岩手県は、本州では最も寒冷な場所の1つであり、雪は地域によってはかなり多く積もる場合もあります。
こちらでは、いくつかの指標(テーマ)に基づき、岩手県内の「雪が多い所・少ない所」を見ていきます。
県内の市で雪が多い所は?
八幡平市・二戸市
盛岡市・滝沢市・北上市・花巻市
※市街地では極端な差がないため順序付けは難しい
岩手県内の「市」について、市街地で雪が多い場所を見ると、「極端に雪が多い場所」というものはありませんが、内陸側の地域ではどこであっても「ある程度の積雪が見られる環境」です。
最も多いという意味では、基本的には最も北側で気温が低い「二戸市」や標高がやや高い「八幡平市」が挙げられますが、例えば八幡平市は大きな市街地と呼べる場所はなく、大更方面で見るのか、安代方面で見るのかなど見方によって雪の状況も変化する場合があります。また、二戸市も市街地で突出して雪が多いとまでは言えません。
その他には、盛岡市・滝沢市・北上市・花巻市も市街地である程度雪が降り、平均すればそれほど雪の量の違いは出にくいと言えます。
大まかに言えば、東北の他県と比べ、内陸側では各市(市街地)ごとの雪の降り方・積もり方に極端な差は出にくいことが岩手県の特徴と言えるかもしれません。
気象庁の観測地点で最も雪が多い所は?
1位:湯田アメダス(平年最深積雪191cm)
2位:祭畤アメダス(平年最深積雪141cm)
3位:区界アメダス(平年最深積雪91cm)
※データは気象庁の平年データ(1991〜2020年)
気象庁が岩手県内で観測している地点で見ると、雪が最も多い地点は西和賀町の「湯田」アメダスです。こちらは奥羽山脈に囲まれた環境で、山の斜面の影響で雪雲が発達しやすいため、積雪は多い年で2.5mを超えるなど、東北地方有数の豪雪地帯となっています。
次いで多い観測地点は、一関市の山深い地域、栗駒山からも比較的近い位置にある「祭畤(まつるべ)」アメダスです。こちらもやはり奥羽山脈の地形的影響などがあり、特に雪が多い年は2m弱の積雪に達することがあります。
3番手は宮古市の山間部、北上高地の標高700m以上の場所に位置する「区界(くざかい)」アメダスです。こちらは太平洋側と言える位置にあり、日本海側から雪雲が届く量・頻度は減るものの、標高が高いため「北海道並み」の寒さが特徴で、低気圧の影響で雪が一気に増えることもあるため、積雪は多い年に1m以上に達することがあります。
なお、あくまでも「気象庁」の観測地点ですので、別途自治体が観測している地点などを含めると、多い地点は異なる場合があります。
人が住む場所で最も雪が多い所は?
西和賀町一帯
岩手県内で「人が一般的に住む地域」で雪が最も多い所は、気象庁の観測(湯田アメダス)でもそうであったように、西和賀町一帯(湯田地区をはじめ町内のほぼ全域)と考えられます。
この地域は、雪雲が県内でも最も秋田県側から入りやすく、奥羽山脈の斜面による地形的な効果により雪雲が特に発達しやすいため、場所によっては積雪が2m以上となることが珍しくありません。
この他県内で特に雪が多い場所は、こちらも気象庁の観測地点と同様に一関市の祭畤地区が挙げられます。
山地で雪が最も多い所は?
・奥羽山脈一帯(とりわけ八幡平・栗駒山周辺など)
人が住む場所を考慮せずに「山地」で考えた場合、県内の山地はどの地域でも雪が多めですが、基本的には日本海側からの雪雲が最も発達した状態でぶつかる「奥羽山脈」一帯が最大の豪雪地となります。
標高に応じ雪の量は一気に増え、八幡平エリアは観光地として名高いため、春になると数mの「雪の壁」があるエリアを車で走ることが可能(アスピーテライン)となっています。
雪が少ない所は?
・太平洋沿岸部
・とりわけ陸前高田市〜大船渡市〜釜石市周辺の海沿い
・内陸側では一関市の東側も雪が少なめ
岩手県内で比較的雪が少ない場所は、基本的には太平洋沿岸部です。こちらは日本海側からの雪雲がほぼ入らないため、雪となる機会が限られます。とりわけ、県内でも最も南側に位置する陸前高田市・大船渡市などは、気温が高いこともあり雪の量は仙台並みかそれ以上に少なくなっています。
なお、太平洋側でも気温が低めの久慈市など県北部側については、雪の量は平均的には倍以上となり、雪はより一般的な存在となります。
内陸部はある程度の雪が降る地域が多いですが、一関市の東側(平地)については、盛岡・北上方面と比べ雪となる機会は少なくなります。