中国地方の「雪」に関する基本を知る【どのくらい降る・積もる?】

自然・気候

西日本の一部にあたる「中国地方(岡山県・広島県・鳥取県・島根県・山口県)」は、沿岸部を中心に比較的温暖な気候が特徴ですが、地域によっては冷え込みが厳しい気候も見られ、雪がかなり多い場所も存在します。

こちらでは、中国地方の「雪事情(雪の降る・積もる傾向)」に関する基本について解説していきます。

※当記事内の全ての情報は「過去の一般的な傾向」を解説するものです。実際の状況はその時々の気象条件に応じ変化する場合があります。

基本中の基本・ポイント

豪雪地あり

中国地方には、多数の豪雪地帯に指定されている自治体が存在します。

行政区分豪雪地帯
鳥取県鳥取市・米子市・倉吉市・境港市・岩美町・若桜町・智頭町・八頭町・三朝町・北栄町・湯梨浜町・琴浦町・日吉津村・大山町・南部町・伯耆町・日南町・日野町・江府町
全域豪雪地帯
島根県益田市(匹見地区)・安来市(広瀬・伯太地区)・雲南市(吉田・掛合地区)・浜田市(金城・旭地区)・奥出雲町・飯南町・美郷町(大和地区)・邑南町
岡山県津山市(津山・加茂・阿波・勝北地区)・新見市(新見・大佐・神郷地区)・真庭市(湯原・美甘・川上・八束・中和地区)・美作市(勝田・大原・東粟倉地区)・新庄村、鏡野町(富・奥津・上齋原地区)・奈義町・西粟倉村
広島県三次市(君田・布野・作木地区)・廿日市市(吉和地区)・安芸高田市(美土里・高宮地区)・庄原市(東城・西城・口和・高野・比和地区)・安芸太田町(戸河内地区)・北広島町

場所によっては積雪が「1m以上」に達することもあり、大山中腹の観測地点など、標高が高い地点では過去に2m以上の積雪記録も存在します。また、主に鳥取県内については、平地でも50cm以上の積雪が時折観測されるなど、雪が比較的多い環境となっています。

雪がほぼ積もらない場所あり

一方で、中国地方には「ほとんど雪が積もらない場所」も存在します。

例えば瀬戸内海沿岸部については、とりわけ岡山県内〜広島県東部までの地域は雪が降ることすら珍しい地域です。岡山・倉敷市街地では1cm以上の雪が積もらない年の方が多くなっています。また、山口県の東部沿岸部も雪が降りにくい環境で、積雪する機会はまれな状況です。

南北・東西で大きな違い

上記の通り、豪雪地帯に指定されている自治体が多数ある一方、雪がそれほど積もらない地域もありますが、それぞれの地域はそれほど大きくは離れていない場合があります。

例えば、2m以上の積雪記録がある広島県北広島町の標高が高い地域から、雪がさほど降らない瀬戸内海沿岸までは距離にして45kmくらいしかありません。南北に移動していくと、急激に雪の量が変化しやすいのが中国地方の特徴です。

また、東西での差も大きくなっています。とりわけ、日本海側の平地・沿岸部については、鳥取県内では比較的雪が多く、松江・出雲周辺まではある程度雪が降る地域ですが、浜田・萩など中国地方西部まで行くと、瀬戸内海側と大差ないような雪の少なさとなります。

「西日本」だからといって侮るなかれ

中国地方は、西日本に位置づけられる地域で、一般的には「温暖」なイメージが持たれがちですが、九州とは「雪事情」は大きく異なります。

九州であれば、山沿いでも大量の積雪にはなりにくい特徴がありますが、中国地方は上述の通り豪雪地帯が多く、山沿いではどっさり雪が積もります。「西日本」のイメージによって雪が少ないと思い込んでしまうと、場所によっては雪の量の多さに驚くこともあるかもしれません。

各県ごとの状況は?

岡山県

岡山県は、北部で雪が多くなりやすく、南部で雪が少ない特徴があります。

北部でも津山・新見市街地周辺までは、それほど大量の積雪にはなりませんが、鳥取県境周辺では1m程度の積雪となるケースもあるなど、かなり雪が多い環境となっています。

南部は先述の通り非常に雪が少なく、岡山市では1cm以上雪が積もることが一度もない年が目立ちます。

広島県

広島県も、北部で雪が多くなりやすく、南部で雪が少ない特徴がありますが、広島市でも雪が時折積もる場合があります。

広島県については、山陽側は福山〜呉周辺では雪はかなりまれですが、広島市周辺に関しては地域差が大きく、少し山側へ行くと積雪の頻度がやや増えやすくなっています。

北部については、三次・庄原周辺でも時折まとまった量の雪となる他、島根・鳥取県境付近では地域によっては1m以上の積雪となるケースがあります。とりわけ北広島町の西部・庄原市の高野地域などはかなり雪が多くなっています。

鳥取県

鳥取県は、全域が豪雪地帯に指定されており、中国地方で最も「雪国」らしい地域です。

平地・沿岸部の場合鳥取市のある東部側ほど雪が多くなっています。米子・境港など西部は東部ほどの雪は降りづらいですが、島根県側の平地と比べると雪はやや多めです。

山沿いについては西日本で最も雪が多い環境であり、大山周辺・氷ノ山周辺などは積雪が2〜3m台に達することもある環境です。

島根県

島根県は、中国山地沿いを中心に豪雪地帯となっています。平地・沿岸部の雪は、松江〜出雲周辺ではまとまった積雪となることもあります。

平地・沿岸部の雪は浜田方面など西部まで行くと極端に減少し、瀬戸内海側と大差ないような雪の少なさとなり、東西の差が極めて大きい特徴があります。一方で、山地については県西部も含め雪は比較的多めです。

山口県

山口県は、中国地方で唯一豪雪地帯指定を受ける自治体がありません。但し、島根・広島県境付近の山間部では、比較的雪が多い場所もあります。

雪は瀬戸内海側のみならず、萩市・長門市方面などの日本海沿岸部でも非常に少ない特徴があります。一方で、主に県内の東半分のエリアでは少し内陸側・山沿いへ行くと雪が急に積もりやすくなる場合があります。

山口市についても、内陸側に位置するため雪が積もる機会はやや増えやすく、広島・岡山市と比べ積雪頻度・積もる量が多くなっています。

最も雪が多い場所はどこ?

中国地方の「人が住む地域」で見た場合、雪が最も多い地域は各県内では概ね以下の通りです。

岡山県真庭市の「蒜山高原」周辺
広島県北広島町八幡地域
鳥取県若桜町舂米地域
大山町の「大山寺」周辺
島根県奥出雲町の「JR三井野原駅」周辺
山口県山口市阿東地域の一部(徳佐・嘉年)
一つの目安であり、状況によってはその他地域の積雪が多くなる場合があります。

基本的にどの地域も平地ではなく標高が高めの地域であり、場所によっては800m以上の地域もあります。

とりわけ、鳥取県内の地域については雪が多くなっており、気象庁の公式記録ではないものの、若桜町舂米では2022年2月には「4m以上」の積雪を記録したとされており、北陸〜新潟〜山形県内の山間部と大差ない豪雪となっています。