富山県は、立山連峰のイメージなどで知られている通り雪が多い豪雪地域です。
県内の雪は地域差もかなり大きいですが、平地も含めまとまった積雪となる機会が多く、富山県を境に日本海側の「雪事情」も違いを見せます。
気象庁のデータ【富山県内各観測地点】
年間降雪量 または年間積雪差合計 (平年値) | 年間最深積雪 (平年値) | 過去最大の積雪深 | 観測開始年 | |
富山 | 253cm | 51cm | 208cm(1940/1/30) | 1939年 |
伏木 | 238cm | 54cm | 225cm(1963/1/27) | 1891年 |
氷見 | 239cm | 46cm | 112cm(2011/1/31) | 1989年 |
砺波 | 374cm | 58cm | 192cm(1981/1/13) | 1980年 |
魚津 | 325cm | 56cm | 166cm(1981/1/16) | 1980年 |
朝日 | 240cm | 44cm | 125cm(1981/1/17) | 1980年 |
猪谷 | 695cm | 117cm | 262cm(1984/2/10) | 1980年 |
◇年間降雪量/年間最深積雪の平年値
※上記画像の出典:地理院地図(一部作図の上利用)
- Q気象庁の観測地点はどこにある?
- A
富山県内には雪に関する観測を行う気象庁の観測地点は7か所あります。
都市部・平地の観測地点としては富山市の「富山」、高岡市の「伏木」、氷見市の「氷見」、砺波市の「砺波」、魚津市の「魚津」、朝日町の「朝日」があります。
山沿いの観測地点は富山市の「猪谷」のみです。
- Q積雪を知りたい場合は?
- A
2023年現在、上記の気象庁の観測地点のデータの数字を把握する方法に加え、富山県が観測している内容を確認することは可能です(富山県降積雪情報)。道路情報などと合わせてご確認頂くのがおすすめです。
地域ごとの傾向は?
- Q雪が多い場所は?
- A
一般的にイメージされる通り、雪が特に多いのは「山間部」です。
山地の雪はどこでも多いですが、特に南砺市・立山連峰に近い地域などは極端な豪雪に見舞われやすい地域です。
積雪は「人が住む場所」であっても標高が高い山間部の一部では積雪2~3m台に及ぶこともあり、1mの積雪が極めて珍しい平地とは状況が全く異なります。
比較的多くの方が行き来する「宇奈月温泉」周辺なども、山沿いのため1m以上の積雪が比較的多くの年で見られます。
- Q雪が少ない場所はある?
- A
富山県の場合平地も含め50cm以上などまとまった量の雪が降ることは珍しくない環境で、平地だから「少ない」という表現は出来ません。
県内で比較した場合、雲の流れ込み方の関係上、石川県に近い氷見市周辺の沿岸部、また新潟県側に近い黒部市・朝日町方面の沿岸部などがやや少な目の傾向がありますが、それはあくまでも「富山県基準の少なさ」です。
金沢市中心部と比べれば県内の平地・沿岸部はどこでも平均的な雪は多めですし、太平洋側とは比較にならない雪の多さです。
- Q一番雪が多い場所は?
- A
どのような前提条件にするかによって異なります。
単に「とにかく雪が多い」場所であれば、万年雪(氷河)すらある立山連峰の3000m級の山々一帯が最も雪が多いことに間違いありません。吹きだまりでは「雪の大谷」で知られる通り10mをはるかに上回る雪が積もります。
しかしながら、そういった場所は一般的に立ち入る場所ではありませんので、「人が住む地域」という区分で見た場合は、南砺市の五箇山エリアが最も雪が多い地域となります。
五箇山エリアは標高にもよりますが、2m〜3m台の積雪が一般的な地域であり、新潟・山形県内などに匹敵する全国有数の豪雪地となっています。
- Q立山の雪は?
- A
立山連峰は、平地で真夏日となる季節でも、眺める山々には多くの雪が残っていることからも分かる通り、気温や天候は平地とは全く異なる特殊な環境にあります。
雪が降る・積もる時期は状況によって10月頃~5月頃までなど非常に幅広く、積雪量も極端な多さとなるため、人が住む地域と比較することは適切ではありません。
世界的観光地「雪の大谷」でも有名な通り、吹き溜まりでは10mをはるかに上回る量の雪が積もります。
また、一部の雪渓では夏以降も残る「万年雪」ではなく「氷河」として認められている場所もあるなど、非常に特異的な環境を持っています。
富山県内の主な自治体などの「雪事情」は、上記の記事で別途解説しています。
その他ポイント
- Qどういうケースで大雪になりやすい?
- A
「強い冬型の気圧配置」で雪雲が概ね「西方向」から流れ込むようなケースで、かつ巨大な雲の帯・塊である「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」・「トランスバース型降雪バンド(Tモードの雲)」の影響を受けるケースが目立ちます。
雲の動きとしれは「西寄り」から入り込む場合に雪がまとまりやすい一方、「北寄り」の方向から雲が流れ込む場合などは、能登半島の存在などもあり、富山県の平地では大雪となるケースがかなり少なくなります。
- Q北陸3県で比べると?
- A
県全体の傾向として見ると、3県それぞれに特定の地域などで「極めて雪が多い」特徴があるため、一概にどの県が多いとは言い切れませんが、平均的には富山県の雪が最も多いと言えるでしょう。
県庁所在地の比較では、「雪の積もりやすさ」は気温が低めの富山市が筆頭で、次いで福井市・金沢市の順となります。
- Q新潟県と比べると?
- A
新潟県との比較では、全体平均で見た傾向としては新潟県の方がより雪が多い特徴があると言えます。
但し、南砺市の山間部など新潟県の山間部に匹敵する日本屈指の豪雪地も富山県内にあり、県庁所在地の比較では、新潟市より富山市の方が圧倒的に積雪の機会が多い傾向があるため、必ずしもどこでも新潟の方が雪が多いという訳ではありません。
大まかに言えば、下越地域の沿岸部に近い地域(出雲崎町~新潟市周辺などの平地)は、富山県内の平地と比べ雪が少ない場合があり、それ以外は富山県よりも雪が多くなる傾向があると言えるでしょう。
- Q全国の中で見た場合は?
- A
全国的に見ると、富山県は当然ながら雪がかなり多い県です。
各地との比較は「何を条件にするか」により多い・少ないが変わる場合があるため一概には言えませんが、沿岸部の雪で見た場合、状況次第では秋田・山形・青森県内より雪が多くなることもありますし、一挙に降る雪の量で見れば北海道より大雪となるケースもあります。
一方で、山地を除いては気温はそれほど低くないため、富山県より北側の各地と比べると、平地の「根雪」は概ね少なめです。
- Q温暖化傾向で雪はどうなっている?
- A
昭和の終わりを境に、全国的な傾向と同様に富山県でも観測される降雪量・積雪の深さが平均的には減少する傾向がはっきり見られます。
但し、集中的な豪雪となるケースは平成・令和の時代に入ってからもまれに見られます。
平均的には減る中で、極端なドカ雪となる年と、雪が非常に少ない年の差がかなり大きくなってきているのも一つの特徴と言えるでしょう。