白川郷(白川村)の「雪事情」とは?【2m以上の積雪もある豪雪地】

自然・気候

こちらのページでは、岐阜県の北端部に位置し、国際的な観光地として知られる世界遺産「白川郷」周辺地域(白川村)について、その「雪事情(雪の降る・積もる傾向など)」を解説していきます。

一帯は、白川郷の「合掌造り」の建物に多くの雪が積もった風景で知られるように、日本国内の中でもかなりの「豪雪地」となっており、積雪が2mを上回るような年も見られます。

掲載情報は2022年時点のものです。その後の観測状況などにより、データなどが変化していることも考えられますので、その点はご留意下さい。

白川郷(白川村)「雪に関する基本データ」

観測地点名平年年間降雪量
(cm)
平年年間最深積雪
(cm)
過去最大の積雪深
(cm)
白川972177297(2006/2/9)
【参考】東京8646(1883/2/8)
【参考】岐阜341558(1936/2/1)
気象庁の平年データ・観測データによる
平年月間降雪量
(cm)
平年月間最深積雪
(cm)
過去最大の積雪深
(cm)
11月12594(1988/11/26)
12月20184262(2005/12/27)
1月340148280(2006/1/11)
2月251173297(2006/2/9)
3月149125223(1984/3/11)
4月1932153(1984/4/1)
観測地点:白川
気象庁の平年データ・観測データによる
積雪量5cm≧10cm≧20cm≧50cm≧100cm≧
平年年間積雪日数105.0101.695.375.244.3
観測地点:白川
気象庁の平年データによる

気象庁は白川村内「白川アメダス(白川郷の近く)」で雪に関する観測を実施しています。

雪の量は極めて多く、最深積雪の平年値は「177cm」と1m以上の積雪が基本で、年平均で3か月以上も雪が積もるような環境となっており、過去には3m近い積雪を記録した年もあります。同じ県内でも岐阜市とは比較にならないくらいの雪の多さで、日本国内でも有数の豪雪地の一つと言える状況です。

また、標高が500m近い場所ということで気温が低い傾向を持ち、12~2月以外の時期にも雪が降りやすい場合がある(特に3月の雪はごく一般的)ことも特徴となっています。

白川郷(白川村)「月別の降雪・積雪傾向」

白川郷(白川村)の「雪事情」について、各月ごとの大まかな傾向をまとめると以下のような形になります。

雪の傾向
11月・雪はまれに降る場合あり
・時折積雪を観測する年も見られる
12月・雪のシーズンに入る
・連日の雪になり、どんどん積雪が増える場合も
・12月中に「積雪1m」を観測することが多い
・基本的には「根雪」となる
・暖冬の場合雪が少ないことも、但し「雪が積もらなかった」年はない
1月・雪が最も多い傾向となる時期
・長期間雪の日が続くような場合も
・積雪は50cm~1m台程度が多く、豪雪年は「2m」以上を観測の場合も
・一部の暖冬を除き、大半の年で1か月を通して「根雪」に
・1日で50cm前後積もるような大雪が見られる年も多い
2月・1月に次いで雪が多い傾向
・連日の雪となる場合も
・積雪は最も多くなりやすい時期
・特に雪が多い年は2.5m前後~の積雪に到達するケースも
・一部の暖冬を除き、大半の年で1か月を通して「根雪」に
3月・雪が降る、積もることは依然一般的
・但し「雪の頻度」は12~2月と比べ大きく減少
・根雪が次第に解けていく時期
・3月中には積雪が完全に消えない場合も多い
4月・雪が降る、新しく積もることはまれ
・根雪が4月の当初にまだ残っている場合あり
・残った雪は急速に解ける傾向
・雪が4月後半まで残ったケースは過去にごくわずか
白川郷周辺を基準とした場合

白川郷(白川村)雪の量の変化は?

※データは2022年冬までのものです。

白川アメダスにおける年間降雪量(積雪差)の推移(1984~2022年)
白川アメダスにおける年間最深積雪の推移(1984~2022年)

記録がしっかり残る1984年以降について、2022年までの期間について各年冬の降雪量(年間積雪差の合計)と、最も雪が積もった際の量(年間最深積雪)を見ていくと、上記のようなグラフに表せます。

変化が見られるのは降雪量の方であり、近年は過去と比べ明らかな減少傾向が見られます。但し、最深積雪は2020年のような極端な暖冬となった年はかなり少ない一方、2022年にも250cm以上の記録的積雪となっているなど、豪雪がなくなっているような状況にはありません。

白川郷(白川村)の雪事情「ここがポイント」

東海北陸の「気象庁の観測地点」として最も雪が多い

白川郷近くにある気象庁の「白川」アメダスで観測される雪の量は、平均した場合東海3県・北陸3県にある気象庁の観測地点の中では「最も雪が多い」観測地点となっています。

雪は1m以上の積雪をほとんどの年で観測し、多い場合は2m以上、まれに2.5m以上の積雪を観測するなど、国内でも特に雪が多い「豪雪地」の一つとなっています。

積雪が続く期間も長く、12月に根雪となり、その後4月の始めまで雪が消えずに残る年もあるなど、場合によっては4か月程度~雪が見られる場合もある地域で、長期に渡り「スタッドレスタイヤ」などの利用が不可欠な環境です。

なお、気象庁以外の観測地点(自治体による計測)を含めた場合、北側の富山県南砺市内では3m以上の積雪も一般的に見られるため、厳密には東海3県・北陸3県の中で最も雪が多い場所ということにはなりません。

どうしてこれほど雪が多いのか?

白川郷一帯で雪が多くなる要因は、「日本海からの距離」と「山地の存在」、そして「気温の低さ」などが関わっています。

冬に一帯で雪が降る場合、基本的には「冬型の気圧配置」によって「日本海」から流れて来る雲が陸地に掛かる形で雪をもたらしますが、岐阜県内では白川郷は石川県・富山県に最も近い場所の一つであり、雪雲が消えずに直接流れ込みやすい環境にあたります。

また、白川郷の西側には両白山地の険しい山々がそびえており、山の斜面で雪雲が発達しやすい結果、雪がまとまって降りやすい環境となっています。

加えて、白川郷一帯は標高で見た場合「500m近く」と平地より高い場所にあたり、例えば金沢と比べ平均気温は5℃程度も低く、結果として「平地で雨・みぞれ」でも「白川郷一帯は雪」というケースが多いことも雪が増える要因となっています。

雪がない年はある?

白川郷周辺は、ほとんどの年で長期間雪が積もり続ける「根雪」となり、冬に観光で訪れる場合は大半のケースで「雪景色」をご覧頂くことが可能です。

但し、近年の温暖化傾向などもあり、白川郷周辺ですら「根雪」とならない年が生じる可能性もないとは言い切れません。

歴史に残る水準の「大暖冬」となった2020年冬には、白川郷一帯では2月に一時的にまとまった積雪を記録したものの、12月・1月・3月は積雪ゼロの期間が大半で、積雪が1か月以上続くことがなかった「根雪なし」のシーズンとなりました。

過去を通して「根雪なし」のシーズンは上記の2020年冬のみですが、今後気温上昇の傾向が進むに従って、長期的にはこういったケースが次第に増加する可能性も「一般論」としては考えられると言えるでしょう。

白川郷(白川村)の雪事情【まとめ】

  • 気象庁の観測地点(白川)としては東海北陸で「最も雪が多い」
  • 積雪は1m以上が一般的、多い年は2m以上となる
  • 雪は12~2月に多く、気温が低いため3月の雪なども一般的
  • 真冬には長期間・連日「雪の日」が続く場合あり
  • 「根雪」が基本で、雪が多い場合4月まで雪が残るケースも
  • 雪が多い要因は「日本海からの距離・山地の存在・気温の低さ」などが関係

岐阜県全体・周辺の「高山市・飛騨市」の「雪事情」については、上記の記事で解説しております。