大阪府は、その「気候」としては「温暖」とか「暑い」といったイメージが先行しやすい地域で、冬は「雪が少ない」ことで知られています。
こちらでは、雪が少ない大阪府の「雪事情」について、少しマニアックな内容も含め、その大まかな全体像を解説していきます。
※当記事内の情報は「過去の一般的な傾向」を解説するものです。実際の状況はその時々の気象条件・地域に応じ大きく変化する場合があります。
雪が少ない大阪府
どのくらい雪が少ないかを示す方法には様々な形がありますが、わかりやすい「東京との比較」を用いた場合、大阪府内の平地・都市部で東京23区内よりも雪が積もる機会が多い場所は実質的に存在しません。八王子など雪が降りやすい場所との比較ではなおさらです。
福岡・広島・名古屋・京都との比較でも同様であり、大阪と同じくらい雪が少ない主な大都市は「神戸」くらいしか存在しません。
大阪市で雪が極めてまれ、ほとんど降らない状況については、別途上記の記事で解説しています。
大阪府内の地域差はある?
大阪府内の「雪事情」を、極めて大まかにまとめてみると、以下のような形となります。
【少なさレベル最大】ほぼ降らない・積もらない | 大阪市とその周辺地域(東大阪など中河内地域・北河内地域の大半・堺市の北部など) |
【少なさレベル大】まれに降る・積もる | 上記以外の主な都市部(高槻など北摂方面・和泉山脈や金剛山地に近い都市部など) |
【少なさレベル中】時に降る・積もる | 主に山沿いの地域(能勢町・豊能町・箕面市北部山間部・高槻市北部山間部・茨木市北部山間部・千早赤阪村・和泉山脈一帯・金剛山地一帯) |
【少なさレベル小】雪がやや頻繁に積もる | 能勢町天王地区 |
【番外】雪が当たり前のように積もる | 金剛山頂周辺 |
大:概ね1cm以上積もることが平均すれば2年に1回程度
中:概ね1cm以上積もることは毎年のように見られる、雪が冬の間に複数回積もることがある
小:寒い冬は何度も数cm程度〜の雪が積もる
※あくまでも過去の傾向に基づいた一つの考え方・目安であり、その点はご留意下さい。
都市部はどこでも雪が少なめですが、例えば大阪市と高槻市では、雪が積もる頻度にはかなり差があるように、「少ない」と言っても「ほぼ積もらない少なさ」か「時には積もる少なさ」なのかという「違い」はあります。
大阪市が最も少ない地域であるため、和歌山に近い南へ行けば少なくなるという訳ではありません。例えば熊取町のような府南部の地域(山地ではない都市部)では、大阪市よりは雪が積もる頻度が多くなります。
上記の能勢町天王地区ほどではありませんが、大規模な住宅団地としては豊能町の「希望ヶ丘」も標高がかなり高いため気温が低く、比較的積雪に見舞われやすい特徴があります。
金剛山頂については、標高が1,100m程度のため、気温は「東北北部」や「北海道南部」に近い極寒の環境です。平地では雨でも雪が降る場合や、金剛山周辺だけ雪雲が掛かる場合も多く、寒い年は当たり前のように長期間の積雪(根雪)が見られ、過去の大雪では積雪50cm以上となった事例もあるなど、一般的な「大阪府」の括りではイメージするべきではない特殊な自然環境となっています。
なお、府内の面積のうち、雪が比較的頻繁に積もるエリアは、この金剛山一帯を含めごく一部しかなく、全て標高が500m以上など高めの山地となります。
まれな雪のパターン(気圧配置・雲の動き)を知る
強い冬型の気圧配置
※上記左は能勢地域〜北摂の一部で記録的大雪となった事例、上記右は府南部の一部(河内長野など)で大雪となった事例の天気図
但し、雪雲が発生し、流れ込むためには、強烈な寒気・強い風が基本的に必要です。「単に冬型の気圧配置になった」からと言って、大阪府内で雪雲の影響を受けるとは限らず、むしろ雪が降らない場合が多くなっています。
上記は大阪で「1cm」の珍しい積雪を観測した事例の天気図で、右側は上空に極端に強い寒気が入り、かなり強い風に乗って日本海側から入ってきた「巨大な雲の塊が消えずにそのまま直撃」した事例、左側は通常の冬型の気圧配置と比べ、角度がより「北寄り」に偏った風が非常に強かったため、その風に乗って「無理やり」大阪市まで「断片的な雲が長時間流れ込んで来た」事例となっています。
南岸低気圧
上記は大阪都心で「5cm」という、滅多に積もらないようなまとまった積雪が観測された事例の天気図で、いずれも冬型の気圧配置とは全く異なり、近畿地方の南側、太平洋上に低気圧があり、その影響で雪が降っています。
これは、低気圧がそれほど発達しない場合も多いため、「降る強さ」が関東ほど強くはなく、寒気を上空から引きずり下ろすような形になりにくいことが影響しています。
温暖化傾向が強まる前の時代は、大阪でも時折10cm級の大雪が南岸低気圧により降っていましたが、1990年代の終わり頃からは南岸低気圧の影響で雪が降ることがまれになり、南岸低気圧で1cm以上積もる機会が5年以上も開くようなケースが当たり前になってきています。