この記事では、日本一の桜の名所と言っても差し支えない奈良「吉野山」への交通アクセスについて、近鉄電車による吉野駅へのアクセス情報を中心に、吉野山内におけるアクセスも含め解説していきます。
吉野エリアへは、大阪阿部野橋駅・橿原神宮前駅などから近鉄電車(特急・急行・臨時快速急行)にご乗車頂くことで、比較的スムーズなアクセスが可能です。
なお、「クルマ」によるアクセスについても説明しますが、基本的に桜のシーズンには渋滞などに見舞われる可能性が高くなりますので、お花見へは「マイカー」ではなく「公共交通機関」の利用をおすすめします。
吉野山へは「近鉄電車」が便利
京阪神からの直通バスなどはありません
圧巻の桜が咲き誇り、金峯山寺などの歴史ある寺社が世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部にも含まれている吉野山。
観光客が大勢訪れる吉野山へのアクセス手段は、吉野山内ではなく各地からの広域アクセスについては、「近鉄電車」一択となります。
吉野山へ京阪神・奈良からアクセスする定期運行の直通バスなどは一切ありません。季節を問わずバスで来られている方は、全て旅行会社の企画するツアーの観光客、または外国人の団体旅行者であり、原則として一般の方がその場でご利用できるものはありません。
大阪阿部野橋駅(天王寺)からスムーズにアクセス
近鉄電車は、列車によっては大阪阿部野橋駅(天王寺)始発の近鉄南大阪線の電車が途中経由する橿原神宮前駅から吉野線へと直通運転しており、大阪阿部野橋駅(天王寺)からは吉野行きの「特急」・「急行」が利用可能です。
なお、昼間時間帯については、直通電車は「特急」のみとなり、急行系統は「区間急行」の場合が多く、行き先は原則的に「橿原神宮前」止めのため、橿原神宮前駅で吉野行き普通電車への乗り換えが必要です。但し、本数に変わりはなく1回乗り換えるだけですので、利便性は大きく下がる訳ではありません。
本数は急行(区間急行)は30分おき、特急は約1時間おきの運行となっており、吉野山という「田舎」のイメージと比べるとアクセス利便性は確保されています。また、所要時間については大阪阿部野橋駅~吉野駅間で特急約1時間15分、急行約1時間30分となっています。なお、特急には乗車券の他に520円の特急券が必要です。
吉野山と言うだけで、不便なイメージを持たれる方も多く、何も調べずにマイカーでアクセスしてしまう場合もあるようですが、特に桜のシーズンは、次項で述べる通り臨時列車の運行や直通列車の増便もあり、電車で行ったほうがスムーズな場合が多くなっています。ぜひ近鉄電車を利用して吉野山にアクセスしてください。
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桜のシーズンには臨時列車も運行
吉野山が1年で最もにぎわいを見せる桜の見頃・シーズンには、大阪阿部野橋駅始発の臨時列車が多数運行されます。
一部の日程では特急は約30分間隔に増発されたり、臨時快速急行も運行されるなど、日頃は閑散としている近鉄吉野線・吉野駅が大阪都心部を走る電車のようににぎわいを見せます。
特急券については、通常時は乗る直前の購入で間違いなくご利用可能なのですが、この時期ばかりは事前に特急券をお買い求め頂く方が確実にご利用頂けるでしょう。
吉野駅から吉野山へのアクセスは?
吉野山へのアクセスについては、近鉄電車で吉野駅までアクセスできることがわかりました。一方で、吉野山駅から吉野山内、桜の名所「下千本・中千本・上千本・奥千本」や「金峯山寺」などへアクセスする交通手段はどうなっているのでしょうか。
ロープウェイは「桜のシーズン」は毎日運行
近鉄吉野駅から、山上エリアまでのアクセス手段として最も有名なものとしては、吉野大峯ケーブル自動車という会社が「吉野ロープウェイ」を運行しています。
吉野ロープウェイは老朽化などで2017年4月より2年近くに渡って運休したこともありますが、2019年春の桜のシーズンに合わせる形で「運行再開」となっており、その後は再び便利なアクセス手段としてご利用頂けるようになっています。
なお、閑散期の一部曜日は運休・代行バス運行となっている場合がありますので、詳しい運行日程については 吉野大峯ケーブル自動車公式サイト などをご確認下さい。
ロープウェイは、近鉄吉野駅のすぐそばにある「千本口駅」から「吉野山駅」を結んでおり、吉野山駅は吉野山上エリアの最も北側にあるため、中千本・上千本方面などへは、桜のシーズンで交通規制が敷かれている時期には駅から上り坂を更に歩いていくことになります(交通規制がない時期には運行日・本数は限られますが路線バスもあり・桜シーズンの路線バスは竹林院前~奥千本口のみ毎日運行)。
金峯山寺方面へお越しの場合にはロープウェイは最も便利な交通手段ですが、桜のシーズンになるべく歩かずに直接中千本・上千本方面などへ行かれる場合は、次項でご紹介している「奈良交通の臨時バス」も便利な場合もあります。
ロープウェイの運賃:片道450円・往復800円(大人)
運行時間帯:主に9~17時台(桜シーズンの一部はやや早い時間・遅い時間の運行あり)
運行日:桜のシーズンは毎日・それ以外は原則金~月曜日・冬季運休の場合あり
※最新の状況については、運行事業者の公式情報をご確認ください。
桜の時期に便利な奈良交通路線バス
桜のシーズンに運行される奈良交通バスの臨時バスは、近鉄吉野駅前から「中千本公園」までのルート(途中如意輪寺前停車)で運行されており、運行期間は1か月程度と臨時バスとしてはかなり長いことが特徴です(2024年の桜シーズンは3月23日~4月21日の毎日運行)。
中千本公園は、金峯山寺や多数のお土産屋さんのある吉野山の中心的エリアの南端部、標高の高い場所にあり、ここを観光拠点に吉野駅に歩いて下るような形で観光して頂くことが出来るほか、再度中千本公園に戻りバスで駅へ戻って頂くことも出来ます。
また、上千本や奥千本エリアへアクセスする場合の拠点としても便利な場所であり、上千本方面等へ行く場合はロープウェイよりも便利な交通手段としてご利用頂けます(竹林院前~奥千本口への吉野大峯ケーブルバスに乗り換えも可能)。
また、桜のシーズンは観光客数に応じて随時増発運行されるため、混雑で「乗り切れない」ケースや「極端に待たされる」ようなことも少なくなっています。
奈良交通バスの運賃:大人450円
奈良交通バスの所要時間:約20分(桜のシーズンは乗客数に応じて随時増発運行)
吉野山上の路線バス「奥千本口ライン」について
吉野大峯ケーブル自動車が運行する吉野山上を南北に結ぶバス「吉野山奥千本口ライン」は、吉野神宮~ケーブル吉野山駅~金峯山寺前~竹林院前~奥千本口バス停を結ぶ路線バス(その他バス停もあり)であり、一部の日程で運行(原則土日祝の運行・桜のシーズンといった多客期に限り毎日運行・冬場は長期運休の場合あり)されています。
桜の時期を除きロープウェイとは乗り継ぎが考慮されており、ロープウェイから乗り継ぐことで中千本・上千本・奥千本方面へアクセス可能です。ちなみに「吉野神宮」のバス乗り場は近鉄吉野神宮駅とは離れた実際の吉野神宮の近くにありますので、ロープウェイを使わない電車との直接の乗り継ぎは現実的ではありません。
なお、桜のシーズンで交通規制が掛かっている場合は、吉野山駅周辺はバスで移動できません。バスは、竹林院前から奥千本口までの運行に変わります。
吉野山奥千本ラインは昼間の一部のみ桜のシーズンは30~60分間隔(利用状況に応じ増便の場合あり)、それ以外の時期は1日5往復程度の運行、吉野山駅~竹林院前の運賃は200円・奥千本口までは500円となっています。
徒歩で登ると?
近鉄吉野駅からは、「七曲坂」などと呼ばれる比較的きつい上り坂を徒歩で移動することで、吉野山上、金峯山寺方面へ移動することも出来ます。
近鉄吉野駅を降りて南側、ロープウェイの駅の脇の小道を通り抜けていくと、七曲坂に入ります。吉野町役場は、七曲坂を徒歩で登ることを推奨していますが、坂道は思いのほか急なので、高齢の方、小さなお子様連れの方などは徒歩で登るのはやめておいたほうがよいかもしれません。
なお、坂道を上りきればロープウェイ吉野山駅近くに出ますので、あとは金峯山寺方面にゆったりと歩いていくことが出来ます。
各地から吉野駅までの所要時間・運賃まとめ
※運賃額は、原則として2023年4月1日の近鉄・JRなどの運賃改定後の額を表示しています。
大阪駅・梅田から
JR大阪駅~(環状線内回り)~JR天王寺駅・近鉄大阪阿部野橋駅~(近鉄南大阪・吉野線特急・急行)~吉野駅
運賃:1,380円(特急利用の場合プラス520円)
所要時間:約2時間程度
京都駅から
近鉄京都駅~(近鉄橿原線特急・急行)~橿原神宮前駅~(近鉄吉野線特急・急行)~吉野駅
運賃:1,480円(特急利用の場合プラス1340円)
所要時間:約1時間45分~2時間15分程度
神戸三宮駅から
阪神神戸三宮駅~(阪神なんば線直通快速急行)~阪神・JR西九条駅~(大阪環状線内回り)~JR天王寺駅・近鉄大阪阿部野橋駅~(近鉄南大阪・吉野線特急・急行)~吉野駅
※この他JRで天王寺へ行くルート、難波から地下鉄で天王寺へ移動するルート、難波からそのまま近鉄線に入り大和西大寺経由で移動するルートなどもあり
運賃:1,670円(特急利用の場合プラス520円)
所要時間:約2時間30分程度
近鉄奈良駅から
近鉄奈良駅~(近鉄奈良線)~大和西大寺駅~(近鉄橿原線特急・急行)~橿原神宮前駅~(近鉄吉野線特急・急行)~吉野駅
運賃:1,030円(特急利用の場合プラス520円)
所要時間:約1時間30分~1時間45分
和歌山駅から
JR和歌山駅~(JR和歌山線)~JR・近鉄吉野口駅~(近鉄吉野線特急・急行)~吉野駅
運賃:1,630円
所要時間:約2時間15分~2時間30分
名古屋駅から
近鉄名古屋駅~(近鉄名古屋・大阪線特急)~大和八木駅~(近鉄橿原線橿原神宮前行き)~橿原神宮前駅~(近鉄吉野線特急・急行)~吉野駅
運賃:2,890円(特急料金は1,930円)
所要時間:約2時間45分~3時間程度
※新幹線利用で京都経由のルート早い場合もありますが、料金が倍近くなりますので利用はおすすめできません。
関西空港から
JR関西空港駅~(関空特急はるか・関空快速)~JR天王寺駅・近鉄大阪阿部野橋駅~(近鉄南大阪・吉野線特急・急行)~吉野駅
運賃:2,240円(特急利用の場合はるか号自由席はプラス660円・指定席はプラス1190円、近鉄線区間はプラス520円)
所要時間:約2時間10分~2時間30分
伊丹空港から
大阪空港南ターミナルバス乗り場~あべの橋・近鉄大阪阿部野橋駅~(近鉄南大阪・吉野線特急・急行)~吉野駅
※この他大阪モノレール・阪急・地下鉄(または大阪環状線)で天王寺(阿倍野橋)へアクセスするルートあり
運賃:1,810円(特急利用の場合プラス520円)
所要時間:約2時間~2時間30分
吉野山の混雑(桜のシーズン)について
吉野山エリアは、冬や夏は閑散としていることも多いですが、春には日本一の桜の名所と言ってもよい観光名所として大勢の観光客が訪れるほか、秋の紅葉シーズンにも春ほどではありませんが、紅葉狩りを楽しまれる観光客が一定程度訪れます。
ここでは、混雑が激しくなりやすい春の桜のシーズンの混雑状況について簡単に解説しておきます。
春の混雑・注意事項について
※混雑期間であっても当然ながら「早朝」などは比較的人が少ないですので、混雑時間帯を避ける「分散通勤」ならぬ「分散観光」もおすすめです。但し、その場合は日程によっては徒歩で山をのぼることになる場合があります。
<電車>
桜のシーズンの近鉄電車は、通常期のように必ず座れるという状況ではありません。座席指定の特急電車については、午前の吉野方面行き、午後の大阪阿部野橋方面行きなど一部日程で満席となる場合もあり、桜の見頃が土日祝日に当たる場合は、とりわけ早めの予約がおすすめとなっています。
行き帰りの際、駅の窓口で特急券を買う場合は混雑するケースもあります。近鉄のネット予約・発売サービスから「チケットレス特急券」を事前に購入するのがスムーズです。また、特急料金不要の急行・臨時快速急行については大阪阿部野橋駅や吉野駅という始発駅では早めに待っておくことで、座ることが出来る場合もありますが、場合によっては立席となる可能性も十分にあります。
<ロープウェイ>
吉野山駅からの主要アクセス手段であるロープウェイは、車体が小さいため一度に大勢の利用者の方をを輸送することは出来ませんが、「頻発」運行となっているためいつまで待っても乗れないほどの混雑に見舞われることはなく、移動手段として便利に利用可能です。
但し桜シーズンの混雑時は、乗車口(駅)できっぷなどを買って乗車するまでにしばらく並ぶこともあるかもしれません。
<バス>
吉野駅から吉野山エリア(中千本など)への主要交通手段である奈良交通の臨時バス。バスは基本的に約30分間隔のダイヤとなってはいるものの、利用者の多さに応じ「随時運行」となっており、運行期間中に常に同じ時間で運行されるとは限りません。
バスは駅を降りて正面のスペースから発着しており、駅から出ればバスと係員の方の姿が見えますので、乗り場探しで迷うようなことはありません。
また混雑時は随時運行されているため、ある程度の時間待つことはありますが、バスに乗りきれずに何本もやり過ごしながら長時間待たされるようなことは基本的にありません。
<マイカー>
マイカー(原付・自動二輪含む)は、混雑時とは判断されない桜のシーズンの一部日程については吉野山エリアに一部ルートからのみ入ることが可能(下千本吉野山観光駐車場まで・中千本及び上千本方面)なケースもありますが、混雑状況次第でマイカー規制が掛かる場合があり、利用は必ずしも推奨できません。
また、一部の土日については混雑が激しくクルマによる乗り入れは完全禁止になりますので、離れた駐車場から「パークアンドバスライド」が実施されます。パークアンドバスライドの場合、クルマでアクセスしても、2000円の駐車料金(協力金)が掛かる上に専用シャトルバスに乗り換えて吉野山へアクセスする形になりますので、マイカーでアクセスして来るメリットは少ないと言えます。
また、いずれにしても吉野川沿いの国道などのアクセスルートは渋滞することもあり、大阪・奈良市方面などからの場合(特に休日)、所要時間面で電車より速くなるようなことは考えにくい状況です。
交通規制などの日程・マイカーによるアクセス方法については、 吉野町公式サイト など公式的な情報をご確認ください。
まとめ
以上、奈良「吉野山」への交通アクセスについて、アクセス手段の概要・各地からのアクセス情報・混雑状況などについてまとめてきました。
桜のシーズン以外は閑散としていることも多い吉野エリアは、基本的にはのんびり、ゆったりと電車でアクセスするのがおすすめです。
また、桜のシーズンは交通規制などの関係上、そもそもクルマでのアクセスはお勧めできません。電車も混雑傾向となりますが、あらかじめ特急を予約したり、少し早くからホームで待っておくなどすれば、そこまで苦労するようなことはありません。
駅で降りてからも、ロープウェイや奈良交通の臨時バスを利用すれば比較的スムーズに山内にアクセスできますので、凄まじい観光客の数であってもそのイメージほどに心配する必要はありません。
春の観光シーズンに留まらず、みどりが美しい夏の風景、雪化粧した冬の風景なども実に美しいですので、ぜひ近鉄電車を利用して、四季折々の吉野山を味わいに訪れてみてはいかがでしょうか。
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