【移住】奈良の町家・古家に住むとはどういうことか?物件状況・費用・生活スタイルなどを解説します

このページでは、「奈良移住」で常に一定の関心が寄せられる「町家・古家に住む」というテーマについて、メリット・デメリットの両方を含む、なるべく実態に即した「リアル」な状況を解説していきます。


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町家を探すということ

物件が少ない奈良のまち

奈良の町家に住みたい。そう思っても、まずしなくてはならないのが物件探し。奈良に縁がなかった人であれ、奈良に住んでいる人であれ、物件探しは基本的にはまず最初は不動産会社などのサイトを見たり、実際に不動産会社などに問い合わせて状況を確認する場合が多いでしょう。

しかし、結論から言ってしまえば、奈良のまちで流通している町家の件数は極めて少ないです。

はっきり言えば、ほとんど流通していないと言ってもよいかもしれません。

京都であれば、高額物件も多いものの、常に市内のあちこちで町家物件が売り買いされていますが、奈良はそれがほとんどありません。

それもそのはず、そもそも奈良市内の町家は、合計しても1000棟にすら及びません。京都の町家は合計4万棟あるのと比較すると、全く状況が違うことがお分かり頂けると思いますが、これでは流通が活性化するはずもないのです。

奈良町家に住みたいと思った場合の第一の壁は、絶対的な物件数の少なさにあります。

なお、長屋などの古家については、件数が少ないながらも一定程度の流通があります。詳しくはエリアごとの解説などでご紹介してまいります。

どうやって物件を探すか

流通が少ない中でどうやって物件を見つけるのか。その最も無難に方法は、継続的なリサーチを続け、時間をかけて探す。当たり前ですがこれしか方法はありません。

町家と言っても、住みたい建物のイメージは人それぞれ。町家物件が仮に売りに出ていても、希望したイメージから外れているケースもあるでしょう。粘り強く探して希望にマッチする物件が見つかるまで我慢するしかないのです。

もちろん、時間を掛ければ見つかるかどうかの保障もありません。ひとまず奈良に移住したい。そういう場合は町家にこだわらず、奈良に来て住まいを見つけてから町家を探すというほうがよいでしょう。

探し方としては、奈良の不動産会社に問い合わせるのはもちろんですが、奈良市が設立した「奈良町町家バンクなども見ておきましょう。町家バンクは正直に言うと成約実績はそれほど多くなく、活動は低調ですが、時折不動産会社には降りてこないような物件が見つかります。物件がなくても定期的にリサーチを続ける。町家探しには粘り強さが肝心となります。

また、一般的な手法ではありませんし、簡単にできるような事ではないのでおすすめは出来ませんが、奈良町エリアに知人がいたり、人脈を広げていくことが出来るならば、そのようなルートから探してみるのも一つの手段です。

さて、流通が一定程度ある長屋などの古家については、賃貸のニッセイ ・ 株式会社ピュア ・ すまいの裕 といった不動産会社が得意としています。後程解説するように「きたまち」エリアに長屋・古家物件が充実しており、きたまちエリアであればいくつかの物件の中から吟味することも出来るでしょう。

賃貸か、売買か

さて、仮に少ない母数の中で物件が見つかったとしても、住む方法としては、当たり前ですが賃貸と売買の2種類があります。

賃貸、売買のいずれがよいかは、必ずしも一概には言えませんが、自分で改修する必要がある物件もあれば、リフォーム済みで引き渡す物件もあったりしますので物件ごとの状況は千差万別です。
もし町家を購入するのであれば、自分が町家でどのような暮らしを望んでいるか、売り主の方は物件にどのような思い、意向を有しているのか、改修の必要性、負担はどのくらいか。自分も含めたあらゆる利害、現状を鋭く観察する必要があります。

そのような自信がもしなければ、最初は賃貸契約が無難と言えるでしょう。

なお、長屋(古家)については、基本的に賃貸物件しかありません。売買物件が出るケースは建物の性質上町家以上に少ないと言って差し支えありません。もっとも、賃貸しかない代わりに家賃はリーズナブルであり、改装や店鋪利用が可能な賃貸物件もありますので、町家と比べるとかなり気軽に住める・使えるようになっています。

エリアごとの町家・長屋(古家)の状況

ここからは、奈良市内の各エリアごとの町家・長屋(古家)物件の状況について解説していきます。

ならまちエリア

奈良市内で最も町家が多いエリアであり、観光客も多数訪れるならまちエリア

しかし、町家物件の流動性という意味では、他のエリアと変わりなく流通は大変少なくなっています。近年では店舗利用の賃貸契約も増加しており、純粋な生活拠点としての町家を手に入れることは容易ではありません。
また、不動産価格についても、近年は右肩上がりの状況であり、ならまちエリア周辺でも北側の観光客が多いエリアであれば、もし町家物件が売りに出たとしても、それなりの広さを持つ物件であれば、少なくとも5000万円以上、場合によっは1億円以上の価格が付く可能性があります。また賃貸でも15万円以上の価格が付くと考えられ、気軽に住めるような状況にはありません。

もし、常識的な価格帯で、昔ながらの雰囲気を求めるのであれば、他のエリアでも共通することですが、昭和初期などに建てられた長屋、古家を賃貸で借りるのがおすすめです。長屋・古家は町家とは厳密に言えば全く異なる建物ですが、内装などはレトロ感あふれる意匠となっている場合がほとんどですので、ノスタルジックな空間に憧れるといったニーズは十分に満たして頂けます。長屋・古家の流通も多くはありませんが、町家よりは数多く出回っています。

きたまちエリア

ならまちエリアとは異なり、近代建築や穴場的雑貨店、飲食店などが点在するきたまちエリア

町家建築については、ならまちエリア程の大規模なものは少なく、流通している場合は別途改修が必要な物件などが2000万円弱〜4000万円台程度で売り出されていた実績があります。もっとも常に物件が出回っている訳ではなく、本格的な町家を手に入れるためには時間がかかることに変わりありません。

一方で、きたまちエリアではならまちエリア以上に昭和レトロ感あふれる長屋・古家の賃貸物件が比較的充実しています。

賃貸のニッセイ ・ 株式会社ピュア ・ すまいの裕 ではきたまちエリアの長屋・古家物件がほぼ常時取り扱われていますので、自分の興味、ニーズに合った物件を探してみるとよいでしょう。長屋・古家の家賃は4万円台から10万円程度のものが多く、本格的な町家と比べると圧倒的なお手頃価格となっています。

高畑エリア

春日大社の神官がかつて多数居住した社家町として知られる高畑エリア。高畑エリアは近年歴史あるお屋敷が古家付き土地として売り出されるなど歴史的建築を取り巻く環境は厳しくなっており、物件の流通も少ない状況です。

また、純粋な町家物件と言える建物は少なく、社家町の面影を残すお屋敷、昭和レトロ感あふれるお屋敷など、他のエリアとはまた違った建築が多くなっています。

長屋・古家についてはきたまちエリアほどの流通はありませんが、昭和レトロ物件と言えそうな長屋・古家・アパートなどは時折出回っていますので頻繁にチェックすると良いでしょう。

京終エリア

物件数は多くありませんが、町家の体裁を持つ建物が2000万円程度、また賃貸の場合は7万円台で出回った実績があるのがならまちエリアの南側に広がる京終エリア。近鉄奈良駅などから比較的離れていることもあり、不動産価格が比較的安い状況となっています。

物件の絶対数が少ないので、物件が出るかどうかは運次第ですが、町家風建築にしても、長屋・古家にしても物件があればリーズナブルに購入・賃貸可能な貴重なエリアとなっています。

町家に住むということ

改修・リフォームの必要性

町家に住むことになった際、一番最初に直面する問題となるのは改修・リフォームを巡る問題

長屋などであれば賃貸がほとんどであり、借主の持ち出しが発生することは少ないですが、町家などを購入した場合は、老朽化した姿のまま買わざるを得ない場合も多く、そのような場合、生活できる環境を整えるために多額の改修費用がかかることもあります。

時には改修費用が割安なハウスメーカーの注文住宅の建設費を超える場合すらありますので、購入を検討される際には、建築家の方や不動産関係者の方と改修・リフォームの必要性、また費用についてもしっかりと相談しておく、説明を受けておく必要があります。

町家の特性に応じた生活

また、リフォームをして住みやすく改良したとしても、「町家」という建物の構造が根本的に変わる訳ではありません。

町家は一般的に風通しがよく、換気しやすい空間となっており、夏場などはそのおかげで一般の住宅などと比較すると「暑さ」が緩和される一方、冬になるとその逆で非常に寒くなります。また建て替えに近い改修を実施しない限り水回りの動線を使いやすくしたり、段差を全てなくすようなこともできないため、高齢になるほどに住みにくい空間になっていきます。この点は町家ほどではありませんが昭和レトロ感あふれる「長屋」・「古家」についても当てはまります。

現代では重視されるようになった家族の中でのプライバシーについても、町家の各部屋はマンションなどと比較するとやはり「個人単位」の空間とはなっておらずプライベートの確保には不向きであり、むしろ町家空間は常に「仲間」や「お客様」を相手にしながら日常を過ごすようなライフスタイルに適した空間となっています。

ご近所付き合いは?

ちなみに、町家を巡っては、その他にも「古い町並み」の中で住まうということで、「近所付き合い」の状況について不安を持たれる人もいらっしゃるようです。

これについては、地域単位のみならず、どのような「お隣さん」・「お向かいさん」などがいらっしゃるのかによっても左右されますので一概にどうこう言える問題ではありませんが、奈良全体・ならまちやきたまちエリアなどの一般論で言うと、奈良は近所付き合いが「古いエリア」も含めてやや希薄な傾向、「特に何をやっても何も言われない」一種の放任的な環境があります。そのため他所から移住してきて付き合いの多い「地域社会」をイメージしていた方が意外に人間関係が薄いことに驚かれる。というパターンのほうが多いと考えられます。

もちろん、トータルでは付き合いが「希薄」とは言え、地域単位で様々な「まちづくり活動」をされているエリアも多数あります。しかしそれも「強制参加」のようなものではなく、やりたい人・意欲ある人が率先してやっているという状況です。

また、「移住」して来た方は、様々な商売・個人事業を行われている方も多いため、多方面への意識の高い「移住」コミュニティのようなものに属して様々な情報のやりとりや人間関係作りをされている方も多く、それは必ずしも旧来の住民・高齢者のコミュニティと密接な関係がない場合もあります。

要するに、移住にあたっての地域社会との関わりは、そこまで不安に思うほどのことはない。ということです。よほど迷惑になる行為をしない限り、どのようなライフスタイル・付き合い方でもおおよそ受け入れてもらえる。奈良はそんなところです。

まとめ

以上、奈良で「町家」などを探す・住むということが「どういうこと」なのか。というテーマに従って実際の状況・環境をなるべく詳しく解説してきました。

簡単にまとめ直すと

・町家は物件数が圧倒的に少ない

・長屋(古家)物件は賃貸で複数ある場合が多い

・町家は現代のライフスタイルには適していない

ざっくりこのようなことを説明してきました。

町家に住むという選択は比較的資金面でも勇気のいることですので、まずは長屋・古家住まいを賃貸で「お試し」してみて、その後更にステップアップしたければ、資金があれば「町家」を探してみるという流れが本記事筆者の「おすすめ」ですが、それぞれに個々のニーズ・生活スタイル・資金力があると思いますので、皆さんの希望に合うような形で「町家・長屋」物件探しをして頂ければよいかと思います。

なお、物件探しの際には「自分の希望(ニーズ)」・「売主・大家さんの思い」・「不動産会社側の解釈・条件」などをしっかりと説明・把握した上で事実誤認のないようにはお気をつけください。


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