変丈夫な地震に比較的強い建築として現在までその立派な姿を残してきたのです。

なお、奈良の代表的な大仏様の様式を持つ建築としては、この他にも般若寺楼門等があります。

「金剛力士像」などの見どころ

南大門に関しては、上述したような「建築」のみどころのみならず、最大の名物としては門の左右に「金剛力士像(仁王像)」が設置されていることでも大変有名です。

正面から見て門の左側には阿形像右側には吽形像が安置されていますが、これらは鎌倉時代の天才的仏師(仏像を造る職人)である運慶が指揮をとり、快慶らとともに彫り上げたもので、門が完成した後、建仁3年(1203年)にわずか69日間の製作期間で造り上げられたと言われています。

なお、夜間には阿吽も含め周辺がライトアップされ、運慶らの「才能」をひときわダイナミックに鑑賞して頂けます。

ちなみに、「金剛力士像」とは、この南大門の最大級の「仁王像」のみならず小さなものも含めると全国各地にみられるもので、「阿吽」は、それぞれ「宇宙のはじまり・終わり」を表した存在であると言われています。

その他には、余り気づかれない内容としては、南大門の裏手にユニークな「狛犬(石獅子)」がひっそりと佇んでいます。

この狛犬は制作時期が判明しているものとしては日本最古のものにあたるとされています。阿吽をご覧になった後は、是非狛犬もご確認下さい。

混雑状況

様々な見どころがある「南大門」ですが、南大門は奈良随一の観光スポットである東大寺の主要な動線上にあり、年間を通して京都の主要観光地と同じくらいの大変なにぎわいを見せています。

そのため、昼間時間帯は静かな風情を楽しんで頂くことは限りなく難しい状況です。

東大寺に広がるひっそりとした風情と、阿吽などの凄みをじっくりと味わいたい方は、スケジュールを立てられるならば「夜間もしくは早朝時間帯」にご訪問されることを強くお勧めします。

早朝や夜間の一部時間帯でもJR・近鉄奈良駅からはバスでスムーズなアクセスが可能となっています。

東大寺の混雑状況については、上記の記事で別途詳しく解説しています。

東大寺南大門のみどころ・風景

正面から望む

東大寺南大門を正面から望む

東大寺南大門周辺は、日中は年間を通して多くの観光客でごった返しており、この写真のように夜間でない時間帯に静かな風景が見られるのは、早朝時間帯のみとなっています。

東大寺南大門から大仏殿を望む

正面から望むと、堂々とした門の後ろには大仏殿も望むことが可能で、まさに「東大寺」を象徴するダイナミックな風景となっています。

裏手から望む

東大寺南大門を北側から望む

東大寺南大門は鎌倉時代からそのまま受け継がれてきた建築様式を留めており、近くから見るほど、その時代の経過を感じさせる「風格」を感じることができます。なお、裏手(大仏殿側)から望むと、「扁額」が設けられていない分、建築様式をすっきりと見渡して頂けるようになっています。

金剛力士像

東大寺南大門金剛力士像「阿行(あぎょう)像」

左右に設けられた「金剛力士像」のうち、こちらは左側(西側)の「阿形」像

一般的な金剛力士像の傾向と同じく、「阿形」のほうは怒りの表情が強く表れていることが特徴になっています。

東大寺南大門金剛力士像「吽行(うんぎょう)像」

そしてこちらは右側(東側)にある「吽形」像

こちらは口を閉じており、怒りを内に秘めたような比較的スマートなお姿をしておられます。

狛犬

東大寺南大門の狛犬

阿吽のスケールに圧倒されて見落としてしまいがちですが、門の北側には日本最古の巨大な「狛犬(石獅子)」が堂々とした姿で門をお守りしています。

次項では、交通アクセスについてご案内致します。

アクセス(電車・バス)

奈良交通バスによるアクセス

JR奈良駅(東口)、近鉄奈良駅バスのりばから「市内循環外回り」・「高畑町(奈良公園)」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」・「山村町」・「鹿野園町」・「奈良佐保短期大学」・「藤原台」行き乗車、「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停下車、北に徒歩4分

JR奈良駅(東口)、近鉄奈良駅バスのりばから「春日大社本殿」行き乗車、「東大寺大仏殿」バス停下車、北に徒歩4分

徒歩によるアクセス

近鉄奈良駅から東に徒歩約15~20分
JR奈良駅から東に徒歩約25~35分

東大寺南大門へは、東大寺大仏殿・春日大社前バス停からはバスを降りて左側(北側)に向けて歩き、横断歩道を渡っていきます。基本的に直進するだけですので、アクセスに迷うようなことはありません。

なお、運行本数面を考慮すると上記の市内循環等の奈良交通バスのご利用がおすすめですが、「ぐるっとバス(大宮通りルート・奈良公園ルート)」の「大仏殿前駐車場」バス停などをご利用頂くことも可能です。

南大門を含む東大寺境内へは、車によるアクセスは観光シーズン等にはかえって不便ですので、基本的には公共交通機関のご利用をおすすめします。

南大門周辺スポット・地図

東大寺境内の各観光スポットのご案内

◇東大寺境内の定番観光スポット
大仏殿 東大寺ミュージアム 二月堂 三月堂(法華堂) 戒壇堂 正倉院 鐘楼

南大門は、東大寺境内の中では最も南側に位置します。大仏殿へは北に徒歩3分程、二月堂や法華堂のある上院地区へも北東に徒歩約8~10分程度となっています。

周辺エリアの観光スポット

氷室神社へ南西に徒歩約3分
奈良公園春日野園地・浮雲園地へ西~南東に徒歩約3分
奈良国立博物館へ南西に徒歩約4分
飛火野へ南に徒歩約6分
奈良公園浅茅ヶ原園地片岡梅林)へ南に徒歩約7~8分

南大門からは、東大寺境内外の各主要観光スポットへも近くなっています。

東大寺南大門周辺地図

南大門は参道沿いにありますので、迷うようなことはありません。バス停周辺や駅からの徒歩ルートも含め、「東大寺」と記された案内表示も充実しています。