南砺市の「雪事情」とは?【基本的な傾向を知る】

自然・気候

富山県南砺市は、富山県内では人が住む地域として見た場合、最も雪が多いと言える地域で「特別豪雪地帯」に指定されています。

市内は平地も含め雪が多くなりやすく、合掌造りなどの風景が有名な山間部(五箇山)では日本屈指とも言える積雪量となることもあります。

情報は2023年現在のもので、全て「過去の一般的傾向」を示すものです。

気象庁の雪に関する観測地点はなし

南砺市内では、気象庁の南砺高宮アメダスなどで「雨量」の観測などが行われていますが、「雪」に関する気象庁の観測地点はありません。

しかしながら、富山県の土木部による観測データについて、南砺市公式サイト上の統計資料として過去のデータをある程度確認することが可能です。

◇市内の地点における「年間最深積雪」(2007年〜2021年冬のデータのみ)

地点福野(寺家)福光(川西)平(梨谷)利賀(高沼)上平(西赤尾)
2007年冬23cm32cm125cm108cm98cm
2008年冬50cm78cm238cm246cm167cm
2009年冬30cm51cm210cm167cm136cm
2010年冬54cm114cm304cm295cm244cm
2011年冬97cm168cm354cm338cm290cm
2012年冬77cm135cm338cm306cm254cm
2013年冬55cm65cm320cmデータなしデータなし
2014年冬20cm32cm230cm213cm136cm
2015年冬40cm86cm390cm330cm247cm
2016年冬40cm47cm169cm153cm102cm
2017年冬63cm77cm256cm194cm197cm
2018年冬101cm145cm332cm343cm271cm
2019年冬16cm30cm186cm129cm108cm
2020年冬13cm20cm101cm73cm49cm
2021年冬118cm137cm269cm272cm231cm
最深積雪のデータは全て南砺市公式サイト内の統計資料による
Q
観測されている雪の量は?
A

上記のデータは、気象庁の観測ではなく、30年単位での平年データがあるわけではありませんが、山地にある観測地点(平・利賀・上平)の積雪深は、新潟県や山形県の雪が多い地域に匹敵するような数字となっています。

平地側(福光)の積雪深も、富山県内の山地以外における数字としてみた場合、やはりかなり多い傾向が見られます。

南砺市中心部(福光)の雪とは?

こちらは「市中心部(福光駅周辺の場合)」の傾向です。山地や山に近い地域は市街地と比べ雪が極めて多くなる傾向ですので、その点はご注意下さい。なお、同じ平地でも福光と比べると城端方面の方が雪は多い傾向があります。

Q
雪はいつから降る?いつまで降る?
A

一般的な冬では12月から「積もるような雪」が見られます。また、12月中から雪が多くなる年もあります。11月の雪はまれに降ることもありますが、一般的ではありません。

雪の終わりは長期的な傾向としては3月の場合が多く、かつては3月後半になってから雪がしっかり降ることも珍しくない地域でしたが、近年は3月に積もるような雪が一度も降らない年も増えています。

Q
雪はどのくらい積もる?
A

年により差は大きくなります。

一般的・平均的な冬では、市街地で30〜50cm程度の雪が積もることは珍しくありません。

また、雪が冬の間に合計60日以上積もるようなケースも時折見られます。

1m以上の豪雪は市街地ではまれですが、時には豪雪となる年もあるほか、少し市街地から山に近づくだけで、積雪が急増するケースも目立ちます。

雪は急激に「ドカ雪」として増える場合もあれば、ある程度の期間「じわじわ」と増える場合もあります。

近年は暖冬により雪が少ない年もやや増えていますが、富山市街地・高岡市街地などと比べると、暖冬の場合でも積雪の機会はやや多い場合があります。過去に雪が一度も積もらなかった冬はありません。

Q
根雪になる?
A

富山県内の平地では根雪となる頻度が多い地域です。但し、暖冬傾向の年などは根雪にはならない場合も多く、毎年とは限りません。

市街地の場合、根雪となる期間は「冬の間のある程度の期間」の場合が大半で、例えば12月〜3月までずっと雪に覆われるようなケースは、近年はほとんどありません。

その他ポイント

Q
市内の雪事情に差はある?
A

南砺市は平地、山間部の積雪の差は極めて大きい地域です。

雪は平地も含め多く、豪雪の年には市街地でも1m以上の雪が積もるケースがありますが、そういった場合、山地では3m以上の積雪となる場合もあるなど、新潟県や山形県の豪雪地に匹敵するような環境も一部で見られます。

また、砺波平野側の平地であっても、「南側」ほど雪が増えやすい傾向がはっきりしています。

福野よりは福光、福光よりは城端といった形で、JRの列車に乗っていると、どんどん雪が増えていく場合もあります。

Q
どういうケースで大雪になりやすい?
A

「強い冬型の気圧配置」で雪雲が概ね「西方向」から流れ込むようなケースで、巨大な雲の帯・塊である「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」・「トランスバース型降雪バンド(Tモードの雲)」の影響を受ける場合が多くなっています。

大雪となるタイミングは、富山市・高岡市で大雪となるタイミングと同じことも多いですが、気温や雪雲の動きなどの影響で、南砺市周辺(とりわけ市の南側)だけ大雪となるケースも珍しくありません。

Q
富山県内では雪が多い地域?少ない地域?
A

全体的に見た場合、南砺市は富山県内で「最も雪が多い地域」の1つです。

人が住む地域として見た場合、南砺市の山間部(五箇山)は富山県一のみならず、日本国内でも屈指の豪雪地であり、特別な環境といえます。

平地については、福野方面では高岡・富山市街地と大きな差がない場合も目立ちますが、福光・城端方面は明らかに雪が多く、沿岸部で積雪がない場合でも多くの雪が残っているようなこともしばしば見られます。

なお、南砺市は金沢市からの距離が近い地域ですが、医王山を挟んで金沢側の平地と比べ、南砺市側の平地はかなり雪が多い特徴を持ちます(内陸部の気温の低さ・山の斜面による雪雲の発達といった影響が推定されます)。

Q
山地の根雪は?
A

市内山間部(五箇山)エリアは、平地とは比べ物にならないような極端な「豪雪」となることがある地域です。多い時の積雪は暖冬の年でも1m以上の場合があり、雪が特に多い年は3m以上に達することもあります。

雪が極めて多いため、一度積もった雪は根雪として冬の間のみならず、春先にかけてなども長期間残り続けることが基本で、雪が多い場合は4月に入ってからも多くの「残雪」が地域によっては見られることがあります。

なお、雪の量は山地でも標高に応じ大きく異なる場合があります。