札幌で降る雪の「雪質」は?【サラサラで乾いた雪・湿り雪】

自然・気候

毎年多くの雪が降る札幌市。冬の様々な観光やウインタースポーツで雪に親しむ機会も多く、世界的に見ても「雪」が最も身近な都市となっています。

そんな札幌で、雪遊びやスキー・屋外を出歩く各種観光の際などに少し気になるのは、その「雪質」。雪がサラサラなのか、湿っているのかなどによって、雪に触れる際の感触・滑り心地・しっかりした傘が必要かどうかなど、その環境・対応はある程度変わるものです。

当記事では、札幌で降る雪の「雪質」について、時期ごとの違いや道内各地との比較などを詳しく考察していきたいと思います。

時期によって「降る雪質」は全く異なる

札幌で降る雪の「雪質」。雪の状態というものは、当然ながらその降る時の気温などで大きく変動しますので、時期によって降る雪のタイプにはかなりの違いが出てきます。

10月の雪質・そもそも降ることが少ない、みぞれ交じりが多い
・まれに降った場合も平地では湿った重い雪
11月の雪質・近年はほとんど降らない年もあり
・概ね湿った重い雪が多く、乾いた雪はかなりまれ
12月の雪質・雪がまとまりやすい季節
・非常に湿った重い雪、乾いた雪の両方が降りやすい
1月の雪質
2月の雪質
・冬型の気圧配置の際は乾いた雪が多い
・低気圧通過時などは湿った雪が降る
・降る強さは12月より弱まる傾向あり、但し積もる効率が上がる
3月の雪質・低気圧の影響をやや受けやすく、湿った重い大雪となることも
・気温が下がるタイミングでは真冬のようなサラサラの雪も
・下旬にかけて雪そのものが減っていく
4月の雪質・そもそも降ることが少ない、みぞれ交じりが多い
・晩秋のような重い雪が降ることも少ない

非常にざっくりと「雪質」の傾向をまとめた場合、上記のような形になります。

札幌市内では秋の終わり~冬の初め頃(雪が降り始めるシーズン)は高い「海水温」の影響から降水量自体が増える時期で、降る量の割には積もる効率がやや悪い「湿った重い雪」が降りやすい時期となります。

12月は次第に乾いた雪も増えるものの、湿った雪が勢いよく降ることも多く、わずかな気温差で雪が積もる量も大きく変わりやすい時期です。

その後真冬になると、そもそも降る強さなどがやや弱くなる傾向がある一方で、気温が低く乾いた雪が解けずにどんどん積もっていくため、サラサラの雪が効率良く積もっていきやすいシーズンへと変わります。場合によっては、雪が弱く舞い続けるだけで道路などが白くなるほどで、スキー場などは豊富なパウダースノーに恵まれやすい状況です。

雪質が乾いた軽い雪の場合、ベトベトと体にまとわりつくことも減るため、多少雪が降っているくらいでは「傘なし」で移動出来ることもあるなど、雨具の使用についても状況は変わってきます。

春先になると、3月などは比較的真冬に近いような雪の降り方をする日もありますが、春は海水温が低く、秋のように降水量がまとまらないことから、雪質を問うまでもなく雪の頻度が減っていく傾向があります。

札幌における「雪解け」については、上記の記事で別途解説しております。

積もっている雪の「雪質」は?

札幌で積もっている雪の雪質については、もちろん降った雪が積もる訳ですので、秋から冬の初めには湿った重い雪が降りやすく、真冬はサラサラの雪が積もりやすいという構図になりますが、雪が降らない日がある場合積もった雪の雪質が変化していきますので、積もっている場所の気温などによって状況は異なります。

例えば、札幌国際スキー場やサッポロテイネスキー場など、ウインタースポーツを楽しむ場所であれば、真冬から3月のまだ寒い時期までは降雪状況にもよりますが、「素晴らしいパウダースノー」と言って差し支えないような絶好の環境が整っていることが多い状況です。

スキー場では、まれに暖気が入って気温が大幅に上がり、みぞれや雨になるなど余程状況の悪い気象条件になった場合は雪質が悪化する可能性もありますが、そういった状況は12月や3月以降が主であり、1・2月は雪質は良い状況がほとんどです。但し、藻岩山スキー場のように都心周辺の積雪量にやや近い傾向を持つ地域や標高の低い滝野スノーワールドなどの場合、雪質を取り巻く状況は異なる年もあります。

スキー・ウインタースポーツに関係なく、市街地や公園など一般的な地面に積もる「雪質」で見ると、いくら札幌と言えども、真冬の全期間が0℃以下という訳ではありませんので、気温が上がったタイミングで一部が解け、再び冷え込んで固く締まった雪になり、雪の層の下ほど固くなっていくという本州の豪雪地などでも一般的に見られる雪質変化のプロセスがよりはっきりと見られます。

すなわち、雪が降ってすぐはふわふわのパウダースノーが平地でも見られても、その後雪が余り降らなかった場合は、当然ながら気温のやや上がったタイミングで少し解け、すぐに締まった固い雪に変わっていきます。

道路など踏み固められやすい場所の場合は「雪質」以前の問題であり、融解と再凍結を繰り替えしたりすることで極めて固い氷の1枚岩のような状態になることも多く、交差点などで車が停止・発進を繰り返すことで走りにくい凸凹が生じることもあります。また、降ってすぐの雪であっても、雪質を問わずその量が多すぎる場合はタイヤとの摩擦熱もあり、スタックしてしまう可能性があります。

雪質をデータから考える

雪質というものは、見た目や触った感触というものが、人間にとって最も把握しやすい方法ですが、冬に雨が降りにくい北海道に関しては、降雪量と降水量を分析することで、比較的わかりやすい指標で考えることも可能です。

地点冬場の降水量冬場の降雪量降雪量/降水量地点冬場の降水量冬場の降雪量降雪量/降水量
紋別137.1mm238cm1.7小樽398.8mm430cm1.1
旭川222.4mm378cm1.7寿都347.7mm366cm1.1
雄部142.3mm236cm1.7札幌319.0mm327cm1.0
北見枝幸236.3mm387cm1.6函館239.1mm244cm1.0
留萌283.0mm428cm1.5根室114.5mm110cm1.0
岩見沢342.0mm 515cm1.5広尾227.3mm214cm0.9
網走160.2mm230cm1.4浦河122.5mm104cm0.8
稚内261.0mm358cm1.4苫小牧134.9mm113cm0.8
倶知安528.4mm689cm1.3室蘭166.7mm121cm0.7
羽幌347.3mm420cm1.2江差264.9mm186cm0.7
帯広124.3mm141cm1.1釧路126.1mm86cm0.7
降水量・降雪量はいずれも平年値

上記のデータは、冬場(12月~2月)の「降雪量」と「降水量」を割った数字を算出したものです。雪も含め降った水の量の合計である「降水量」に対し、雪が積もった量の合計である「降雪量」が多い場合、低い気温で非常に乾いた雪がどんどん降り積もっていることになりますので、雪質の乾き具合・湿り具合をある程度推定することが可能です。

上記のデータでは、道北やオホーツク海側など気温が非常に低い地域ほど、少ない降水量で多くの雪が降っており、道南寄り・太平洋側へ行くほど降水量に対する降雪量が少なくなっています。

もちろん、釧路・江差・室蘭などは冬場でも雨がやや降りやすい傾向があるため、実際に降った雪に限って考えた場合、もうすこし数字は高くなることが考えられます。しかし、そういった事情を考慮した場合でも、道内で降る雪の雪質には、地域によりかなりの違いがあることが分かります。

札幌について見ると、降雪量/降水量は概ね1.0程度と、道内では降水量に対する雪の量はそれほど多くない地域ということになります。とりわけ札幌は、上記の雨になりやすい地域と比べると雪の頻度がやや多く、実質的にはほとんど雨による降水量がない年もありますので、雪で降る場合の雪質は、道内で見た場合かなり「湿った雪」寄りと言えるでしょう。

なお、道内で見た場合「湿った雪」であるという状況は、必ずしも全国的に見て「湿った雪」であるとは限りません。山陰や北陸のように、真冬でも雨になる頻度が高く、降る場合でも湿った非常に重い雪がほとんどの地域もあります。

札幌は道内では湿り雪の傾向があったとしても、体感的な観点からは、少なくとも真冬の1・2月については全国的な比較的では乾いた「サラサラの雪」に近いと言えるでしょう。

札幌で降る「雪の量」全般については、上記の記事で別途解説しております。