首都圏〜東北地方を結ぶ交通の大動脈であり、日本国内で最も距離が長い高速道路でもある「東北自動車道」。
こちらでは、東北自動車道における「雪」について、降る時期・積もる量などに関する基本を解説していきます。
※当記事内の情報全て「過去の一般的な傾向」を解説するものです。実際の状況はその時々の気象条件・区間に応じ様々に変化する場合があります。
雪が多い区間・少ない区間
雪がまれな区間 | ・首都圏エリア(概ね那須高原SA付近まで) |
雪が時に降る区間 | ・福島県郡山市周辺などの区間 ・仙台市〜仙台市以南の宮城県内 |
雪が比較的降りやすい区間 | ・那須高原周辺〜福島県白河市周辺の区間 ・福島市周辺の区間 ・仙台市以北の宮城県内 ・盛岡市、盛岡市以南の岩手県内 |
雪がかなり多い区間 | ・青森県内、秋田県内の全区間 ・岩手県の盛岡市以北の区間 ・松尾八幡平IC~安代JCT~鹿角八幡平ICは特に標高が高く多くの雪が降りやすい |
東北自動車道は、埼玉県の川口JCT〜青森県の青森ICまでの679.5kmを結ぶ高速道路で、東北地方・関東地方の南北を縦断する「日本最長」の高速道路となっています。
雪が少ない東京近郊から、日本屈指の豪雪地である青森県・秋田県内など、様々な区間を通るため、「雪事情」は多種多様です。また、県単位で言えば概ね北へ行くほど雪を見る機会が増えやすいものの、例えば福島市周辺などは、より北側の仙台市周辺と比べ雪が積もる頻度がかなり多いなど、区間ごとに増減が見られます。
雪が降る場合、状況によっては道路にもまとまって積もる場合があります。また、首都圏以外は気温が低い環境ですので、凍結対策が施してあるとは言え、少しの雪で真っ白になりやすい環境と言えます。後述の通り宮城県内など「地吹雪」の危険がある区間も見られ、積雪が多い・少ないだけに注目することは必ずしも安全の観点から望ましくありません。なお、盛岡市以北〜青森県内の区間は日本有数の豪雪地を通ります。冬場は大量の雪が見られ、道路脇には4月に入ってからも雪が残っているような区間も見られます。
東京起点で考えた場合、状況はケースバイケースですので、一概には言えません。一般論としては、那須高原SA付近から、また二本松IC〜福島松川SA付近から雪が降ったり積もったりすることが比較的多いですが、雪が全く積もっていないこともあります。また、仙台周辺で雪が消え、その後仙台以北の区間で雪が再登場することが多いため、ある場所から北側の全ての区間で雪になるとは限りません。
雪が降る時期は?
時期 | 首都圏エリア | 東北エリア |
---|---|---|
11月 | ・雪の影響を受ける機会はほぼない | ・北部を中心に雪が降る機会もあり ・一部区間では積雪が見られる場合も |
12月 | ・雪の影響を受ける機会は極めて少ない | ・北部ほど頻繁に雪が降りやすい ・盛岡以北など早い時期から多くの積雪が見られる区間も |
1〜2月 | ・時に雪が降るケースあり、但し頻度は少ない ・東京周辺よりは、栃木方面の方がやや雪の機会が多い | ・一部地域を除き雪がかなり降りやすい ・区間によっては連日雪が降るような場合も ・盛岡以北では積雪がかなり多くなりやすい ・雪が少なめの仙台周辺なども、うっすら程度の雪は頻繁に積もる |
3月 | ・まれに雪が降るケースあり、但し頻度は少ない ・東京周辺よりは、栃木方面の方がやや雪の機会が多い | ・真冬よりは減るものの、雪が降る機会が依然として多め ・北部、山沿いなどを中心に時にかなりまとまった積雪となる場合も ・仙台周辺など雪が少なめの区間では雪がほぼ積もらない年も |
4月 | ・雪の影響を受ける機会は極めて少ない | ・まれに雪が降る、積もる機会が見られる ・仙台周辺などはかなりまれ、但し過去には積雪事例も ・過去の珍しい事例では4月後半に雪が降ったことも |
5月 | ・雪とは無縁 | ・基本雪はほぼ降らない ・2023年5月など、標高が高い区間で積雪した特殊な事例あり |
東北自動車道は、地域差が極端に大きいため、時期ごとの雪の状況はまとめづらいものがあります。
基本的に、全ての区間を走行するという前提に立つ場合、特に雪が多い岩手〜秋田〜青森方面などの状況を考慮する必要がありますので、11月〜4月(特殊な例では5月初め)までは雪が降る事例が存在するということになります。
一方で、首都圏のようにそもそも雪が降りづらい地域もあり、東北でも郡山周辺・仙台周辺など積雪が多くなりにくい、他と比べれば頻度が少ない地域もあります。
規制などは?
規制の実施 | ・冬用タイヤ規制が基本 ・大雪の際などには「通行止め」のケースあり ・大雪時のチェーン装着義務区間は2023年現在はなし |
重要な注意点 | ・宮城県北部(大崎市・栗原市周辺など)などは少しの積雪でも強風により「地吹雪」が発生しやすい ・「地吹雪」発生時は視界不良に伴い事故の危険が増すため要注意 ・過去には地吹雪により多重事故、立ち往生なども発生した事例あり |
東北自動車道は、雪が降る場合は冬用タイヤ規制が基本ですが、大雪となる場合や走行に危険が生じる可能性がある場合、事故や立ち往生が発生する場合には、通行止めの措置が講じられる場合があります。
通行止めは、雪に弱い首都圏エリアのみならず、東北エリアでも実施されるケースがあり、大雪・暴風雪が予想されている場合などは注意が必要です。
なお、宮城県内の主に北部は奥羽山脈から吹き下ろす季節風が強くなりやすく、積雪時に「地吹雪」状態となることがしばしば見られます。地吹雪は必ずしも雪が多く積もっていない場合、うっすら程度の場合、状況次第では「晴れている時(雪が降っていない・地面の雪が舞い上げられるのみ)」でも生じるため、道路事情を熟知していない場合は油断が生じやすく、特に注意が必要です。
雪が降りやすい条件は?
冬型の気圧配置 | ・那須高原周辺以北では、雪が降る(頻度)上での最大の要因 ・盛岡以北では大雪に見舞われやすく、道路沿いにはメートル単位の積雪をもたらす ・福島市周辺、宮城県北部〜盛岡周辺でもまとまった雪の場合あり ・地吹雪を生じさせる場合あり(強い冬型の気圧配置に伴う強風) |
南岸低気圧 | ・首都圏(関東)のまれな雪の基本的要因 ・東北地方でもまとまった雪を降らせるケースあり ・頻度(回数)の面では冬型の気圧配置よりまれな現象 |
その他 | 東北北部では「気圧の谷(前線)」や「東北を縦断(東西)する小さな低気圧」で雪の場合も |
東北自動車道で雪が降る場合、主な要因は「冬型の気圧配置」または「南岸低気圧」の2パターンです。
このうち「冬型の気圧配置」は、主に東北地方で雪が降る場合の主な要因で、とりわけ日本海側気候となる東北北部の一部(主に盛岡以北の区間)では、かなりの豪雪を日常的にもたらす存在となっています。また、盛岡以南についても時にまとまった雪を降らせるほか、宮城県内などの区間で生じる「地吹雪」も、強い冬型の気圧配置による強風が要因となっています。
「南岸低気圧」は、全ての区間で影響を受ける場合がありますが、目立つ存在となるのは、雪が降る機会自体が少ない首都圏方面です。首都圏の区間では、「冬型の気圧配置」で雪が降ることはほぼなく、まれな雪はほぼ全てが「南岸低気圧」が要因です。
まとめ・注意点
・日本最長の高速道路のため、雪の頻度や積もる量の地域差が極端に大きい
・雪が降る、積もる期間も地域差大(東北の山沿いを中心に11月や4月の雪も)
・首都圏のように雪がまれな区間もあれば、盛岡以北のようなかなりの豪雪地もあり
・冬用タイヤ規制の他、大雪時には東北エリアも含め通行止めが実施の場合あり
・宮城県北部を中心に「地吹雪」に注意が必要
・首都圏の一部区間を除き、雪が降るような時期は冬用タイヤの利用が天候を問わず必須