広島県の「雪事情」とは?【地域差大・豪雪地帯も】

自然・気候

こちらでは、中国地方最大の人口を持つ県であり、瀬戸内海側から山深い地域まで、様々な地理的特徴を地理的特徴を持つ「広島県」について、冬の雪が降る頻度や量など「雪事情」の基本を解説していきます。なお、解説する内容は全て「過去の一般的な傾向」です。

広島県内は、「雪事情」の差がかなり大きい県であり、県内には「豪雪地帯」の指定を受けている地域もある一方、数十km離れれば雪がほとんど積もらない地域もあるなど、状況は様々です。

積雪・降雪の基本データ

八幡
(北広島町)
高野
(庄原市)
大朝
(北広島町)
広島※福山※呉
降雪量
(降雪の深さ合計)
6055783198※4※3
最深積雪12096505※2※2
地点標高7745703993.61.63.5
気象庁の平年データ(2020年まで)による

広島県内では、気象庁により2022年現在4か所で積雪の観測が行われています。

観測地点は広島市を除き中国山地沿いの標高が高い地域に設置されており、八幡・高野・大朝の観測地点では、積雪量・降雪量ともに日本海側の雪の多い地域と同様の多さとなっています。

一方で、広島市、またかつて観測を実施していた福山・呉市は雪がかなり少なく、山間部の観測地点とは比較にならない状況で、「雪事情」が根本的に異なることが一目で分かるデータと言えます。

なお、広島県による積雪の観測も別途実施されています(リンク:広島県公式サイト内「過去の積雪等情報」。

雪がかなり少ない「瀬戸内海側」

広島県内の場合、瀬戸内海側は基本的に「全域」で雪が少ない地域です。

出典:地理院地図<海域部は海上保安庁海洋情報部の資料を使用して作成>(一部当サイトにより作図)

広島県内は、「冬型の気圧配置」になると日本海からの雲が中国山地周辺には次々と入り込み、雲はある程度内陸側まで入り込むものの、山を越えて陸地の上を進んでいく雲は一気に弱まる傾向があるため、広島県内でも瀬戸内海側で雪が降る・積もるケースは少なくなります。

瀬戸内海側の中で比較した場合、特に雪が少ないのは呉~三原~尾道~福山方面で、基本的に日本海や中国山地からの距離にほぼ比例するような形で雪が少なくなっています。

「広島市」も中心部の雪は極めて少ない地域ですが、瀬戸内海側では日本海~中国山地沿いからの距離が最も近いため、雪の頻度がわずかに増えやすい地域で、10年に概ね1~2回程度とは言え、時にかなりまとまった積雪となる場合もあります。

また、広島市の「山間部」は日本海~中国山地沿いからの距離が近く、瀬戸内海側とは言い切れない環境で、場所によっては一冬に何度もまとまった雪が降るような場所もあるため、「雪が少ないイメージ」を持つことは望ましくありません。

この他「冬型の気圧配置」ではなく太平洋を通る「南岸低気圧」で雪が降る場合もあり、このケースでは頻度は限定的とは言え、東広島市・世羅町・神石高原町といった内陸側の標高が高い地域を中心に、時にかなりまとまった雪(10cm以上、場合によっては20cm以上)となる場合が見られます。

豪雪地帯である「中国山地沿い」

出典:地理院地図(一部当サイトにより作図)
上記は「イメージ図」に過ぎず、あくまでも具体的な雪の量・傾向を示すものではありません。

広島県内でも、北側にあたる中国山地沿いは「日本海側気候」の特徴を持つ中国地方の中でも屈指の「雪が多い地域」であり、「豪雪地帯」として国の指定を受けている地域が多くなっています。

雪雲は日本海から流れ込んで来る一方、雲は島根県の海沿いを通る際にはまだ発達していない場合が目立ち、内陸側・山間部に入った途端に急激に発達するケースが大半となります。

発達した雲は海沿いではなく島根県の山間部~広島県の山間部でまとまった雪を降らせ、風が強い場合(風向きの状況などにもよる)・寒気が強い場合などはその雪雲がより内陸側に入り込む傾向も見られます。

積雪は標高(気温)により差が大きいですが、県境付近かつ標高が500m以上の地域であれば「メートル単位」の積雪もそれほど珍しくありません。

また、短い期間で一気に積もるような雪は、とりわけ日本海からの距離が近く、山深い地域である北広島町~安芸太田町周辺では多い傾向で、2018年1月の大雪では、安芸太田町の太田川沿いでも、1m近いような積雪となった事例もあります。

地域ごとの「雪事情」

広島県内の各地域ごとの「雪事情」を、あくまでもごく大まかにまとめると、下記のような形になります(内容は全て「過去の一般的な傾向」)。

広島市周辺・中心部の積雪はまれ
・但し、中心部も「瀬戸内海側沿岸部」では最も雪が降る、積もる頻度が多い地域
・安佐北区~佐伯区にかけての山間部は積雪が珍しくない地域、場所によってはかなりの積雪も
呉市周辺・雪は極めて少ない傾向
・広島市中心部と比べても、呉市中心部で雪が積もる頻度はかなり少ない
東広島市周辺・雪の量は多くない一方、標高がやや高いため「うっすら」程度は時折見られる地域
・「南岸低気圧」により雪が積もるケースも県内では多い地域
・竹原市は海沿いのため雪は極めてまれ
尾三・福山周辺・沿岸部の雪は極めて少ない
・世羅、神石高原方面は「南岸低気圧」により時折大雪となるケースあり
芸北・県境付近の雪はかなり多く「メートル単位」の場合も
・島根県浜田市、益田市との境界付近の雪は県内で最も多い
・安芸太田町中心部の雪は三次、庄原市中心部より多い傾向
備北・県境付近の雪はかなり多く「メートル単位」の場合も
・三次、庄原市中心部もまとまった積雪が珍しくない地域(但し極端な大雪は少ない)

県内は地域ごとの「雪事情」の差が大変大きく、冬の生活スタイル・車の乗り方も同じ県内、場合によっては10km程度の距離の違いによって、全く違ったものとなっている場合があります。

【広島県の雪事情】ポイント・まとめ

・広島県の「瀬戸内海側」雪がかなり少なく、特に呉~福山周辺にかけては雪雲がほとんど入らないような環境です。
・広島県の「中国山地沿い」豪雪地帯で、県境付近かつ標高が高い場所では「メートル単位」の積雪も一般的な地域です。
・「南岸低気圧」による雪では、東広島や世羅方面など瀬戸内海側の内陸部でもまとまった積雪となった事例が見られます。