埼玉県の飯能市は、東京のベッドタウンとして鉄道の利便性が高い街である一方、市域のかなりの割合は広大な山地(秩父山地)が占めるため、気候も地域によって異なる特徴があります。
こちらでは、飯能市における「雪」というテーマで、降る・積もる頻度や傾向などを解説していきます。
雪の降る時期は?
11月 | ・山地も含め雪は極めてまれ ※2016年11月24日に降雪したことがあるものの、滅多にないケース |
12月 | ・山地も含め雪の降るケースは少なめ ・平地では全く雪が降らない年も多い |
1月 | ・年ごとの差が大きい ・多い年は複数回雪となる場合あり ・一部の年はほとんど雪が降らないケースも |
2月 | ・年ごとの差が大きい ・多い年は複数回雪となる場合あり ・一部の年はほとんど雪が降らないケースも |
3月 | ・一部の年で降雪が見られる ・雪がまれな12月と比べると雪が降る頻度は若干増える |
4月 | ・雪はかなりまれ ・11月と比べると過去の「雪」事例は多め(あくまでもごく一部の年) |
飯能市では、雪となる場合ほとんどは12月〜3月の間となっています。雪が降るケースは多くが1・2月で、3月の雪も時折見られます(12月は3月と比べ雪の頻度はより少ない)。
標高に応じ雨・みぞれ・雪と変化する場合がありますので、市内でも市街地ではなく山深い地域(標高が高い地域)では、雪が降るケースが若干多くなる場合があります。
雪の量はどのくらい?
平均的な冬 | ・複数回積もる場合あり ・多い場合積雪10cm前後〜となる ・あくまでも雪が積もっている期間はごくわずか ・積雪が長期間残る場所は、標高がかなり高い山地などに限られる |
雪が少ない年 | ・ごくうっすら程度が1回あるかどうか(市街地) ・ほとんど積もらない場合も(市街地) ・標高が高い地域で積もらない年はほぼない ・温暖化に伴いこのパターンも増加 |
まれな大雪 | ・積雪20〜30cm以上の場合あり ・過去の豪雪では推定50cm以上のケースも(2014年) ・頻度は少なく10年に1回あるかどうか ・山沿いでは積雪が長期間残る場合あり |
飯能市街地の場合、20cm以上積もるような大雪は一部の年に限られ、頻度は多くありません。多くの年ではうっすら〜数cm程度、または10cm前後〜などの積雪が1回は見られ、場合によっては複数回の積雪が見られるといった状況です。
一方で、近年は暖冬傾向が強まる中で、積雪機会はかつてと比べ減少傾向にあり、特に雪の機会が少ない年は、市街地・平地で雪が積もる機会がほぼないような年も一部で見られます。但し、標高が高い山地については、これまでの状況では、どのような年であっても多少の積雪機会は見られます。
地域ごとの状況は?
平地・市街地 | ・先述の通りの状況 ・雪が降る機会はあくまでもまれ ・時に大雪も見られる一方、頻度は少ない |
山沿いの地域(人が住むエリア) | ・平地、市街地と比べ雪の頻度や量がやや増える傾向 ・名栗、坂本、北川、南川方面などで雪が一気に増える場合あり ・長期間の積雪(根雪)は通常ない |
特に標高が高い山地 | ・状況によっては長期間積雪が残る(根雪)ケースあり ・平地、市街地が雨でも雪の場合も少なくない ・その年の状況(低気圧の通過状況)によっては雪が増えにくい場合も |
飯能市は、平地・市街地が面積に占める割合は小さく、実際は「広大な山地」が多くを占める状況です。
山沿い・山地では標高が高い場所もあるため、平地・市街地と比べ雪の頻度・量が増える傾向です。気温が低く路面凍結が生じやすい環境にもなっているため、車で山の方へアクセスする場合は、気象状況に注意が必要な場合があります。
雪が降りやすい条件は?
主な気圧配置 | 南岸低気圧 |
まとまった雪となりやすい条件 | 北から寒気がしっかり流れ込む・寒気が溜まる状態 降水量がまとまる(しっかり発達した雲が長時間掛かり続ける) |
ごくまれに雪が降る気圧配置 | シアーラインの通過(冬型の気圧配置に変わるタイミングなど) |
飯能市で雪が降る場合、ほとんどは関東の南海上を通る「南岸低気圧」によるケースです。
南岸低気圧の状況はその都度様々で、雪がまとまる「寒気が強く雲も発達した状態」になるケースは必ずしも多いとは言えません。低気圧が発達し過ぎて雨になるケース、寒気が強すぎて飯能市まで雪雲が届かないようなケースなどもあり、予想は難しい存在となっています。
なお、冬型の気圧配置に変わるタイミングなどで、異なる風向きの風がぶつかって雪雲を発生させる「シアーライン」による雪も、まれに降ることがあります。但し、頻度は南岸低気圧と比べより少ないため、存在感は目立つものではありません。
周辺地域との比較で見ると?
秩父市街地 | 飯能市街地の方が雪は少なめ |
八王子市街地 | 飯能市街地と概ね同等 但し状況により大きな差が生じる場合も |
所沢市街地 さいたま市街地 東京都心部 | 飯能市街地の方が雪はやや多め |
飯能市街地の雪を、周辺地域と比較した場合、より山地側にあたる秩父市街地よりは少なめ、八王子とは同等程度、東京方面などより海側の地域よりは多めという傾向が見られます。
但し、南岸低気圧による雪などは、状況に応じ様々な降り方となります。例えば、2022年1月6日の雪は、東京で10cm以上積もったものの、飯能市側には雪雲がほとんど流れ込まなかったというケースでした。また、秩父より飯能の雪が多くなったようなケースも存在します。
比較した傾向は、あくまでも全体を平均したものである点に注意が必要です。