結局「札幌の雪」はどのくらい降る・積もるのか【気象データを詳しく見る】

自然・気候

冬は雪。というイメージを持たれることが多い北の大地・札幌市。

一方で、とりわけ観光で訪れるような方の場合、札幌の冬はどれくらいの雪が積もって、どれくらいの頻度で降るのか。という状況を事細かにはご存じではない方も多いかと思います。

当ページでは、札幌の冬に降る・積もる雪について、「どれくらい降る・積もるのか」という点のみをピックアップし、例年の基本的傾向を解説していきます。なお、気象予報ではないため、必ずしも~年の冬。という具体的な意味合いではなく、全体から見て取れる大まかな傾向を解説するものです。

どれくらい積もっているの?【必ず数十cm】

過去最高の最深積雪歴代:169cm
(1939年2月13日)
平成以降:145cm
(1996年2月10日)
過去最低の最深積雪69cm
(1989年12月25日・1963年2月12日)
平年の最深積雪97cm

雪に関する状況で、やはり一番気になるのは雪の積もっている量・多さについて。

札幌の雪の特徴としては、それぞれの年で最も深い・多い積雪量となる場合について、毎年ごとの差がそれほど大きくはならないという点があります。

例えば、本州の日本海側で「雪国」と呼ばれることが多い北陸や新潟といった地域の平地では、暖冬の年には雪が10~20cmと非常に少なく、積もっている日数もごくわずか、逆に寒い冬になると雪が1m前後とかなり多くなる。といったように、年ごとに極端な差が見られます。

一方、札幌の場合は確かに雪が比較的多い年・少ない年の違いこそありますが、その差はそれほど極端なものにはなりません。例えば、近年の雪の量が多い年では最も多い時期で積雪1m20~40cmくらいの雪になり、非常に少ない年は70cm前後となりますが、その差は倍には達していません。また、70cmはいくら「少ない」とは言っても北陸の感覚では「大雪」になるような決して無視できない量の積雪となっています。

要は、暖冬の年だから、雪が少ない年だから。と言って雪への備えをおろそかにしてはいけない。というのが札幌の毎年の特徴と言えるのです。

何日・何時間くらい降るの?【降るだけならほぼ毎日】

年間降雪日数の平年値124.4日
月別降雪日数の平年値10月:0.9日/31日
11月:13.5日/30日
12月:26.8日/31日
1月:29.1日/31日
2月:25.2日/28・29日
3月:22.5日/31日
4月:6.7日/30日
5月:0.1日/31日
過去最多の年間降雪日数年間141日(1987年)
過去最少の年間降雪日数年間104日(1998年)

札幌の雪は、冬場の場合ほぼ毎日のように何らかの形で「降って」います。単に降っただけの記録で見れば、12~3月については降っていない日の方が余程少なくなっている状況です。

積雪が増えるような降り方をする日は、1か月のうち平均すれば10~15日程度。その多くは1~数cm程度の比較的少なめの雪であり、1日に10cm以上降るようなまとまった雪が特別に多いとは言えません。少ししか積雪が増えない日は、当然ながら雪がずっと強く降り続く訳ではなく、一瞬だけ強く降るか、弱い雪がダラダラと降って数センチ以下の降雪量になるような降り方となります。

また、晴れる時間も思いのほか長い日がありますが、そんな日でも一定時間軽く雪が舞ったりすることはよくあることです。この他、ほぼ1日中観測データにはならないような弱い雪が降り続く。という形で「積雪が増えるほどではない」雪の降り方となることも多くなっています。

降る時間帯については、もちろん1日のどの時間帯でも雪が降ることはあり、特段大きな差はありませんが、データを少しマニアックに見て行くと、雪雲の帯・塊が夜間にかけて発生しやすい傾向があることから、夕暮れ~翌朝にかけての時間帯に雪がやや降りやすい傾向にあることは否定できません。但し、これについては気象庁や気象台の公式見解はなく、一部の論文等で指摘されている内容という段階ですので、あくまでも参考としての議論と言えるでしょう。

積もっている期間はどれくらい?【根雪期間長め】

年間平年積雪日数132.8日
平年「初積雪」日11月9日
平年根雪期間12月3日~4月3日
平年「最終積雪」日4月10日
過去最多の年間積雪日数150日(1999年)
過去最少の年間積雪日数109日(1990年)

雪の量もさることながら、「いつからいつまで」雪が積もっているのか(根雪)。という状況も、生活・観光その他にとっては重要な情報です。

これについては、年による差はややあるとは言え、近年では概ね12月初め頃~3月の終わり頃という約4か月間程度が、「雪が積もっている時期」となります。平年では4月まで積雪が続くデータとなっていますが、この数年程度明らかに4月まで雪が残る頻度は減っています。

もっとも、根雪期間は暖冬の年ですら約100日程度に達し、雪のある期間自体は寒い冬でも、暖冬の年でも極端な違いを感じるほどではありません。体感的には、暖冬の場合やや春が早く訪れるかどうか。というくらいの差と言えるでしょう。

雪解けシーズンの詳細については、上記の記事で詳しく解説しています。

雪の多さの「ピーク」は?【3月の場合も】

毎年4か月程度は雪に覆われる札幌のまち。一方で、積もっているといっても、それがごくわずかなのか、1mなのかによって生活への影響などは違ってきます。また、単に積もっているだけ量ではなく、一度に積もる量によって除雪などの対応が全く変わってきます。

積もっている量の変化で見ると、年による差はやや目立ちますが、1月の終わり~3月の初め頃にかけては雪の多さが実感しやすい時期となり、どんなに少なくても50cm前後の雪は少なくともキープされ、年によって1m以上になるなどかなりの積雪量となります。

一番多い積雪量(雪のピーク)が観測される時期は年によって異なりますが、12月中に雪が一番深くなったことは過去2回のみであり、ほとんどは2月中(とりわけ2月の後半)、次いで3月、1月の順に観測されています。暖冬の年を中心に、1月に入ってからもしばらく雪が少ない年がありますが、1月末・2月以降に一定のまとまった雪が降り、どんな年でも相応の積雪量になるのが基本的なパターンです。

また、札幌の場合気温が低い地域ですので、3月になってからも雪が増え続ける年があるのが特徴となっています。但し、3月に気温が上がり始めてからの融け方は早く、3月上旬に雪の量がピークに達した後、下旬には融け切って積雪ゼロになる。ということもあります。

一度に降る雪の量は?【新潟・北陸のようなドカ雪はないものの…】

過去最多の3時間降雪量26cm(2000年3月10日)
過去最多の12時間降雪量42cm(2016年12月10日)
過去最多の24時間降雪量54cm(2016年12月10日)
過去最多の48時間降雪量62cm(2005年1月23日)
過去最多の72時間降雪量80cm(2001年12月12日)
過去最多の日降雪量63cm(1970年1月31日)
過去最多の月間降雪量273cm(1981年1月)
年間降雪量の平年値479cm
日降雪量の観測期間が最も長く、時間単位の降雪量は観測期間が短いため、データにずれあり

雪が多く積もる・長く積もることが特徴の札幌のまちですが、一度に降る雪の量という意味で見た場合どうなのでしょうか。

これについては、10cm単位といったややまとまった量の雪が降ることは珍しくありませんが、北陸や山陰のように、時に70cm~1m程度といった極端な量の雪が1日で降るようなことがあるかと言えば、それはほぼあり得ない。ということになります。

過去に観測した1日の最多降雪量は63cmと、これは鳥取市・福井市・金沢市・新潟市といった札幌と比べ本来大幅に雪が少ない地点と比べても少なくなっており、本州の多くの地域が集中的な「ドカ雪」で積雪量を「稼ぐ」頻度が多い一方で、札幌は「ドカ雪」・「大雪」に影響されやすい積雪傾向というよりは、それなりの量がそれなりの期間しっかりと降る。というデータ上はある種「堅実」な雪の降り方をする地域と言えるのです。

とは言っても、毎年2~5日程度は1日で20cm以上の降雪となる「まとまった雪」となることがあり、そういった場合には道路交通に支障が出ることもあります。

また、雪の降る量で見た場合、むしろ12月中からまとまって降る場合が目立ちます。12月中は気温がやや高く雪が融けやすい一方、海水温が高く雪雲が発達しやすいため、一度に降る雪の量はかえって多くなり、冬の準備が追いつかない間に道路交通など、生活に関わる大きな支障が発生する場合もあります。

札幌市における「ドカ雪・大雪」の状況については、上記の記事で別途解説しております。

札幌で降る・積もる雪の量【まとめ】

  • 少ない年でも70cm、多い年は1m以上の積雪
  • 降るだけであれば冬場は毎日のように「降雪」あり
  • 1年の3分の1以上雪が積もるような環境、暖冬の年でも年100日以上の積雪
  • 雪の量のピークは「2月」が多い(時に3月にずれこむケースも)
  • 新潟のような「ドカ雪」はないものの、まとまった雪は一般的