富山市の雪事情とは?【全国屈指の「雪が多い県庁所在地」】

自然・気候

富山県の県庁所在地である「富山市」は市街地周辺は「豪雪地帯」、内陸側の一部は「特別豪雪地帯」に指定されており、雪は全国の県庁所在地の中でも特に多い地域です。

周辺では金沢市・新潟市などと比較しても1.5倍以上の降雪量となっており、年によっては長期間積雪が見られることもあります。

情報は2023年現在のもので、全て「過去の一般的傾向」を示すものです。
注意を払っておりますが、内容に誤記などのある可能性もありますので、参考程度にご覧下さい。

気象庁のデータ【富山地方気象台】

下記のデータは気象庁の平年値(1991~2020年)・観測値によるものです。
平年値はあくまでも30年間の「平均」であり、「過去」の雪の大まかな傾向を示す数字となっています。

年間降雪量(平年値)253cm
年間最深積雪(平年値)51cm
過去最大の積雪深208cm(1940/1/30)
年間降雪日数(平年値)71.8日
11月12月1月2月3月4月
月間降雪量(平年値)0cm49cm104cm84cm17cm1cm
月間最深積雪(平年値)0cm23cm40cm39cm10cm0cm
1cm以上5cm以上10cm以上20cm以上50cm以上100cm以上
年間積雪日数(平年値)49.5日39.4日29.9日18.7日3.5日0.0日

◇年間降雪量の推移(1961年~2023年までのデータに限定)

◇年間最深積雪の推移(1961年~2023年までのデータに限定)

Q
富山地方気象台はどこにある?
A

2023年現在、富山地方気象台は富山市石坂、神通川のすぐ西側に位置します。

環境としては富山駅周辺から近く、海沿いでもなければ深い内陸側でもない環境です。川沿いという点を除いては富山市街地周辺の一般的な環境と言えます。

Q
雪の量はどう変化している?
A

富山地方気象台で観測される雪の量は、概ね昭和まで・平成以降の時代で大きく異なる傾向があり、特に年間の降雪量は平成以降は減少傾向が顕著です。

近年では暖冬の年は「雪国」とは言えないようなケースも見られるようになっているなど、温暖化に伴う影響がはっきり見られます。

富山市中心部の雪とは?

こちらは富山駅周辺など「市中心部(市街地)」における過去の一般的傾向です。市内でも南側、山間部などは大幅に雪が多い場合がありますので、その点はご注意下さい。

Q
雪はいつから降る?いつまで降る?
A

ごく一般的な冬では、12月中から積もる雪が降り、年によっては年が変わる前に何度もまとまって積もることもあります。

また、雪の終わりは3月のことが多く、かつては3月後半に雪がしっかり積もることもありましたが、近年は3月の気温上昇傾向がかなり目立つため、3月に入ってから「積もる雪」が1度も見られない年があります。

Q
雪はどのくらい積もる?
A

一般的な冬では、時折30cm前後の積雪になることはそれほど珍しくありません。多い場合は一気に50cm以上積もることもあります。

但し、年ごとの差は大きく、暖冬の年であれば一度も30cmの積雪に達しないケースもあります。逆に、豪雪となることもまれにあり、近年も含め一部の年では1m前後の積雪を観測したケースもあります。

Q
根雪になる?
A

年によって根雪となる場合、ならない場合に分かれます。

雪が多く気温が低い年は、1ヶ月以上に渡って長期間雪が積もることもありますが、暖冬の年は積もっていない期間がほとんどのケースもあります。なお、12月〜2月の冬の間、ずっと大量の雪に覆われるようなケースは、基本的にほぼないと言えます。

近年は寒波が長続きしづらい特徴などもあり、まとまった雪が降る場合でも、積もって解けてを繰り返す傾向が強くなっています。

Q
富山県内では雪が多い地域?少ない地域?
A

富山県内の平地・平野部としてはごく平均的な水準と言えます。

厳密に言えば、氷見・黒部・朝日方面の海沿いよりは、富山市街地の方が雪はやや多めとなり、南砺市・砺波市南部方面の平地と比べると富山市街地の方が雪は少ない傾向があります。

但し、雲の動きなどによって積雪状況は変化しますので、常に地域に応じ多い・少ない傾向が決まっている訳ではありません。

その他ポイント

Q
市内の雪事情に差はある?
A

富山市はかなり広い市域を持っています。

富山湾に面する岩瀬浜方面などの地域もあれば、山地でなくても越中八尾駅・笹津駅周辺などかなり内陸側の地域もあります。なお、富山市街地中心部は海から5km以上離れた場所にあります。

山間部については、人が住む地域としては八尾町の南側などが非常に山深い環境であり、人が住まない地域も含めれば、薬師岳など北アルプス一帯の過酷な環境も「富山市内」にあたります。

雪の状況は、それぞれの地理的特徴に応じ大きく異なり、基本的に内陸側ほど雪が急速に増えやすい環境です。山沿いの雪は平地とは全く状況が異なり、人が住む地域でも標高に応じ2m以上の積雪となるケースがあります。人が住まない山岳地帯は言うまでもなく一層極端な量の雪が積もり、標高が特に高い地帯では夏にかけて残雪が残る風景を平野部から望むことが可能です。

なお、世界的知名度を持つ「立山」エリアについては、観光客が多く訪れる室堂周辺などは「立山町」の区域にあたり、富山市内にはあたりません。

Q
周辺の県庁所在地と比べると?
A

富山市は、北陸3県の県庁所在地(福井・金沢・富山)・新潟市・長野市といった周辺の県庁所在地の中ではかなり「雪が多い」地域です。

降雪量は富山が突出して多く、特に金沢・新潟と比べると降雪量の平年値は倍近くに達しています。

一方で、ドカ雪・豪雪の頻度として見た場合、福井の方がまれに1m以上の積雪に見舞われやすい傾向があるため、富山だけが突出しているとは言えません。

Q
日本の都道府県庁所在地で比較した場合は?
A

富山市より年間降雪量が多い都道府県庁所在地を見ると、北海道札幌市・青森県青森市・山形県山形市・秋田県秋田市のみとなっており、全国5番目に雪が多い都道府県庁所在地となっています。

なお、一時的に集中して降るような雪(1日30cm以上など)で見た場合、年によりますが富山は上記の都市よりもむしろ多い場合もあります。また、降雪量ではなく積雪の深さ自体を見ると、秋田よりも富山の方が多い傾向となっており、富山は山形と大きく違いはない状況となっています。

極端に寒い地域ではないものの、まさに「雪国」と言っても差し支えない環境と言えるでしょう。

Q
どういうケースで大雪になりやすい?
A

「強い冬型の気圧配置」であり、かつ雪雲の帯・塊である「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」または「Tモードの雲(トランスバース型降雪バンド)」の影響を受ける場合に大雪となりやすい環境です。

雲は富山県内に入ってからまとまるケースもあり、石川県側と比べ雪の量が大幅に増えるケースも少なくありません。

なお、雲の動きとしては概ね西側から入る場合に雪がまとまりやすい一方、西南西・北北西などから雲が入る場合、富山ではほとんど降らず、金沢方面のみ雪がまとまるといった特殊なケースもあります。