奈良「正倉院展」の日程・内容・混雑対策・アクセス情報まとめ

日本を代表する「古代の名宝」をしみじみと味わう贅沢な時間を

この記事では、奈良の1年で最も有名な行事(展覧会)とも言える、奈良国立博物館で実施される「正倉院展」について、その内容や楽しむコツ、混雑状況や交通アクセスなど、知っておきたい情報を一覧形式でまとめていきます。

正倉院展とは何か

唯一無二の「天平時代」にルーツを持つ伝統工芸品等の展覧会

奈良の秋には欠かせない恒例行事である「正倉院展」。その名前は、奈良にお住まいの方でなくてもニュースや新聞でしばしば報道されるため、聞いたことのある方は多いかもしれません。

その、「正倉院展」とはどんなイベントなのか。

それは、簡単に言えば、奈良時代に建設された立派な東大寺の倉庫である「正倉院」に所蔵されてきた奈良時代の様々な伝統工芸品などの「宝物」を毎年奈良国立博物館で大々的に展示するという、日本最大級と言っても過言ではない「伝統工芸品」の展覧会です。

戦後すぐに開始された正倉院展は、現在に至るまで毎年欠かさず実施され、最近はメディアに取り上げられることも増えたため、訪れる観客も大変多くなっています。

日本のみならず「中国」・「ペルシャ」の工芸品も

さて、そんな正倉院展で展示される「宝物」には、一体どんなものがあるのでしょうか。

その中身を見てみると、奈良時代に日本国内で制作された美術工芸品も多数あるのですが、なんといってもユニークな点は、「中国」・「ペルシャ」などの「シルクロード」沿い、そしてあげくの果てには「ローマ帝国」に由来するものまで世界各地の文化を反映した様々な宝物があることが挙げられます。

「グローバル化」などと言われる現在の日本ですが、既に奈良時代に「宝物」の流通という形でグローバルなつながりがあったという「古代ロマン」をしみじみと体感して頂けるのが、「正倉院展」の醍醐味にもなっているのです。

毎年数十点の「宝物」が展示されます

なお、展示される「宝物」は、全ての宝物が毎年同じように展示されるという訳ではまったくありません。

正倉院に収蔵している「宝物」は、小さなものも含めれば数千点にのぼり、毎年の正倉院展では、そのうちのわずか数十点が展示されることになるのです。

すなわち、同じ宝物をもう一度見るようなことはなかなか難しいばかりでなく、一生かかっても全ての「宝物」は見られないような、毎年の一つ一つの展示が大変貴重な物となっている訳なのです。

基本情報(開催日程・観覧料金など)

開催日程・時間

開催日程は、基本的に毎年10月下旬から11月中旬にかけての約2週間に渡り実施されます。毎年日程や曜日の並びが決まっている訳ではなく、

平成30年であれば

10月27日(土)~11月12日(月)

となっていますが、日程は年によっ1週間前後ずれる場合がありますので、その年の日程をあらかじめしっかりと確認しておいてください。

開館時間は、基本的には

午前9時~午後6時

となっていますが、特に大勢の観光客が訪れる「金曜日・土曜日・日曜日・祝日」に関しては、

午後8時まで

開館しています。なお、様々な施設と同様、入館は閉館時刻の30分前までとなっています。

会場

正倉院展の会場は、奈良国立博物館の「新館(西新館・東新館)」で実施されます。美しい明治時代の建築が魅力の「なら仏像館」では実施されておらず、なら仏像館の東側が会場となっていますので、お間違えのないようにご注意ください(当日は大勢の観客がおり、様々な案内表示も充実していますので、それに従って入場して頂ければと思います)。

観覧料金

正倉院展の観覧料金は、

当日料金

一般1100円、高校・大学生700円、小中学生400円

前売り・団体料金

一般1000円、高校・大学生600円、小中学生300円

オータムレイト料金

一般800円、高校・大学生500円、小中学生200円

となっています。

(※団体は責任者が引率する20名以上の団体のみ・上記料金に関わらず障害者手帳をお持ちの場合は介助者1名も含め無料)

また「親子ペア」で入場される場合のみ

特別料金1100円

となっており、昼間の場合は一人ずつの料金と比較してかなりお安く入場して頂けます。ちなみに、親子ペア券は「前売り」のみで、博物館ではなく主要プレイガイド及び一部のコンビニエンスストアのみで販売されています。

なお、「オータムレイト料金」は、

混雑が比較的少ない時間帯である月曜日~木曜日の午後4時30分以降、金曜日・土曜日・日曜日・祝日の午後5時30分以降の時間帯に限って使用可能な当日券となっています。オータムレイト券の発売は使用可能になる時間の1時間前から当日券の売り場で発売しています。

その他

・正倉院展会場では「音声ガイド」も貸し出しており、個々の作品の解説を聞きながら観覧して頂くことができます。

・会期中は「公開講座」や「学術シンポジウム」、またいけばなやお茶会などのイベントも開催されます。

・事前予約制の無料「託児所」も会期に合わせて設置され、子どもさんを託児所に預けて正倉院展を観覧して頂けるようなサポート体制も取られています。

(詳細は以下のリンクから正倉院展の案内をご確認ください。)

正倉院展の「混雑」について

土日はとにかく混む

「正倉院展」と言えば、その体験談としてしばしば語られるのが、「混雑」の問題。正倉院展会場には1日に1万人を越える人が集まり、特に「当日券」を購入しようとされる方の長蛇の列ができることで知られています。

とりわけ土日の昼間の時間帯は、次々に観客が博物館に押し寄せるようにやってきますので、「当日券」を買う行列に、更に入場する行列、そして館内でも展示品を見ようとする観客の人混みで、最初から最後まで通勤ラッシュのような気持ちで鑑賞する羽目になることもしばしばです。特に当日券を買う行列は、1時間待ちになるようなことも珍しくありませんので、土日に手ぶらでお越しの方は、混雑を覚悟していく必要があります。

混雑を回避する手段は?

では、混雑を回避したいと思ったら、具体的にどうすればよいのでしょうか。

前売り券の購入

まず、「当日券」購入の行列という最大の難所を回避するために、「前売り券」を買っておくという手段が挙げられます。

前売り券は、博物館の観覧券売場のほか、各プレイガイド一部のコンビニエンスストア等で正倉院展の会期が始まる前日まで販売しています。特に枚数が限定されているわけではありませんので、正倉院展に行こうとお考えの場合は、少しお得な値段にもなる「前売り券」を購入しておくことをおすすめします。前売り券があれば、少なくともチケットの購入で並ぶ必要は全くなくなりますので、かなり時間のロスが減らせます。前売り券をお持ちの場合は、そのまま入場口へ行って頂く形で入場してください。

プレミアムカードなどを使う

また、奈良国立博物館の名品展がいつでも無料で観覧できるようになり、正倉院展などの「特別展」も各特別展ごとに2回まで無料で観覧して頂けるようになる「奈良博プレミアムカード」をお持ちの場合も、前売り券と同様、そのまま入場して頂けるようになっています。プレミアムカードは一般の場合5000円と少し割高ではありますが、年に複数回奈良国立博物館を訪れる場合にはぜひ持っておきたいカードです。

また、新聞社をはじめとする各所から一部の方に配布される場合がある「招待券」をお持ちの場合も、もちろんチケット売り場に並ぶ必要はありませんので、時間のロスを減らすことができます。

狙い目の時間帯はいつ?

さて、前売り券などを持っていても、入場口の混雑や、館内の人混みを全て避けられるわけではありません。

正倉院展そのものを比較的静かに観覧したいような場合は、そもそも「行く時間」を「空いている時間」に合わせていく必要があります。

もちろん、会期中にはどのようなお客様がいつ訪れるかはわかりませんので、博物館側も混雑しやすい時期は特定できないということを言ってはいますが、いくつかの比較的混雑が緩やかな時間帯、日程があるということも確かです。

平日(特に水曜・木曜日)

当たり前のことですが、会期中は最も混雑するのは基本的には「土日」となっており、平日は混雑しますが土日ほど混雑することはめったにありません。また、奈良観光全体にも共通することですが、とりわけ水曜日、木曜日などは観光客数そのものが比較的少なくなりやすいので、この曜日を選んでいくと、多少は混雑が緩和されることが多いでしょう。

但し、曜日を選んでいくだけではあくまでも「混雑」が多少ましになる程度ですので、根本的に「静かな」環境で観覧して頂くということにはなりません。

ランチタイム

また、こちらも決して「混雑」が解消するわけではないにせよ、多少混雑がましになる「時間帯」として、「ランチタイム(正午~午後1時半頃)」が挙げられます。正倉院展には団体ツアーで大挙して訪れる高齢者なども多く、そのようなツアー客は基本的にきちんとした「お昼の時間帯」にきちんとした昼食をとられますので、その時間には少なくとも「ツアー客」と出会うことによる混雑は回避しやすくなるわけなのです。しかし、これもあくまでも混雑の「緩和」に過ぎません。

雨の日

混雑がなくなることはありませんが、確実に人の数が少なくなる条件としては、「雨天・荒天」というケースがあります。正倉院展に訪れる方は、正倉院展以外にも奈良観光を楽しむ目的をお持ちの方が多くなっており、そのような方は雨天になるとやってこない、もしくは日程を変える傾向にありますので、お客さんの数は晴れの日よりは少なくなる訳なのです。

但し、館内の大混雑の原因となる「ツアー客」の方は、天候に関係なく訪れますので、これも混雑を回避する決め手とは言えません。但し、先述した内容と組み合わせれば、「雨の日の昼ごはんタイム」は、比較的空いている可能性が高いということにはなるでしょう。

夕方以降

「空いている」ということを実感しながら正倉院展をお楽しみ頂くためにはどうするか。それは、夕方以降の遅い時間帯に観覧するという手法が唯一の選択肢です。

「オータムレイト料金」の設定からも伺えるように、午後4時30分以降の遅い時間帯は「観光客」は大阪や京都などへ「帰り始める」時間帯となっているため、正倉院展全体から考えるとお客さんの少ない時間帯となっています。

この時間帯であれば、少なくとも日中のような大混雑に遭遇する可能性は大きく下げることが出来ます。唯一の欠点は、じっくりと鑑賞したいにも拘らず、平日の場合午後6時までしか見る事ができないという点があり、平日の場合は夕方に入館して1時間余りで必ず退出しなくてはなりませんが、週末であれば午後8時まで開館していますので、かなり遅い時間帯から入館して頂いてもじっくりと展示を味わって頂けるようになっています。

正倉院展への交通アクセス

バスが便利!

「正倉院展」が行われる「奈良国立博物館」へのアクセス

基本的にその交通アクセスは「公共交通機関」以外はおすすめできません。正倉院展に専用駐車場のたぐいは一切なく、近隣の駐車場も満車になる可能性が極めて高く、渋滞リスクも高くなってしまいますので、マイカーでのアクセスは余りにも非効率となってしまいます。

そのため、基本的には「近鉄奈良駅」・「JR奈良駅」からバスを利用してアクセスして頂くのが最も無難なアクセスルートとなっています。

バスは「市内循環外回り」・「中循環外回り(近鉄奈良駅からのみ)」にご乗車頂き、「氷室神社・国立博物館前」のバス停で降りて頂ければ、道路を渡った向こう側には正倉院展の会場である奈良国立博物館の新館が建っています。ほとんど歩くことなく駅から便利にアクセスして頂けるわけなのです。

バスの運賃は210円、ICOCAなどの全国のICカード乗車券もご利用になれます。また、正倉院展期間中は随時臨時バス(「高畑町(奈良公園)」行きなど)が増発され、バスを余り待つことなくスムーズに利用して頂けるようになっています。

なお、お帰りの際はこちらも博物館の真正面にある「東大寺大仏殿・国立博物館」バス停をご利用ください。全てのバスが近鉄奈良駅・JR奈良駅に行くようになっています。

歩いていく事もできます

また、バスではなく、のんびりと歩きながらアクセスすることもできます。

徒歩の場合JR奈良駅からは「三条通り」を通って頂き途中「猿沢池」付近からは「興福寺」の境内を通り抜け、表示に従い東に進んで頂くと25分程度で、近鉄奈良駅からは駅前の通り沿いをひたすら東に進むと15分ほどで国立博物館に到着します。

案内表示も多く、迷うこともまずありませんので、時間にゆとりのある方や健脚の方は奈良を散歩しながら正倉院展を見に行くのも悪くはないでしょう。

まとめ

以上、奈良の秋を彩る貴重な展覧会「正倉院展」について、その内容や楽しむコツなどをまとめてきました。

「ガラガラ」になるようなことはまずありえない人気イベントである以上、「混雑覚悟」で好きな時間に訪れてみるのも一つの手段ですし、ご紹介したように比較的混雑が緩和される夕方や夜などを狙い目に行って頂くのもまた一つの「戦略」と言えるでしょう。

いずれにせよ、行って後悔するような展覧会ではありません。奈良時代に生み出された、また世界各地から持ち込まれた驚くほどの「美」を体感できる唯一の空間に、ぜひ訪れてみてくださいね。