金沢市の「雪事情」とは?【市街地でも差が出る?】

自然・気候

日本有数の観光都市であり、国際的にもその歴史文化が注目を集める「金沢市」。気候を見た場合、典型的な「日本海側気候」であり、冬場には雪が降りやすい特徴があります。

こちらでは、金沢市の「雪事情」について、雪の降る・積もる傾向、時期など基本となるような情報をまとめて解説していきます。

※こちらの記事の全ての情報は、基本的には金沢市街地の状況を前提とした「過去の一般的な傾向」を示すものです。個別の状況に応じ、雪の積もり方などは変化する場合があります。

雪の降る時期は?

降り始める時期「体感的」な意味での初雪は概ね12月中のことが多い
「気象庁が観測」する意味での初雪の平年日は11月下旬(11月24日)
・気象庁の「初雪」は「自動観測」で、体感的な把握とはかなり異なるもの
頻繁に降る時期12月後半〜2月頃
気圧配置によっては「連日の雪」が降るケースも一部見られる
暖冬の年は、真冬であっても雪が降りにくい期間が続きやすい
12月前半や3月に雪が降るケースもあり
降雪が終わる時期「体感的」な意味での初雪は概ね3月中のことが多い
「気象庁が観測」する意味での終雪の平年日は4月上旬(4月7日)」
・気象庁の「終雪」は「自動観測」で、体感的な把握とはかなり異なるもの
金沢市街地の状況(過去の一般的傾向)

金沢市は、雪が冬場には頻繁に降りやすい地域です。市街地など平地は北日本のように寒い地域ではないため、雪が降りやすい時期は概ね12月の後半頃〜2月頃とさほど長いとは言えませんが、寒波が持続する場合などは、連日のように断続的に雪が降る場合もあります。

初雪の観測に関する留意点

気象庁が現在金沢の「初雪」や「終雪(最後の雪)」を判断する方法は、「自動観測」です。自動観測は、厳密には雪が降っているかどうかを実際に確認するものではなく、気温・湿度を当てはめた計算式に基づき、この気温・湿度なら「雪」といった形で、数値的な基準のみで「観測」したとみなすやや特殊な仕組みです。そのため、体感的にはどう見ても雪が降っていないような条件であっても、雪が降ったものとして「観測」される場合が多々あります。

雪の量はどのくらい?

一般的な冬何度も繰り返し雪が積もりやすい
・頻度で見た場合、うっすら〜10cm台程度の場合が多め
・20cm以上、場合によっては30cm以上などまとまった積雪も一部で見られる
基本的に「根雪」にはならない
雪が多い冬50cm以上の積雪記録あり
状況次第では「根雪」の場合あり
・気象台が移転する前の昭和時代のみ、1m以上の積雪記録あり
雪が少ない暖冬雪が積もる機会がかなり少ない
最大で数cm〜10cm前後に留まるケースも
金沢市街地の状況(過去の一般的傾向)

金沢市は、通常は雪が積もる頻度が比較的多い地域です。雪は冬場には繰り返し何度も積もりやすくなっています。

但し、市街地の場合はうっすら〜10cm台程度など、大雪と言うほどではない積雪の場合も目立ちます。もちろん、時には20〜30cm以上などまとまった積雪となる事例もありますが、頻度として見た場合、そこまでの積雪には達することなく、積もって比較的早く解けるケースも多いと言えます。

一部の強い寒波の影響を受けやすい年には、積雪が50cm以上に達することもあり、短時間で集中的な大雪に見舞われる場合もあります。このようなケースでは、気温などの状況次第では、長期間積雪が残る「根雪」状態が市街地でも見られますが、頻度としては少なく、根雪にならない年が近年では多くを占めます。

気象庁の平年データ(1991〜2020年)
金沢地方気象台
雪の観測地点は

金沢で観測される雪の量は、平成以降その他の周辺地域と比べても、より急激に減少しているように見えるデータがあります。雪の減少自体には、「温暖化」などももちろん大きく関係していますが、特に金沢で突出している要因としては、気象台の観測地点の移転(やや内陸側の弥生地区→海に比較的近い西念地区)も一つの可能性としては考えられます。

こちらのテーマについては、上記の記事で別途解説しています。

雪が降る条件は?

主な気圧配置冬型の気圧配置(西高東低)
大雪となるパターンJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の影響(強い冬型の際などに発生)
雲の動き(冬型)西寄りから雲が入る場合に雪が降りやすい
北北西から雲が入る一部のケースでも「市街地側・沿岸部」を中心に雪が降る場合あり
その他の気圧配置・南岸低気圧
※「冬型」と比べ頻度は極めて少なく、影響を体感するレベルにない

金沢市は日本海側の気候であり、冬場を中心に西高東低の「冬型の気圧配置」で雪が降りやすい地域です。

雪は「西寄り」から雲が入り込む場合に降りやすく、パターンとしてはいわゆる「里雪型」と呼ばれるケースで雪が増えやすいですが、金沢の場合は、北北西方向から雲が流れ込む場合についても、平地を中心に雪がある程度まとまって降るケースがあり、ややイレギュラーなパターンが存在します。

1日で20〜30cm単位などで降る「大雪」は、基本的にほぼ全てのケースが「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」と呼ばれる雪雲の帯によるものです。こちらは、大陸側にある山地の影響で、日本海上で異なる風向きの風が発生し、その風同士がぶつかって発生するものであり、寒気が強い冬型の気圧配置となる際に見られやすくなっています。

冬型の気圧配置以外の要因で雪が降るケースは、関東などに雪をもたらす「南岸低気圧」の影響をごくまれに受けますが、頻度が多い「冬型の気圧配置」と比べ目立つ存在ではありません。

各地との地域差は?

富山市街地
高岡市街地
・金沢市街地の方が雪が少なめ
福井市街地・金沢市街地の方がやや雪が少なめ
小松市街地・金沢市街地とそれほど大きな傾向の差はない
七尾市街地・金沢市街地の方がやや雪が多め
輪島市街地・金沢市街地の方が雪が多め
平均的な傾向の比較であり、「個別具体的なケース」では一部の地域で積雪の量が逆転・増減することもあります。

金沢市街地の場合、北陸の平地では特に雪が多い地域という訳ではありません。富山県側の方が雪は明らかに多めの傾向があるほか、福井市街地と比較した場合でも、福井側の方が雪が多めの傾向が見られます。

金沢の方が雪が多くなるケースは、能登半島の一部地域と比較したような場合に限られると言えるでしょう。

市内の地域差は?

雪が少なめの地域金石、大野など日本海沿岸部
気象台周辺と概ね同等の地域金沢駅周辺など
気象台周辺よりやや多くなる地域香林坊、兼六園周辺より概ね東側内陸側市街地
気象台周辺より多くなる地域金沢大学、金沢学院大学周辺など山に近い地域
気象台周辺よりかなり雪が多くなる地域キゴ山周辺、湯涌温泉周辺など山間部の地域

金沢市は、市内の地域ごとに雪の降る頻度・量が大きく異なる場合があります。

気象台のデータは、市内では雪が少なめの状況として示されるデータであり、市街地でも内陸側ではより雪が多くなるケースが少なくありません。とりわけ、台地の上にあたる小立野方面などは、都心部からも遠くない地域ながら、積雪量に相応の差が生じることがあります。

また、山沿いにあたる地域は、より一層雪が増える傾向があります。市街地の延長線上にあたる金沢学院大学周辺(末町など)といった地域も、雪は明らかに多めです。

山間部と言える地域については、標高が高い場所では多くの年で積雪が1m以上となるケースも見られるなど、市街地とは傾向が全く異なります。根雪が長期間見られる地域もあり、車の運転などには特に注意が必要です。

金沢市街地の地理的条件

金沢市街地は、金沢平野と呼ばれる平地を中心に、小立野台地と呼ばれるやや小高い地域なども含め広がっており、同じ市街地でも地理的な特徴は異なり海からの遠さなども応じ気温差が見られるため、雪の量が変化する場合があります。香林坊や金沢駅周辺など都心部は標高がかなり低くなっていますが、郊外ではやや高く100m程度の地域も存在します。

まとめ・注意点

・金沢市は「日本海側気候」であり雪が降りやすい
・市街地の積雪はうっすら〜10cm台程度の場合が最も多め
・時に20〜30cm以上などまとまった量の雪も
50cm以上の大雪は一部の年で見られる
根雪特に雪が多く気温が低い一部の年を除生じにくい

冬型の気圧配置により雪が頻繁に降る
大雪は「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」の影響
・主に「西側」から雲が入る場合に雪が降りやすい
・北北西から雲が入りそれなりの雪が降るイレギュラーなケースもあり

・「北陸の平地」の中では金沢市街地の雪は特段多くない
富山市街地や福井市街地と比べ金沢側の雪は少なめの傾向
金沢市内の地域ごとに雪の状況には大きな地域差あり
気象台の雪「市街地でも比較的少なめ」の環境