東京都で「雪が多い場所」はある?【南岸低気圧】

自然・気候

東京都は、一般に雪が積もる・降ることは「まれ」とされる地域です。実際に、東京23区などでは雪が一度も積もらない年もあるなど、そう簡単に雪景色が見られるとは限りません。

一方で、都内を見渡すと、雪が積もる頻度・量などは、地域によってある程度の違いが見られる場合があります。こちらでは、都内で「雪が多い場所」はあるのか?というテーマで、基本的な状況を解説していきます。

掲載情報は、2023年時点のものです。状況はその後変化する場合があります。また、解説している内容は一般的・長期的な傾向であり、個々の具体的な気象状況を解説するものではありません。

登山を要するエリアでは「根雪」の場合あり

東京都内でも、奥多摩方面をはじめとする山地(登山を要するような場所)では、特に標高が高い地域を中心に「根雪(長期積雪)」が見られることがあります。

具体的にどのくらいの標高、どこの山で根雪となりやすいかは、各年の状況に差が大きいため一概には言えませんが、雲取山周辺などかなり標高が高い山地では、根雪は毎年のようにごく一般的です。高尾山のような山では、日陰など場所によって差はありますが、一般的に根雪となる機会は極めて限られます。

山地の長期積雪は、関東の南海上を「南岸低気圧」が通過し、しっかりした量の雪が降った後に「長期間雪が解けずに残る」というパターンが基本です。日本海側のように、連日・毎日雪が降って積雪が長期間見られるパターンとは異なります。

気温が低い年であれば、日陰を中心に雪が降った後2週間以上経過しても、積雪がしっかり残っているようなケースもあります。

そして、しばらくしてから「次の雪」が積もって、結果として積雪が1ヶ月以上残っていくようなケースとなる場合に、根雪と言える状態となります。

山地の場合、平地・都市部が雨の場合でも大雪となることがあります。そのため、一見すると雪の気配がないような冬・シーズンであっても、山地ではある程度の積雪が長期間残っていた。というようなケースもあります。

登山を検討される場合は、山地の異なる「雪事情」に対し、あらかじめ把握し、注意を払った上訪れるようにして下さい。

例外としての2014年

100年に1度クラスを上回る「豪雪」に見舞われた2014年は平地も含め2度の集中的な「ドカ雪」に見舞われ、奥多摩方面などの一部では1日で1m程度の雪が積もった地域もありました。雲取山方面など特に標高が高い山地では、場所によっては2m程度と推定されるような豪雪がかなり長期間残ったケースもあり、「雪国」同様の風景が見られました。

人が住む地域で最も雪が積もりやすい場所は?

東京都内の「人が住む地域」で雪が多めの場所は、「奥多摩町」及び「檜原村」一帯となります。

具体的には、一例を挙げると檜原村「数馬」地域など、また奥多摩町の「小河内ダム」周辺や「日原」地域などで雪が特に積もりやすいと言えるでしょう。一つの目安として標高500m程度を上回る地域では、雪の頻度は増えやすい環境と言えます。

これらの地域は、平地・都市部が雨の場合であっても、雪がしっかり積もることがあり、20cm以上などのまとまった積雪がそれほど珍しくありません。人が住む地域では「根雪」となることはかなりまれですが、2014年をはじめ、特に発達した南岸低気圧の影響を受けた年は、人が住む地域であっても「根雪」状態となったこともあります。

一方で、低気圧などの影響を受けにくい年であれば、これらの地域でも雪がほとんど積もらない場合があります。

都市部で雪がやや積もりやすい場所は?

東京都内の都市部の場合、基本的に多摩地域側ほど積雪の頻度・量は増える傾向にあります。

但し、そもそも降る機会・積もる機会が限られるため、あくまでも「23区側と比べ多い」といった程度の話となります。

なお、南岸低気圧の状況次第では「逆転現象」が見られたり、多摩地域の中でも大きな差が生じたりする場合があります。

東京にお住まいの方のみならず、全国ネットでもしばしば放映されるのは「八王子駅前」で雪が降る様子をリポートする報道記者の方の姿です。

なぜテレビではすぐに「八王子」の風景を映すのかと言えば、単に「23区内で撮影するよりも『画になる』」ことが多いからと推定されます。

八王子では、東京23区で「うっすら」程度の積雪の場合に「しっかり」積もりやすいため、「定番の撮影スポット」となっているのです。

なお、雪雲の動きや強さは都度異なります。山に近いエリアでも、例えば八王子側では雪がしっかり積もっても、青梅側では比較的少なくなったようなケースもあるなど、状況は都度異なります。また、東京23区側に強い雪雲が掛かった場合、多摩エリアよりも都心側で積雪が見られやすい状況が生じることもあります。「多摩側の雪が多め」は、あくまでも「一般的・平均的な傾向」である点に注意が必要です。

まとめ

東京都内では、本格的な登山を要するような山地では、特に標高が高い場所を中心に雪がやや多い場所があり、長期間積雪が続く「根雪」が見られることがあります。

人が住む地域では、檜原村・奥多摩町の一部では雪が比較的積もりやすい場所があり、平地と比べ積雪が多くなりやすい傾向です。但し、根雪となるケースはかなりまれです。

平地・都市部では基本的に「多摩地域」側ほど23区側と比べれば雪の頻度・量が多めですが、あくまでも「雪がまれ」な中での比較である点に注意が必要です。