【復原遣唐使船】奈良では珍しい「船」の展示からかつての「大航海」に思いをはせる

ごあんない

日本における「進取の文化」の象徴的存在を復原

復原遣唐使船(ふくげんけんとうしせん)は、平成30年春に開業した平城宮跡歴史公園「朱雀門ひろば」の一角、遣唐使についての解説コーナーなどが設けられた「天平うまし館」に隣接する位置に設けられている巨大な「船」であり、かつて「遣唐使」を中国に運んだ「遣唐使船」を精巧に復原したものとなっています。

「遣唐使」とは、奈良時代がはじまる前(飛鳥時代)から平安時代初頭にかけて当時の中国(唐が支配)に、日本から貴族や僧侶らを使節として派遣中国の高度な文化・技術、また仏教の経典などを持ち帰ることを目的として行われていたもので、回数としては約250年間の間に20回程度実施されたものと考えられています。

有名な派遣者としては阿倍仲麻呂・ 吉備真備・太安万侶・山上憶良・最澄・空海といった人物が知られていますが、随行者は医師や留学生、技術者や船の操舵を行う船員らなど含まれるものであり、奈良時代には1隻100人を越え、更に数隻の船団を組んで東シナ海を渡るという比較的壮大なスケールで行われていたとも考えられています。

船室内部以外は自由に見学して頂けます

なお、遣唐使船は「復原」といっても、当時の正確な史料などは残されておらず、その規模も含めて復原された姿はあくまでも「推定」のものとなっています。船体は全長30m・全幅9.6m・排水量300トン・積載荷重150トンというスケールで再現されており、現代の日本の大型船舶と比べれば極端に大きなスケールとまでは言えないものの、1300年前の船舶として考えると相当な巨大な船であったと考えられます。

船の見学については、「天平うまし館」内にある入り口から観覧証を受け取った上で無料で見学して頂く(9時30分~18時の間)形になっており、船室の内部こそ見学できないものの、基本的に通年「甲板」の上に自由に上がって見学して頂けるようになっており、重厚な船室部分、また船尾・船主・帆柱などを見ていると実際に海の上にいるかのような雰囲気を感じさせる存在となっています。

なお、この船は平成22年(2010年)に開催された平城遷都1300年祭の際に復原されその後も展示されてきたものですが、朱雀門ひろばの開業とともに実際に水の中に浮かんでいるような演出がなされるようになっており、時折船の近くから水煙が上がる様子を写真におさめることも出来るようになっています。

復原遣唐使船のみどころ・風景

船の全体像・甲板部分

復原遣唐使船

船の全体像は、見学ルートの外側、天平うまし館の近くにある広場からご覧いただくのがおすすめとなっています。現在は周辺に水が張られ、奈良らしからぬ「海」の文化を感じさせる風景が広がっています。

船の周りからは、時折水煙が吹きあがる演出も行われています。

甲板部分は自由に見学して頂けるようになっており、団体観光客の方にも人気のスポットになっています。

船首部分

復原遣唐使船の船首部分

船尾部分には、船の進行方向をつかさどる「舵」が再現されています。舵は数人がかりで力をこめて操作していたようで、当時の労苦が伺えます。

船尾部分

復原遣唐使船の船尾部分

船尾部分には、船が流されないように留め置くために使用される「碇」が再現されています。碇は鉄製ではなく当時はまだ木製の碇であったと考えられており、こちらでも巨大な木の碇が再現されています。

帆柱

復原遣唐使船の帆柱(マスト)

帆柱(マスト)の部分には帆は張られていませんが、「網代帆」と呼ばれる「竹(布ではありません)」を利用した昔の帆が再現され畳んだ状態で設置されています。

各船室部分

遣唐大使の部屋は、遣唐使の中でも高貴な身分の方のみに与えられたと考えられる個室となっています。

こちらは「賄い部屋」。遣唐使船の正確な資料はないためあくまでも推定ではありますが、「火」を使ってお湯を沸かすなどの作業が行われていた可能性もあったとも考えられています。

こちらは「雑居部屋」。当時は当然ながら「個室」などはほとんどない時代であり、雑魚寝などをする過酷な船旅であったと考えられています。

アクセス

各駅からのアクセス

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅から「学園前駅(南)(奈良市庁前経由)」行き乗車、「朱雀門ひろば前」バス停下車、北に徒歩4分

ぐるっとバス(土日祝日・観光シーズンのみ運行)

・JR奈良駅、近鉄奈良駅から「ぐるっとバス平城宮跡ルート」乗車、「朱雀門ひろば」バス停下車、南東に徒歩2分

近鉄大和西大寺駅から南東に徒歩約20分

※駐車場については「朱雀門ひろば」の記事をご覧ください。

近隣スポット

復原遣唐使船は朱雀門ひろば内「天平うまし館」に付属する施設となっています。

天平みつき館から南東に徒歩2分・平城宮いざない館から南西に徒歩4分・朱雀門から南東に徒歩4分

第一次大極殿から南に徒歩13分・第二次大極殿跡から南西に徒歩14分・平城宮跡資料館から南東に徒歩15分

復原遣唐使船周辺地図