八王子市の「雪事情」とは?【雪中継の定番・都内の都市部では雪が多い】

自然・気候

こちらのページでは、東京都多摩地域で最も規模が大きな都市であり、市内の西側は関東山地一帯にあたる「八王子市」について、その「雪事情(雪の降る・積もる傾向)」を解説していきます。

八王子市は、関東平野一帯と山地の境目に位置することから、東京23区などと比べ雪の頻度や量がやや多い特徴を持ち、一般的には「八王子駅前」が「東京の雪」をテレビ中継する際の定番スポットとして知られています。

掲載情報は2022年時点のものです。その後の観測状況などにより、データなどが変化していることも考えられますので、その点はご留意下さい。

八王子市内では公式的な積雪観測はなし

雪中継でおなじみの八王子市ですが、八王子市には気象庁の「八王子」アメダスが設置されているものの、そこでは「雪」に関する観測は行われていません。

そのため、八王子市内における歴史的・比較可能な「降雪・積雪」のデータは存在せず、比較的雪が多いとされる八王子の「雪事情」について、公式データの上から比較をすることは不可能となっています。

なお、大雪となった際には消防署といった場所で臨時観測が行われる場合があります。

観測日八王子
大雪の記録(cm)
東京の最深積雪
2018年1月22日29cm23cm
2016年1月18日16cm6cm
2014年2月15日45cm(消防署)・50cm(片倉)27cm
2014年2月8日41cm27cm
2013年1月14日10cm13cm
2012年2月29日17cm2cm
データ:当時の報道発表・道路情報による

比較的最近の主な「大雪」の記録を見ると、2014年の関東地方全域を襲った豪雪では40cm以上、また2018年の大雪でも30cm近い積雪となっており、ごく一部を除き東京都心で観測された積雪を大きく上回っている状況です。

八王子市「月別の降雪・積雪傾向」

八王子市の「雪事情」について、各月ごとの大まかな傾向をまとめると以下のような形になります。

なお、こちらで述べる傾向は「八王子市中心部(市街地)」を前提としたものです。

雪の傾向
11月・雪は基本的に降らない
・2016年に積雪となった事例あり(極めてイレギュラー)
12月・雪が全く降らない年が多い
・積雪はかなりまれ
1月・雪が積もる年もあれば、積もらない年もある時期
・「南岸低気圧」による影響を受けやすくなる
・年によっては10cm前後~のまとまった積雪、大雪も
2月・雪が積もる年もあれば、積もらない年もある時期
・「南岸低気圧」による影響を比較的受けやすい
・年によっては10cm前後~のまとまった積雪、大雪も
3月・雪となる頻度は減少
・まれに積雪する年も見られ、東京都心と差が生じやすい
4月・雪は非常に少ない一方、過去には複数回雪の事例あり
・近年の場合2019年、2015年、2010年などに降雪あり
八王子市街地を基準とした場合

八王子市内は東側は関東平野一帯の端にあたる丘陵地(市街地)などが広がりますが、高尾山があることからも分かる通り、西側は関東山地一帯に含まれます。

そのため、雪も標高の高さに応じ降る頻度・量は大きく異なる場合があり、市街地では雨でも山地では雪というケースも少なからず見られます。

東京都内における比較では、八王子は「市街地」としては最も雪が積もりやすい地域であり、降水量の関係上、青梅などと比べても雪は多い場合があります。但し、あくまでも都内の基準であるため、雪がほぼ降らない年も見られます。

八王子市の雪事情「ここがポイント」

どうしてテレビ中継と言えば「八王子」なのか

東京で雪が降るとされる場合、テレビ中継は23区内で行われるもの以外は、ほぼ決まって八王子(八王子駅前)で行われるというある種の「ステレオタイプ」が存在します。

なぜ八王子で行われるかについては、テレビ局の公式見解などははっきりしないため断定は出来ませんが、一般に八王子は「雪が多い・雪になりやすい・一番最初に雪に変わる」といった捉え方がされる場合が多く、実際にその傾向は少なからず見られるため、「手っ取り早く雪を撮影しやすい」ことが一つの要因とも推定されます。

但し、東京と八王子で雪の量に大きな差が出る場合(八王子で多い場合)は、八王子の雪の様子=東京都全体の様子として伝わることで、23区内も含めた過度な「大雪」イメージにつながるケースも否定できないため、「八王子の雪中継」は、視聴者側にある種の「メディア・リテラシー」が要求される少し難しい事例という側面も否定できません。

「雪が多い」はあくまでも都市部の基準

中継の定番スポットと化していることからも分かる通り、八王子は都内の都市部では最も雪が多い地域の一つと言えますが、「雪の多さ」は当然ながら、あくまでも「関東平野一帯・東京都の都市部・首都圏の都市部」といった地域における目安に基づく「多さ」に過ぎません。

いくら雪が多いといっても、毎年必ず10cm以上の雪が積もっている訳ではありませんし、雪がほぼ積もらずに冬を終えてしまうシーズンも存在します。

確かに、年によっては15~20cm以上の大雪となるという意味では、雪はやや多いと言えるかもしれませんが、その「多さ」は概ね前橋・甲府レベルといった所であり、首都圏周辺でも山沿いにあたる箱根・秩父といった地域と比べれば雪は余程少ない環境となっています。

八王子市内でも地域差大

八王子市内は、西側は関東山地一帯にあたり、人が住んでいない地域を含めると標高が500m以上の場所も見られます。

山地ではより気温が低いため、八王子市街地が雨であっても雪となるケースも少なからず見られ、例えば高尾山頂周辺なども、八王子市街地と比べると積雪の頻度はかなり多い環境です。

市内の道路でも、大垂水峠周辺など標高が比較的高い場所がありますので、冷たい雨・みぞれの際には市街地で積雪がない場合でも、十分な注意の上運転するのが無難と言えます。

東京都心より雪が少なくなるケースもある?

通常「東京都心より雪が多い」とされる八王子ですが、その傾向に間違いはないものの、ケースによっては「東京都心の方が雪が多い」場合も存在します。

例えば、2022年1月6日は、東京都心で10cmもの大雪となりましたが、八王子市街地は3cm程度にも満たない積雪で、交通への影響は都心部の方が圧倒的に大きくなりました。

こういったケースは、気温ではなく「雪雲」の動きによって生じるもので、雪をもたらす「南岸低気圧」などの動き次第で内陸側まで雪雲が広がりきらないケース(海沿いや千葉県方面に留まるケース)では、積雪の「逆転現象」が生じます。

路面凍結には十分注意・スタッドレスなどは必要

八王子市は、関東平野一帯の大きな都市としては、最も朝晩の「冷え込み」が厳しい地域です。寒気が強い場合は-5℃前後まで下がることもあり、雪が積もった後に解けかけても、それが再び凍ったりするケースも見られます。

雪が積もっている期間自体は一冬のうちごく短いものですが、路面凍結のリスクなども含め考慮すると、凍結時に絶対運転しないというケースを除いては、スタッドレスタイヤの装着などは必要な地域と言えます。

八王子市の雪事情【まとめ】

  • 東京都内の都市部では最も雪が多い傾向
  • 時に10~20cm以上などまとまった雪(大雪)となることも
  • 雪は1~2月に降ることが多く、年によっては3月以降に降るケースなども
  • 雪が見られやすいこともあり、「東京の雪中継」の定番に
  • 市内でも山沿いの地域、高尾山頂などは雪の頻度・量は大幅に増える
  • まれに東京23区の積雪の方が多くなるケースあり
  • 冷え込みが厳しく「路面凍結」しやすい=スタッドレスタイヤなどは必要

高尾山の「雪事情」については、上記の記事で詳しく解説しています。