札幌市の「最低気温ランキング」【観測史上・平成以降最も寒い日は?】

世界で最も「雪の多い大都市」として知られる札幌は、冬の寒さもかなりのものですが、過去に観測された最低気温・最も寒い気温の記録はどうなっているのでしょうか。

こちらでは、札幌の気象台で観測された「最低気温」の記録について、「最低気温の低い値」・「最高気温の低い値」、観測がはじまってからの歴代記録・平成以降の記録・月別の記録など各区分ごとにじっくり解説していきます。

札幌気象台「観測史上」最低気温ランキング

順位最低気温の低い記録
1位-28.5℃(1929年2月1日)
2位-27.0℃(1922年1月18日)
3位-26.8℃(1922年1月19日)
4位-25.6℃(1893年2月13日)
5位-25.6℃(1885年2月18日)
6位-25.5℃(1919年1月30日)
7位-25.0℃(1909年1月13日)
8位-24.7℃(1904年1月4日)
9位-24.7℃(1885年1月30日)
10位-24.7℃(1880年12月24日)
順位最高気温の低い記録
1位-11.7℃(1933年12月27日)
2位-11.0℃(1911年1月2日)
3位-11.0℃(1909年1月13日)
4位-10.9℃(1902年1月24日)
5位-10.8℃(1933年2月11日)
6位-10.8℃(1909年1月12日)
7位-10.8℃(1908年1月17日)
8位-10.8℃(1897年1月23日)
9位-10.7℃(1909年1月11日)
10位-10.6℃(1913年1月26日)

明治時代に札幌で気象観測が始まってからの100年をはるかに越える期間全体の「最低気温ランキング」を見てみると、全てが1930年代以前の記録となっており、戦後や平成以降には低い気温の記録は一切観測されていません。

札幌は明治時代は都市化が進んでおらず、昭和の戦中戦後期に人口が急増した都市です。

地球温暖化の影響で全国どこでも気温は上がっていますが、都市化の影響がない場所であれば2℃程度の上昇であるところが、札幌の場合都市化で地上が冷やされにくく「熱がこもる」いわゆる「ヒートアイランド現象」が顕著に見られるようになったことから、冬の朝の最低気温は6~7℃ほど(昼間はそれほど極端な上昇はありません)平均で上昇し、かつてのように-20℃台の気温はまず観測されなくなりました。

そのため、歴代の「観測史上最低気温ランキング」の数字を並べてみても、現在の数字が一切ないため、やや参考にしづらい点があります。

但し、都市部から少しでも離れれば(農地・平原・山麓部など)今でも-20℃台の冷え込みはありますので、札幌市内でも地域による気温差がかなり大きくなっています。

札幌で発生する「ヒートアイランド現象」の状況については、上記の記事で別途詳しく解説しています。

札幌気象台「平成以降」の最低気温ランキング

順位最低気温の低い記録
1位-16.0℃(1991年2月20日)
2位-15.8℃(1998年2月7日)
3位-15.6℃(1990年1月24日)
4位-15.0℃(2001年1月14日)
5位-15.0℃(1990年1月27日)
6位-14.9℃(2020年2月9日)
7位-14.8℃(2003年1月15日)
8位-14.7℃(2000年1月27日)
9位-14.5℃(2001年1月15日)
10位-14.5℃(1998年1月24日)
順位最高気温の低い記録
1位-10.1℃(2019年2月8日)
2位-9.9℃(1996年2月1日)
3位-9.6℃(1996年1月31日)
4位-9.5℃(2010年2月3日)
5位-9.5℃(2001年2月3日)
6位-9.1℃(2000年1月26日)
7位-8.9℃(2021年1月1日)
8位-8.5℃(2001年1月12日)
9位-8.4℃(2021年2月3日)
10位-7.8℃(2001年2月12日)

最低を記録した気温の記録を平成以降(1989年)に限定した場合、最低気温の値は大きく異なり、明治~昭和初期にあったような-20℃台の数字は一切ありません。ヒートアイランド現象によって、温暖化で上昇した分を差し引いて考えても、10℃近く市街地の気温が上がっていることがわかります。

一方で、最高気温の記録を見た場合、確かに戦前の時代に観測されたような気温にはなっていないものの、最低気温の記録と比べると、余り極端な変化はないことがわかります。

札幌気象台「月別」の最低気温ランキング

最低気温の最低値(歴代)最低気温の最低値(平成以降)最高気温の最低値(歴代)最高気温の最低値(平成以降)
1月-27.0℃
(1922年1月18日)
-15.6℃
(1990年1月24日)
-11.0℃
(1911年1月2日)
-9.6℃
(1996年1月31日)
2月-28.5℃
(1929年2月1日)
-16.0℃
(1991年2月20日)
-10.8℃
(1933年2月11日)
-10.1℃
(2019年2月8日)
3月-22.6℃
(1910年3月4日)
-11.9℃
(2001年3月10日)
-8.6℃
(1895年3月1日)
-4.3℃
(2001年3月9日)
4月-14.6℃
(1929年4月3日)
-4.4℃(2012年4月8日)-2.9℃
(1883年4月1日)
1.1℃
(1999年4月7日)
5月-4.2℃
(1893年5月6日)
1.7℃
(2016年5月2日)
4.5℃
(1885年5月13日
5.8℃
(2013年5月3日)
6月0.0℃
(1906年6月1日)
6.1℃
(1996年6月6日)
8.8℃
(1941年6月8日)
11.2℃
(1997年6月9日)
7月5.2℃
(1900年7月8日)
10.3℃
(1989年7月3日)
13.5℃
(1913年7月3日)
15.8℃
(2005年8月6日)
8月5.3℃
(1902年8月27日)
12.5℃
(2017年8月30日)
15.5℃(1884年8月26日)18.3℃
(1997年8月12日)
9月-0.9℃
(1906年9月29日)
5.4℃
(1992年9月29日)
11.9℃
(1971年9月26日)
13.8℃
(1994年9月20日)
10月-4.4℃
(1924年10月30日)
-0.1℃
(1996年10月26日)
1.3℃
(1941年10月27日)
4.1℃
(2016年10月30日)
11月-15.5℃
(1884年11月27日)
-7.0℃
(2016年11月23日)
-4.7℃
(1987年11月28日)
-2.4℃
(2001年11月27日)
12月-24.7℃
(1880年12月24日)
-13.5℃
(2012年12月25日)
-11.7℃
(1937年12月27日)
-7.1℃
(2002年12月11日)

月別の最低気温・最高気温の最低値を見ていくと、やはり歴代の低い気温は、最高気温の最低値の一部を除き、全てが都市化が進む戦前のもので、余りデータとしては参考になりません。

より現実的なデータとして、平成以降のものを見ていくと、ヒートアイランド現象の影響でかつての低い気温と比べると真冬に限らず春・夏・秋においても大幅に最低気温が上昇していることが分かります。但し、歴代最低の気温と平成最低の気温の「差」を見ると、冬以外の季節のほうがその差がやや小さいため、ヒートアイランド現象によって「放射冷却」が抑えられる効果は、真冬のシーズンに最も大きくなることも確認できるでしょう。

なお、7月・8月を除いては最低気温が10℃以下の日が近年でも観測されているように、現在でも札幌は本州各地と比べ、大変涼しい場所であることには変わりありません。

地上の天気図だけでは読み取れない内容としては、この年はアフリカ・南アジア方面から日本付近の広範囲を覆うことがある「チベット高気圧(この高気圧は地上付近ではなく、高度10km以上など「高層」のみ観測される高気圧)」が、北海道付近にまで影響を及ぼしていた状況もありました。地上から概ね高度5km少々まで影響を及ぼす「太平洋高気圧」、更にその上空を覆う「チベット高気圧」、この高気圧のダブル効果、そして台風などから吹き込む南風によって、札幌では観測史上最長となる18日連続の真夏日と、3日間の猛暑日が観測されることになったのです。

札幌の様々な「気温」に関するテーマについては、上記の記事で別途解説しております。