山口市・山口県の「雪事情」は?

自然・気候

こちらでは、中国地方の最も西側に位置し、瀬戸内海・日本海のいずれにも面する「山口県」とその県庁所在地「山口市」について、冬の「雪」が降る頻度や量といった「雪事情」の基本を解説していきます。なお、解説する内容は全て「過去の一般的な傾向」です。

山口県は、九州・四国地方に近く温暖な環境ですが、地域によってはかなり雪が多くなる場合もあり、県庁所在地の山口市でも、時にはまとまった量の積雪が観測されるなど、雪は比較的身近な場合も多い地域です。

雪が積もることも珍しくない「山口市」

山口県の県庁所在地である山口市の「雪事情」は、簡単に言えば「雪はそれほど珍しくない」上、時には「しっかり積もる」こともある状況と言えます。

山口特別地域気象観測所
年間降雪量26cm
年最深積雪9cm
年間降雪日数41.3日
積雪観測日数
(1cm以上)
7.1日
積雪観測日数
(10cm以上)
0.7日
山口市の雪に関する基本データ
気象庁の平年データ(2020年まで)による
順位積雪記録
1位37cm(1996年2月10日)
2位18cm(1990年1月24日)
3位17cm(2011年1月1日)
4位16cm(1991年2月22日)
5位15cm(2009年1月25日)
山口市の積雪記録ランキング(平成以降に限る)
気象庁の観測データによる

山口市は、雪に関する基本的なデータを見て行くと、日本海側以外では西日本の「全ての主要都市」の中で最も雪が多い地域で、例えば雪が時折積もる「京都市」と比べても雪の降る量は多い傾向が見られます。

雪の降る量には年ごとの差が大きいため、ほとんど積もらない年もあれば、一冬に何度も積雪となる年もあるなど様々ですが、大きな特徴として「2022年現在」の観測データに基づく限り、山口市では「どんな暖冬であっても」少なくとも1回、1cm以上の積雪は観測しているという点が挙げられます。

西日本の日本海側を除く各都市であれば、暖冬の年などは雪が「ごくうっすら」すら積もらず、更にそれが複数年連続で続くようなケースも見られますが、山口市ではそれが今のところなく、どんな年でも1回は雪化粧する形になっています。

山口市では、まとまった雪が降ることも西日本他都市(日本海側を除く)と比べ多い傾向で、平成以降の場合、5cm以上の積雪は全体の3分の2程度の年で、10cm以上の積雪は全体の3分の1以上、平均すれば3年に1回程度の頻度で積もっています。

市の北部・北側、東側へ行くほど雪の頻度や量は増える傾向
・徳佐方面は寒い年は「根雪」となることもあるため、「山口県の雪国」とも言える環境です
・場所によってはまれに50cm以上の積雪も
中心市街地周辺・先述の通り、雪が積もることはそれほど珍しくはない
・西日本の日本海側を除く主要都市で最も雪が多い
市の南部(新山口)・瀬戸内海側のため、市内では雪がかなり少ない地域
・山口市中心部で積雪の場合も、雪がないケースあり
山口市内の地域ごとの「雪事情」

なお、山口市と一括りに言っても、その範囲は南北60km以上に及ぶため、その「雪事情」には劇的な差があることも事実です。

新幹線が停車するJR新山口駅周辺は「瀬戸内海側」のため雪はかなり少なく、市の中心部一帯は先述の通りそれなりに積もる場合もある地域ですが、ここまでは「雪が多い地域」と呼べるような場所ではありません。

一方で、市の北部(とりわけ徳佐地域など)は標高が高い上冷たい空気が溜まりやすく、その上雪雲が発達した状態で掛かりやすいなど、気候はかなりの程度「日本海側」の特徴を持つ地域で、場所によっては「根雪」や「積雪50cm以上」が寒い冬には見られるなど、環境が全く違います。

車の運転をする際などは、地域ごとにかなり差がある点を留意した上で移動することが無難です。

山口市と比べ雪がかなり少ない「下関市」

下関地方気象台
年間降雪量2cm
年最深積雪2cm
年間降雪日数27.7日
積雪観測日数
(1cm以上)
1.3日
積雪観測日数
(10cm以上)
0.0日
下関市の雪に関する基本データ
気象庁の平年データ(2020年まで)による
順位積雪記録
1位12cm(1990年1月24日)
2位10cm(2008年2月13日)
3位8cm(2009年1月24日)
4位6cm(2021年1月8日)
4位6cm(1996年2月10日)
下関市の積雪記録ランキング(平成以降に限る)
気象庁の観測データによる

山口市よりも人口規模が大きな「県内最大の都市」下関市は、雪の量は大変少ない地域です。

降る雪の量は平均すれば「山口市の10分の1以下」で、下関の場合は1cm以上の雪が積もらない冬も目立つなど、同じ県内でも状況が全く異なります。

過去の大雪を見ても、10cm以上は平成以降2回のみの観測で、まとまった雪も積もりにくい地域となっています。

なお、市内はかなり広く、美祢市側の山間部など、雪の頻度が下関市街地より明らかに多い地域もありますので、あくまでもかなり少ないのは「市街地・平地」の場合となります。

山口県で雪が降るパターン・県内地域別雪事情

山口県内で雪が降る場合、雪雲の流れはその時々の気圧配置に応じ様々ですが、典型的なパターンとしては、例えば以下のようなものがあります。

出典:地理院地図(一部当サイトにより作図)

山口市街地で大雪となる場合の多くは、北の方向から雪雲の「塊」が直接流れ込んで来るケースが目立ちます。

気圧配置としては典型的な「冬型の気圧配置」で北陸や山陰の沿岸部で雪が降るパターンというよりは、等圧線が少しゆがんでいるような場合、等圧線が北北東から南南西方向へ並ぶ場合、局地的な低気圧が山口県沖に発生して渦を巻く雲が下りて来る場合など、どちらかと言えばイレギュラーなタイプの「冬型の気圧配置」で大雪が発生しやすいと言えるでしょう。

また、徳佐周辺の場合は、日本海からの雲が山間部で局地的に発達し雪を降らせやすく、県内の他地域と比べ典型的な冬型の気圧配置でも雪雲が入りやすい地域となっています。

雪が少ない下関については、非常に強い「冬型の気圧配置」の場合に限り、日本海から瀬戸内海・伊予灘方面へ進む途中の雲が、寒気の程度・風向き・上空の湿った空気など様々な要因の結果として雪を降らせる場合がありますが、量はまとまりにくい上、多くの「冬型の気圧配置」では積もらずに少し降るだけ、または雲が掛かるだけで何も降らないケースが目立ちます。

岩柳地区・瀬戸内海側の沿岸部(市街地)の雪はかなり少ない
・但し、岩国市の北部山間部は積雪が珍しくない地域
・島根県境に近い地域(中国自動車道周辺)はかなりの大雪となる場合あり
周南地区・瀬戸内海側の沿岸部(市街地)の雪はかなり少ない
・但し、周南市の北部山間部は積雪が珍しくない地域
山口・防府地区・先述の通り、山口市内は「南北」で雪の頻度や量に極めて大きな差が見られる
・防府市は雪が少な目の地域
厚狭地区・宇部方面など瀬戸内海側の雪はかなり少ない
・美祢市は雪の頻度がやや増え、標高によってはかなりまとまった雪が降る場合も
・秋吉台は積雪が珍しくない地域
豊関地区・下関市は先述の通り雪は少ない地域
・但し美祢市側の山地など雪の頻度が増える地域も
長北地区・日本海の沿岸部(萩市街地など)に限れば「山口市街地」より雪が少ない
・特に萩市と阿武町は、少し内陸側に入ると一気に雪が積もりやすい傾向

山口県内各地域の「雪事情」を大まかにまとめると、上記のような形になります。

県内の地域ごとの差も大きい一方で、自治体の面積が大きい地域や、標高差がある地域では、同じ市内・町内でも「雪事情」が全く違う場合があります。

特に岩国市街地と岩国市北部山間部、萩市や阿武町の海沿いと山間部(内陸側)などは雪の量が全く違う傾向があり、運転をする際などには十分な注意が必要と言えます。

【山口市・山口県の雪事情】ポイント・まとめ

山口市は、日本海側を除く西日本の主要都市の中では雪が最も多い地域と言えます。
・但し、市内でも南北で雪の量に極端な差があり、徳佐方面のように「雪国」に近い場所もあれば、新山口方面のように雪がまれな地域もあり、中心市街地はその中間的な位置づけと言えます。
・県内で見ると、下関や瀬戸内海沿岸部は雪がかなり少ない一方、岩国市の山間部や萩方面の山間部、また秋吉台周辺などは雪が珍しくない地域で、場所によってはかなりまとまった積雪となるケースも見られます。