世界的観光都市である京都市が県庁所在地となっている「京都府」は、日本海側の地域も府内に含まれるため、地理・気候面での特徴の違いは地域ごとに大きくなっています。
こちらでは、京都府内の「雪事情」について、地域ごとの大まかな傾向などをまとめて見ていきます。
京都府内観測地点の「基本雪データ」
観測地点名 | 年間降雪量 (cm) | 年間最深積雪 (cm) | 積雪5cm≧ 年間平年日数 | 過去最大の積雪深 (cm) |
---|---|---|---|---|
峰山(京丹後市) | 224 | 46 | 31.9 | 110(2011/1/31) |
美山(南丹市) | 179 | 34 | 22.0 | 74(1982/1/30) |
舞鶴(舞鶴市) | 135 | 33 | 19.0 | 87(2012/2/2) |
京都(京都市) | 15 | 7 | 1.2 | 41(1954/1/26) |
【参考】東京 | 8 | 6 | 1.2 | 46(1883/2/8) |
京都府内では4箇所の地点で、気象庁による「雪の観測」が実施されています。
最も雪が多い地点は北部の中でも北側に位置する京丹後市の峰山アメダスで、平均すれば1年に合計1ヶ月以上は雪が積もるような環境です。
京都市の雪については、北部と比べるとかなり少なくなっており、積もらない訳ではありませんが、積雪は比較的まれな現象となっています。
なお、雪に関する観測は、気象庁のみならず京都府による観測も別途多数の地点(北部山沿いを中心)で実施されています。京都府が実施する観測地点では、雪が多い年には積雪1mを大きく上回る地点もあり、気象庁のデータと比べ「豪雪地」の存在を実感しやすいデータとなっています。
京都府内「地域ごとの雪事情」とは?
京都市周辺
雪の頻度 | ・南北で大きく異なる(南側は少なく、北側で多い) ・市街地の場合一部を除き多くはなく、時折雪が降る程度 ・市街地でも京都市北部(岩倉方面)など一部ではやや降りやすい傾向 |
雪の量 | ・市街地の場合うっすら程度が最多、多い場合まれに10cm以上 ・北区、左京区の山地では50cm以上のケースもあるなど「豪雪地」に近い環境 |
雪の時期 | ・12~2月が多い ・3月の雪はまれ ・11月、4月の雪は一部山地でまれに見られる程度 |
雪の要因 | ・「冬型の気圧配置」の際に雪雲が北寄りから入り込む場合に降る ・「南岸低気圧」による雪も極めてまれに見られる |
京都市の雪事情の概要については、上記の記事で別途解説しています。
山城地域
雪の頻度 | ・降ることが少ない ・山沿いであっても雪の頻度は多くない |
雪の量 | ・そもそも積もる機会がまれ ・積もる場合もうっすら〜数cm程度がほとんど ・山沿いの一部では時折10cm以上積もる(南山城村童仙房方面など) |
雪の時期 | ・12~2月が多い ・3月の雪はまれな現象 |
雪の要因 | ・「強い冬型の気圧配置」の際に「京都市を越えて」雪雲が入り込むケース(JPCZと呼ばれる雲の帯の影響が大半)で降る ・「南岸低気圧」による雪もまれに見られる |
南丹地域
雪の頻度 | ・北側ほど時折降りやすい環境 ・年ごとの差は大きく、頻繁に降る年、余り降らない年など様々 |
雪の量 | ・地域差が大きく、南丹市美山地区は豪雪地帯に指定 ・美山方面では多い場合30〜50cm、まれにそれ以上積もるケースも ・園部地区など南側ではうっすら〜10cm台程度の場合が多い ・一部の標高が高い地域では「根雪」の場合あり |
雪の時期 | ・12~2月が特に多い ・3月の雪も時折見られる ・11月、4月の雪は山地を除きほぼない |
雪の要因 | ・「冬型の気圧配置」の際に北〜北西方向から雲が入る場合に降りやすい ・降るエリアは微妙な風向きの違いで変化する場合あり ・「南岸低気圧」による雪はまれに見られる程度 |
中丹地域
雪の頻度 | ・時折雪が降りやすい地域 ・年ごとの差は大きく、頻繁に降る年、余り降らない年など様々 |
雪の量 | ・積もる場合の量は様々、まとまって積もることも比較的多い(一部を除き豪雪地帯指定) ・大雪となる場合30cm以上、まれに50cm以上のケースも |
雪の時期 | ・12~2月が特に多い ・3月の雪も時折見られる ・11月、4月の雪は山地を除きほぼない |
雪の要因 | ・「冬型の気圧配置」の際に北西方向(福知山寄り)〜やや西北西方向(舞鶴寄り)から雲が入る場合に降りやすい ・大雪のケースはJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の影響が大きい ・西風の際にはほぼ降らない(丹後地域で雪が増えるケース) ・「南岸低気圧」による雪はまれに見られる程度 |
福知山市・綾部市・舞鶴市の雪事情の概要については、上記の記事で別途解説しています。
丹後地域
雪の頻度 | ・雪が京都府内で最も降りやすい ・寒い年は連日のように降る場合も ・暖冬年は降らない期間が長いなど、年ごとの差は大きい |
雪の量 | ・まとまって積もることも多い(全域豪雪地帯指定) ・平地で20〜30cm程度の積雪はそれほど珍しくない ・平地で大雪となる場合50cm以上のケースも ・平地で1m以上の積雪はほぼない ・山地では1メートル以上の積雪が一般的な地域あり |
雪の時期 | ・12~2月が多い ・3月の雪も時に見られる ・11月、4月の雪はかなりまれ |
雪の要因 | ・「冬型の気圧配置」の際に西〜西北西方向(地域差あり)から雲が入る場合に降りやすい ・大雪のケースはJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の影響が大きい ・わずかな風向きの違いで大きな違いが生じる場合あり(丹後半島の一部のみ雪となるケースなど) ・「南岸低気圧」による雪はかなりまれ |
京丹後市・宮津市の雪事情の概要については、上記の記事で別途解説しています。
京都府の雪「ここがポイント」
京都府には「日本海側・豪雪地帯」がある
京都府というと、京都市のイメージが非常に強いため、大阪などに近い地域として扱われやすい存在ですが、実際には南北にかなり細長い県となっており、日本海側にもその区域が広がっています。
日本海側にあたる京都府北部の丹後・中丹地域については、先述の通り雪が一般的に降る・降りやすい地域であり、豪雪地帯の指定を受けており、時にはかなりまとまった量の積雪が見られます。
車などで観光に訪れる場合、雪が少ない南部の地域・雪が多い北部の地域に分かれるという点を注意した上でアクセスする必要があります。
少しの風向きの違いで状況が大きく変化
京都府で降る雪は、多くのケースで「冬型の気圧配置(西高東低)」に伴う雪であり、その頻度は日本海側の地域で多くなっています。冬型の気圧配置の際に雪が降るかどうかは、基本的に雲の動き(風向き)・発達の度合いによって決まります。
雲の動きが真西であれば、丹後半島の北端部のみ雪が降るパターンとなり、西北西になると宮津方面などやや南側でも雪が降るようになり、北西になると福知山・綾部・美山方面まで雪雲が降りて来ます。北北西方向など北寄りの成分が大きくなると、雲が発達しやすい状況では京都市街地にも雪雲が入るケースがあり、時に積雪をもたらします。
大まかには、西寄りから雲が入りやすい状況ほど、北部の日本海側沿岸地域などで雪が降るケースが増え、北寄りから雲が入りやすい状況ほど、より南側・内陸側で雪が降るケースが増えるというパターンとなります。
少しの風向きの違いによって、例えば1駅先で急に雪がしっかり積もっていた。というケースも見られますので、「天気予報のマーク」だけでは雪の状況を判断しづらいケースもあると言えるでしょう。
地域によっては冬用タイヤが必須
京都府は、これまで解説した通り北部では雪が多くなっています。また、南丹地域や京都市内の一部についても、雪の量が増えやすい場所があります。
車を運転される場合は、雪が降りやすい・積もりやすいエリアでは当然ながら冬用タイヤが必須です。また、時折降ることがあるエリア、例えば京都市街地の主に北側のエリアでも、冬用タイヤの利用率が比較的高い特徴があり、冬用タイヤの利用が明らかに少ない地域は、京都市南部・山城地域など雪が少ない場所に限られます。
京都府内を通る「京都縦貫自動車道」も、冬場には比較的頻繁に冬用タイヤ規制の措置が行われます。
京都市の北部などを中心に、標高差・南北差などに応じ、少し移動すると雪の影響が急に生じやすくなるようなケースも多くなっていますので、今運転している場所で雪がないからと言って、全てのエリアをノーマルタイヤで走行出来るとは限りません。雪が予想されている場合・冷え込みが厳しい場合などを中心に、道路状況などには十分な注意が必要です。
まとめ
- 府内の南北差が非常に大きい(北側・日本海側で雪が多い)
- 日本海側は豪雪地帯指定を受ける地域(平地でも大雪の場合50cm以上積もるケースあり)
- 雪の要因は大半が「冬型の気圧配置(西高東低)」
- 風向きに応じて雪が降る場所が大きく変化(西寄りの風は沿岸部、北寄りの風は内陸側で雪が降りやすい)
- 地域によっては冬用タイヤの利用が不可欠