島根県の「雪事情」とは?

自然・気候

山陰地方に位置する「島根県」は、その気候のイメージとしては鳥取県と似たような形で「冬は雪が降る」という印象を持たれることが多くなっていますが、実際のところ、県内の「雪事情」はどんな状況になっているのでしょうか?

こちらでは、島根県内で降る雪の状況について「地域ごと」の特徴をなるべくわかりやすく見て行きたいと思います。

データから見る島根県の雪

島根県内で気象庁が積雪を観測している地点の雪に関する「平年値(1991年~2020年の平均)」データは下記の通りです。

平年
年間降雪量
平年
年間最深積雪
過去最高積雪標高
松江68cm20cm100cm(1971年2月4日)17m
浜田10cm(暫定値)6cm(暫定値)53cm(1982年1月17日)19m
西郷93cm21cm107cm(1962年1月27日)27m
横田401cm63cm139cm(1984年2月9日)369m
赤名457cm78cm152cm(2011年1月31日)444m
瑞穂272cm48cm102cm(2016年1月24日)327m
弥栄227cm40cm78cm(2006年1月7日)380m

なお、出雲空港(斐川)でも積雪の観測を行っていますが、2021年からでデータが少なく「平年値」はまだ存在しないため、上記の表では取り扱いません。また、浜田は逆に2007年で積雪観測を終了したため、平年値は暫定的なデータとなります。

「平地の雪の量」は東西で全く異なる

島根県の雪事情で最も特徴的な点は、平地では東西で雪の量が大きく異なる点です。

後述する通り、雪が比較的降りやすい松江市や出雲市であっても、鳥取などと比べれば雪は少な目ですが、それでも2年に1回程度は20cm以上、10年に1~2回程度は50cm前後の雪が積もるなど、日本海側らしい気候の特徴を見せます。

一方で、浜田・益田方面の平地へ行くと、松江のようにまとまった雪が積もることは極めて少なくなり、積もっても数センチ程度の場合がほとんどになります。雪が降る量は概ね松江の5分の1以下で、浜田・益田市街地の「雪事情」は松江よりも「福岡」に近いと言えるくらいの、極端な違いを見せます。

県庁所在地「松江市」の雪事情については、上記の記事で別途解説しております。

意外と雪が多い「隠岐」

島根県全体を見た場合、本州側の地域のみならず、日本海の沖合いに離島である「隠岐諸島」についても考える必要があります。

隠岐諸島は、わかりやすく言えば「北」にある島で、「緯度」が少し高い地域となっています。

緯度が高いためシベリアからの寒波が入る場合、松江よりも隠岐方面に強い寒気が入りやすい点、また雪雲の動きとしては松江方面へ進む雲ではなく、鳥取・近畿北部方面へと向かう雪雲の通り道となっており、雲がより発達しやすい傾向があることなどから、隠岐(西郷)の降雪量は松江の平均1.5倍程度と、海に面した平地としては島根県内で「最も雪が多い地域」となっています。

雪はドカ雪が一気に降るというよりは、数cm~20cm程度の雪が繰り返し積もるような傾向があり、雪が積もっている日数は多めです。

山地はかなり雪が多い

平地では東西の積雪差が極端に大きい島根県ですが、「山間部(山地)」で考えた場合、県内の東西を問わず雪は多めです。

例えば、雪が極めて少ないとされる浜田市でも、少ないのはあくまでも海沿いの市街地に限った話であり、市街地から南に10km少々離れた旧弥栄村地域などは、毎年平均40cm程度の積雪が見られるなど、まとまった積雪が当たり前の地域です。

また、山が特に深い奥出雲町・飯南町一帯では積雪が1m以上になることも珍しくなく、中国地方屈指の豪雪地となっています。

海沿いで雪の痕跡すらないからと言って、山の方へ車を走らせていると、20分もしないうちに雪が増えて来る。こういったことが多いのが島根県の特徴であり、特に観光で訪れる場合の運転には注意が必要です。

周辺地域との違いは?

島根県の雪事情を、県内ではなく周辺地域と比べた場合、大まかには以下のようにまとめられます。

鳥取県【平地】鳥取県内の方が多い(特に鳥取県東部とはかなりの差あり)
【山間部】島根県内と同等か更に多い
山口県【萩方面】浜田や益田と同等に少ない
【下関方面】島根県内のどこよりも少ない
【山口市街地】浜田や益田より雪が多い(松江よりは大幅に少ない)
【山間部】島根の雪が多い傾向、但し県境付近(徳佐など)はほぼ同等
広島県【瀬戸内海側】島根とは比較にならない雪の少なさ
【広島市街地】雪が積もる頻度は、浜田や益田より少し少ないかほぼ同等
【山間部】島根県境周辺地域は島根側よりも積雪が多い場合あり(まれに2m以上の地点も)
岡山県【瀬戸内海側】島根とは比較にならない雪の少なさ
【岡山市街地】雪が積もる頻度は、浜田や益田よりも更に少ない
【津山市街地】比較的松江に近い雪事情
【山間部】鳥取県境周辺地域は、島根県内と同等か更に多い

ポイント・まとめ

島根県は、日本海側のため雪が降ることがある地域ですが、雪の量に地域差が大きいことも特徴です。

県庁所在地の松江市は、平地では雪が降りやすい地域ですが、浜田市街地・益田市街地など西部の海沿いは雪がかなり少ない傾向です。

隠岐諸島「海沿い・平地」の区分で見た場合、県内で最も雪が多い地域となっています。

中国山地一帯の山間部は全体的に雪がよく降る地域で、1m以上の積雪を観測する場所もあります。