このページでは、奈良移住を検討されている方向けに、奈良に住む上での「基本・常識」となるテーマについて見て行きます。
具体的には、「住環境」・「交通・アクセス」・「教育環境」・「買い物・商業施設」といったテーマごとに解説していきます。
奈良市は居住環境は概ね良いことで知られており、とりわけ大阪方面へのアクセス性の良さや駅前の商業施設の充実度が高くなっています。
奈良のキホン「住環境」
家賃が比較的安い
奈良市内の「住環境」。住む場所を考えるにあたり不動産を買う方もいれば、賃貸で住まわれる方もいらっしゃるとは思いますが、奈良については、賃貸の家賃は比較的「安い」部類に入る都市となっています。
奈良駅周辺で見た場合でも、新築かつ5万円台のお部屋がありますし、お一人で住むような安いアパートであれば、まれに駅の近くでも2万円程度のものもあり、比較的広いファミリー向け物件でも7万円程度あれば十分な住まいを手に入れることが出来るでしょう。
関西は京都や阪神間・大阪都心を除き家賃は決して高くありませんが、奈良は近年人気を集めるJR京都・琵琶湖線沿線の住宅都市「高槻市」や「草津市」などに住むのと比較しても、条件によっては住宅コストは低い場合があると考えられます。大阪に20~30分でアクセス出来る割にはリーズナブルな住宅・賃貸価格のまち、それが「奈良」の特徴の一つです。
治安・環境は良い
住まいを考える際に多くの方が気にされる土地の「雰囲気(治安・環境)」を巡る問題。奈良市内については、基本的にどこであっても「概ね良好な環境」と言えるでしょう。
街の風景を見た場合、西部の郊外住宅地、比較的古い町並みも残される奈良駅周辺エリア、また準工業エリアなどもある大安寺・京終エリアなどを比べると、地域の街並み自体は違いますが、それは「大阪に通勤・通学」する文化が強いのか「地元」に住まい「地元」で生きるという文化が強いのか、「各種産業」が集まっているのかどうかの違いであり、街の雰囲気とは必ずしも直結しません。
また、奈良駅周辺は「地元」の文化が強い古いエリアのため「近所付き合い」が面倒なのではないかと懸念される人もおられるかもしれませんが、実際のところ、「地元」の文化があったとしても奈良は歴史的町並みエリアも含めて近所付き合いは来るもの拒まず、去る者追わずの「ドライ」な傾向があります(あくまでも一般論となります)。「古い地域独特」の文化を望んでやって来られる方からすればむしろ物足りなさを感じるかもしれませんが、「よそ者」であってもとやかく言われることは少ない。その意味ではかなり住みやすい土地柄とも言えるのです。
なお、ネット上では「奈良」のイメージを長い歴史の影響を強く受け、独特の因習が残った閉鎖的な空間として否定的に表現するような傾向も一部でありますが、そのような傾向が実際に強く見られるとは言えません(あくまでも一般論となります)。少なくとも主要駅周辺のベッドタウン・規模の大きな市街地ではむしろドライな傾向が目立つという意味では、首都圏の文化に近い場合もあると言って差し支えないでしょう。
一戸建ても・マンション(団地)も多い
奈良は、文化財にあふれた「日本人の心のふるさと」・「国際文化観光都市」という側面を持つ一方、人口構造や都市機能としては今もなお完全な「大阪のベッドタウン」という性質が強い都市となっています。そのため、とりわけ学園前・富雄エリアなどの市内西部は広い一戸建てが立ち並ぶ高級住宅地が多数あるほか、新大宮駅・JR奈良駅周辺は多数のマンションが立ち並ぶという風景が見られます。
奈良は日本で最も庭の草木などの「剪定ゴミ」の発生量が多いとも言われ、それはすなわち「お屋敷」的な一戸建てが多いことの証でもありますが、一方では多数のマンション、UR賃貸住宅などもありますので、「お部屋探し」・「物件探し」をする際に様々なエリアの、様々な物件から選んで頂けるようになっています。
奈良のキホン「交通・アクセス」
日本一交通が便利な「田舎」?
奈良に住む上で気になるのは、地方都市ということで「交通」が不便なのではないかという点。
しかし奈良は、お世辞抜きで「日本一交通が便利な田舎」と言って差し支えない交通アクセスの利便性を誇ります。
ざっくり言えば、大阪(なんば・天王寺・新大阪)・神戸(三宮)・京都(京都駅・四条烏丸)に電車1本で行ける上に、空港への直通リムジンバスも運行されている。
その上大阪へは電車で20~30分少々、京都へも35~50分程度、神戸へも80分程度でアクセス出来る。そのような「アクセス」の環境にあるのです。
電車は本数も多く、大阪へは1時間に6本・約10分おき、京都へも特急を入れると1時間に6本、神戸へは1時間に2~3本・20~30分おきの運転となっており、首都圏の鉄道と利便性は変わりありません。
その利便性の高さから、「地方都市」であるにも関わらず「マイカー」よりも「電車・バス」を利用して通学する人が多いほどであり、その生活スタイルは「田舎」というよりは首都圏郊外の生活スタイルにそっくりとなっています。首都圏からの移住でも、駅に近い場所であれば「クルマ」を使わない生活スタイルを維持できるというのが奈良に住むメリットの一つと言えるでしょう。
とにもかくにも「近鉄電車」
日本一交通が便利な「田舎」を支えている交通手段。それはとにもかくにも「近鉄電車」です。JR線も奈良駅からの場合便利にご利用頂けますが、奈良市内の大半のエリアは近鉄奈良線・近鉄京都線・近鉄けいはんな線などの沿線になっており、大阪・京都・神戸方面へ向かう電車が頻繁に運行されています。
近鉄電車は市内の移動でも、大阪・京都・神戸への移動でも大活躍。また、近鉄百貨店やKIPSカード、近商ストアに近鉄グループの奈良交通バス・近鉄タクシーなど、生活のありとあらゆる場面に「近鉄」グループが登場します。
関連記事:【徹底比較】大阪から奈良へのアクセス手段まとめ(近鉄・JR)【電車で奈良へ】
関連記事:【徹底比較】京都から奈良への交通アクセスまとめ(近鉄電車・JR線)【観光】
「バス利用」も不便ではありません
奈良市内は、上記のように大阪・京都・神戸方面へ向かう電車が便利ではありますが、郊外の住宅地などから各駅へアクセスする場合には、「バス」の利用が必須のエリアも多くなっています。とりわけ近鉄学園前駅と近鉄・JR奈良駅周辺は大都市圏並みのバス路線が整備されており、郊外から多数のバス路線が駅前にやってきます。
「バス利用」と聞くとすなわち「不便」というイメージを持たれる方は多いですが、奈良の主要バス路線の場合、多いところでは昼間でも1時間に10本以上、離れた団地でも1時間に2~4本、15~30分間隔でバスが走っている所が多くなっています。
また、近鉄学園前駅に関してはラッシュ時には周辺道路が「マイカーの乗り入れ禁止」となり、そもそもバス以外使うことが出来ません。学園前駅の朝は1時間に100本以上のバスが乗り入れ、離れた団地からも4~5分おきにバスが走っていたりしますので、バスを使う上での先入観・心理的な抵抗はほぼゼロと言ってもよい環境となっています。
関連記事:奈良の路線バス(奈良交通)を使いこなすための情報まとめ
将来はリニア中央新幹線の駅が出来る?
現在の話ではありませんが、JR東海が建設中で、2037年には大阪までの開業が予定されている「リニア中央新幹線」。その途中駅は「京都」ではなく「奈良市附近」に設けられることが決まっています。奈良市附近というのがどこを指すのかはまだわかりませんが、少なくとも奈良市・生駒市・大和郡山市・京都府木津川市・精華町周辺、要するに奈良市内、もしくは奈良市から目と鼻の先の隣接自治体に駅が設けられることは間違いありません。
将来的には京都まで行かなくても「東京」へいくリニア新幹線が使えるようになる。今も十二分に便利な交通アクセスが、リニアの開業で更に便利になる。奈良の「交通」環境はそのような恵まれた状況にあるのです。
奈良のキホン「教育環境」
日本一の高学歴県「奈良」
奈良に住む上で、とりわけ首都圏などからの移住の場合、子供さんの「教育」に関する心配をされる方もいるかもしれません。
しかし、奈良はそもそもの土地柄がびっくりするほどに「教育熱心」な場所です。全国学力調査の結果こそ、平均的な数字しか出ていませんが、いざ「大学進学」の実績となると、奈良県は東大・京大などの一流大学とされる大学・医学部などへの進学率が日本一となっています。
高学歴であること=良いということなのかはさておき、奈良は交通の利便性が高いこともあり東大寺学園・西大和学園・灘・大阪星光など日本トップクラスの難関中・難関高校に通う学生が多数居住し、難関校の受験に対応した学習塾も多数ありますので、そのような「教育環境」を望まれる方にはぴったりのまちとも言えるでしょう。
「荒れる学校」が少ない
難関大学への進学率が高い自治体である奈良。しかし、学習熱心な子どもたちが小さなころから「私立」などに分離する形で教育を受けているかと言えば、必ずしもそうではありません。とりわけ小学校においては一般の公立校においても、やはり難関中高一貫校への進学を目指している生徒は多くなっており、いわゆる「荒れる学校」のイメージで捉えられるような公立校はほとんどありません。
また、交通利便性の高さから、大阪・京都方面の私立学校などにも通学しやすく、個々の状況に応じ、選択肢が幅広く持ちやすい地域にもなっています。
奈良のキホン「買い物・商業施設」
駅前に「イオンモール」
奈良のまちは「住みやすい」ということをこれまでは延々と説明して来た訳ですが、生活する上での「買い物」などの環境についてもやはり奈良は恵まれた環境になっています。
特にユニークなのが、地方では「郊外」の「国道沿い」などにあるのが一般的な「イオンモール」が「駅前」にあるということ。市内では高の原イオン・登美ヶ丘イオンという2つがそれぞれ近鉄高の原駅、近鉄学研奈良登美ヶ丘駅と直結しており、クルマのみならず電車・バスで訪れる方がかなり多いという珍しいイオンモールとなっています。
このほか大和西大寺駅前には近鉄百貨店(ならファミリー)もあり、大阪に行かなくても大抵のお買い物はこちらで済ませることが出来ます。
なお、唯一の欠点としては、近鉄・JR奈良駅周辺には「スーパー」以外の住民向け大規模商業施設がないという点が挙げられます。西大寺・高の原・登美ヶ丘という郊外の拠点駅前に大規模商業施設があるため、奈良駅周辺は観光客向けのお店に特化してしまい、住民向けのお店がかえって少ない状況になってしまっていることは否めません。もっとも、駅前にはスーパーは充実しており、近鉄奈良駅から百貨店のある大和西大寺駅までは電車で5分のため、面倒さを感じることは余りないと言えます。住む上での不便さはありませんのでご安心ください。
大阪・京都へ行く人も
市内にも大規模商業施設が点在する奈良市ですが、小売業の売上高ベースでみると、中核市の中では県外への流出が異様に多い自治体となっています。要するにどういうことかと言えば、大阪・京都・神戸などに便利な近鉄電車で「お出かけ」してしまう人が非常に多いと言う事であり、実際に奈良市内ではなく「あべのハルカス」や「阪急うめだ本店」などにお買い物に行く奈良市民は相当数いらっしゃいます。
税収という意味ではあまり良い話ではありませんが、気軽に都心部へお出かけ可能。という意味ではやはり奈良は住みやすいまちであると言えるでしょう。
おわりに
以上、奈良に住む上で知っておきたい奈良の「キホン」と言える内容について、大雑把ではありますがいくつかのテーマごとにまとめてまいりました。
要するに、簡単にまとめ直す、奈良は
「都会的なライフスタイルが可能なのどかな地方都市」と言うことが出来るでしょう。
住む上でのストレスは少なく、交通も非常に便利で行きたい時に大阪・京都などにいつでも行ける。
近年は高槻・西宮・宝塚・草津といった大阪近郊の都市に押されて「住みたいまちランキング」上位などに取り上げられることはなくなりましたが、本来はもっと評価されてよい都市。それが奈良のまちなのです。
ぜひ、利便性とのどかさの絶妙なバランスが保たれた奈良のまちへの移住を検討してみてはいかがでしょうか。
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