この記事では、奈良のまち(奈良公園・東大寺・春日大社周辺)に観光で訪れる場合の「交通アクセス」について、「最安の交通手段」を考えて行きます。
具体的には、観光に訪れる人数ごとに電車・バスなどの「公共交通機関」、そして「マイカー(車)」の場合ごとにどちらがお得に、お安くアクセスできるかを検証していきます。
なお、結論をあらかじめ示しておくと、「車」よりも「電車・バス」がお得な場合も多くなっており、一部条件を除いては公共交通機関のご利用がおすすめとなっています。
前提条件
この記事では「大阪」・「京都」の中心部から奈良へ訪れるという想定で検証していきます。その他の都市・地域についてはこの記事で示した内容と条件が変わりますのでご注意ください。
・電車の場合、大阪~奈良間及び京都~奈良間はいずれも「奈良世界遺産フリーきっぷ(奈良・斑鳩コース)」(1,800円)を利用するものとします。こちらのきっぷでは、大阪の場合近鉄大阪難波駅~鶴橋駅、京都は近鉄京都駅が発駅です。
・クルマの場合、大阪中心部~奈良間のガソリン代を片道300円、京都中心部~奈良間のガソリン代を片道400円(燃費は20km弱程度、ガソリン代は180円程度を想定)、駐車時間は最大料金などを加味し4時間=1,200円で計算を行います(実際にはこれより高い場合、安い場合があります)。また高速利用の場合、梅田IC~宝来IC間の料金1,480円、鴨川西IC~木津IC間の料金1,890円を加算して計算します。
関連記事:【徹底比較】京都から奈良への交通アクセスまとめ(近鉄電車・JR線)【観光】
関連記事:【徹底比較】大阪から奈良へのアクセス手段まとめ(近鉄・JR)【電車で奈良へ】
関連記事:【マイカー】大阪市から奈良市間の「道路・車」によるアクセス方法(高速・一般道)
関連記事:【近鉄電車】奈良観光に便利な「お得なきっぷ」一覧【乗り放題】
アクセス手段については、様々な移動手段があり、JR線を使うようなルートもありますが、このページではひとまず上記の条件(近鉄線)で移動するものとします。
お一人で観光に来られる場合
電車・バス
お一人の場合、
大阪~奈良間を電車で移動して、奈良市内主要エリアを「バス乗り放題」チケットで観光する場合、「奈良世界遺産フリーきっぷ(奈良・斑鳩コース)」(1,800円)が便利です。駅は大阪都心の「大阪難波駅・近鉄日本橋駅・大阪上本町駅」、またJRとの乗り換えに便利な「鶴橋駅」からご利用可能です。
京都~奈良間を移動して+奈良市内主要エリアを「バス乗り放題」チケットで観光する場合は、大阪からと同様に「奈良世界遺産フリーきっぷ(奈良・斑鳩コース)」(1,800円)が便利です。出発駅は近鉄京都駅からのみとなります。なお、京都から奈良まで特急を利用した場合、往復で2,840円となります。電車の所要時間は特急の場合約35分、急行電車の場合は50分程度となっています。
車
お車で大阪~奈良間を移動し、奈良で駐車場を探す場合、先に述べた条件で見ていくと、
往復で高速を利用すると、約5000円(一定の条件を設定した上での概算・実際にはこれより多い場合や少ない場合あり)となり、かなり高額になります。もっとも「一般道(高速を使わない)」場合は往復で約2000円となり、一見電車とそれほど変わらないようにも見えますが、所要時間が通常時でも片道1時間30分程度かかってしまうほか、渋滞に巻き込まれるリスクも高くなります。また奈良市内の観光スポット間を車で移動する場合、駐車場料金が更に高くなる可能性もあります。
京都~奈良間の場合は、高速利用で約6,000円(一定の条件を設定した上での概算・実際にはこれより多い場合や少ない場合あり)となり、一般道利用の場合は約2000円となります。一般道利用の場合、所要時間がやはり1時間30分程度は掛かってしまいます。また、いずれにせよ、電車より安くなることもありません。
結論:お一人ならば、特別に「クルマ」を使わなければならない理由がある場合を除き、クルマで奈良に訪れるメリットは小さいと言えるでしょう。
お二人で観光に来られる場合
・大阪~奈良(電車・奈良バス乗り放題)=1,800×2=3,600円
・大阪~奈良(クルマ)=高速利用約5,000円・一般道利用約2000円
・京都~奈良(電車・奈良バス乗り放題)=1,800×2=3,600円
・京都~奈良(クルマ)=高速利用約6,000円・一般道利用約2000円
お二人以上の場合、クルマは「一般道」を走って来る限りにおいては、電車・バスよりは安くなります。但し先述したように、一般道の利用は、電車の2倍近い所要時間と渋滞に巻き込まれるリスクがつきものですので、「スムーズな観光」には不向きとなっています。電車と同じ所要時間、快適性を求める場合は、「高速道路」の利用が必須となります。
結論:お二人の場合でも、スムーズに観光を楽しむならば電車・バスのご利用がおすすめです。
三人以上で観光に来られる場合
3人以上の場合、この記事で用いる計算式で考えると、
3人の場合=大阪~奈良間の場合クルマ利用が一応安くなりますが、京都~奈良間は「高速利用」のクルマの方が電車よりもまだ高くつきます。
4人以上の場合=「高速利用」であってもクルマの方がお安くなります。
という結果となります。
車をご利用の場合は、4名様以上の場合間違いなくお得になりますが、渋滞リスクをなくすことは出来ませんので、所要時間面で有利とまでは言えません。
また、駐車場を必要とする場合に、満車である場合は周辺をぐるぐる走り回らなければいけなくなります。上記の計算式で「安くなる=クルマが便利」とは限りません。
その上、今回の計算では駐車料金は一般的に見られやすい水準として1200円(1時間300円の駐車場を4時間利用など)で算出しているため、最も利便性の高い駐車場(最大料金2000円以上)の所に停めるような場合は更にコストが高くなります。複数のスポットを行き来する場合それぞれの駐車料金が掛かり、一層料金が高くなるケースもあるでしょう。
結論:3人以上の場合は京都発着の高速道路利用を除き、車がコスト面で有利となりますが、駐車場の問題等も考慮すると、必ず車が便利とは言えません。
ちなみに、今回の計算式では取り扱っていませんが、車がマイカーではなく、「レンタカー」を借りるような場合は、どのような人数で利用しても電車・バスの方が圧倒的にお得になります。当たり前のことですが、レンタカーの場合、高速料金や駐車場料金プラス「レンタカー料金」が掛かります。
レンタカー料金・車種にもいろいろなパターンがありますが、料金が安い軽自動車は4名しか乗れませんし、定員の多いワンボックスなどを借りれば料金が高額になるため、結局電車より「金額面」でお得に使うことは現実的ではないでしょう。
まとめ
お一人で大阪・京都都心部から奈良観光へ訪れる場合、特別なケースを除き電車・バスのご利用が便利でお得と言えます。
お二人で訪れる場合も、マイカー利用で「高速道路」経由の場合は、電車・バスよりもかなり高コストになります。一方で「一般道路」経由の場合は車の利用が安くなりますが、複数のスポットを巡ったり、観光繁忙期の駐車場を使う場合可能性を考慮すると、コストパフォーマンスに優れているとは言い切れません。
三人以上で観光に訪れる場合は、「三人で京都から訪れる」場合についてはマイカー利用(高速道路)が割高ですが、それ以外のケースは車の方がコスト面で有利です。一方観光ルートや時期、奈良市内の混雑等を考慮すると、車=必ず便利という訳ではありません。
レンタカーを利用するようなケースでは、基本的に大阪・京都から奈良への観光利用の場合、公共交通機関よりもお得に移動する事は不可能です。
車の場合は、電車・バスを利用するルートで「奈良市中心部のバスが乗り放題」がなるといったメリットを受けるようなことは出来ません。
駐車場利用は、駐車した場所を拠点に動くために行動範囲が狭くなったり、各エリアを移動する中で駐車場を複数利用せざるを得ないケースもある等、使い勝手が良いとは限りません。
「クルマ」はどうしてもクルマが必要なケース、クルマの利用が明らかに便利なケース、クルマでなければ行けない場所に行くために、奈良県などが呼びかけているように「かしこく使う」ことが重要と言えるでしょう。
関連記事:奈良の路線バス(奈良交通)を使いこなすための情報まとめ
関連記事:JR・近鉄奈良駅から各観光スポットまでのアクセスまとめ(東大寺・春日大社など)