筑波山の「雪事情」とは?【積雪は一般的・必ず根雪になる山ではない】

こちらのページでは、茨城県内のみならず関東地方を代表する山の一つで、東京周辺からの「日帰り登山」の人気スポットである「筑波山(標高877m)」について、山頂の周辺を基準にした「雪事情(雪の降る・積もる傾向)」を解説していきます。

筑波山は、山として見た場合特段雪が多い場所ではありませんが、標高は比較的高く気温が低いため、積雪することも一般的で、年によっては長期間の積雪となる場合もあります。

掲載情報は2022年時点のものです。その後の観測状況などにより、データなどが変化していることも考えられますので、その点はご留意下さい。

筑波山頂付近の「積雪」観測はない

筑波山では、かつては気象庁が、現在は筑波大学などが気象観測を実施しています。

気象観測では気温・降水量・風速などの基本項目が観測されていますが、「雪」に関する観測は特に行われている訳ではありません。

筑波山最寄りの積雪観測地点は市内の平地にある「つくば(館野)」の観測地点(気象庁)ですが、こちらはあくまでも関東平野一帯の気象状況を反映するもので、こちらで雪が積もっていない場合でも、筑波山山頂では雪が積もることも一般的です。

筑波山「月別の降雪・積雪傾向」

筑波山の「雪事情」について、山頂付近における降雪・積雪の「各月ごと」の傾向を大まかにまとめると以下のような形になります。

雪の傾向
11月・雪はほぼ降らない
・山頂付近であっても積雪はかなりまれ
12月・雪が1回以上積もる年、積もらない年の両方あり
・全体的には雪が積もっていない期間が多い
1月・雪が何度か積もることが多い
・「南岸低気圧」の影響を受けやすくなる
・10cm以上の積雪も時折見られる
・アイゼンなどが必要な場合も一般的
・年によっては雪がほぼない、全くない時期もあり
2月・雪が何度か積もることが多い
・「南岸低気圧」が通りやすく雪の頻度は最も多い時期
・10cm以上の積雪も時折見られる
・アイゼンなどが必要な場合も一般的
・年によっては雪がほぼない、全くない時期もあり
3月・複数回雪が積もる場合あり
・「南岸低気圧」の影響をまだ受けやすい
・時にまとまった雪となる場合も
・寒暖差が大きく、雪は残りにくい
4月・まれに雪となるケースあり
・積雪となってもすぐに解けやすい

つくば市の「平地」における「雪事情」については、上記の記事で詳しく解説しています。

筑波山の雪の状況を「確認」する方法は?

筑波山に登山・観光で訪れる際に「雪の状況」をリアルタイムで確認したい場合は、つくば市の設置したライブカメラを確認するのが最もわかりやすい方法と言えます。

ライブカメラは山頂付近に2か所、筑波山梅林・筑波山神社周辺に3か所の、計5か所あり、それぞれの状況を確認することが可能です。

筑波山ライブカメラマップ

山頂付近などからの映像は、youtubeでもライブ配信されており、どなたでも・いつでもご覧頂けるようになっています。

筑波山の雪事情「ここがポイント」

必ず根雪になる山とは言えない

筑波山は、標高877mと東京近郊の日帰り登山スポットとしては比較的標高が高いため、雪が積もることも一般的です。

但し、雪の降る頻度・量は各年ごとの差が非常に大きくなっています。気温が低かったとしても「降る機会」がなければ積雪にはなりませんので、状況によっては1・2月でも雪がない、もしくは影響するほど残っていない場合も見られます。

すなわち、冬場は必ず長期間根雪になる山とは言えない環境であり、登山をする際の状況で言えば、「アイゼン(滑り止め)」等が必要な場合もあれば、なしで登れるケースもあるという状況です。

雪が見られる時期は長め

必ず根雪になる訳ではない筑波山ですが、雪が降る・積もるシーズンで見た場合、関東平野一帯と比べるとその期間は長くなります。

とりわけ春先にその傾向が強く、筑波山頂付近では3月以降でも「南岸低気圧」の影響を受けて雪となるケースが一般的で、場合によっては(毎年ではない)4月に入ってから雪が積もるケースもあります。

雪は寒暖差が大きいためすぐに解けるケースも多いですが、平地とは全く異なる気象状況となる場合もあるので、その点は注意が必要です。

なお、12月以前についても、関東平野一帯と比べると雪が積もる頻度は多いですが、この時期は「南岸低気圧」自体が少ないため、春先と比べると雪は見られにくいと言えます。

雪の要因は関東平野一帯と同じ「南岸低気圧」が大半

筑波山で雪が降る場合、その降る要因は関東平野一帯で雪が降る場合と大きな違いはありません。

多くのケースでは関東の南海上などを通る「南岸低気圧」による場合が大半で、大雪となるケースは基本的に全てこのパターンとなります。

ごくまれに寒気が流れ込むタイミングで風がぶつかって生じる「シアーライン」で雪が降ることもありますが、頻度としてはイレギュラーな存在です。

高尾山と筑波山「どっちが雪が多い」?

首都圏における日帰り登山の定番スポットとしては、筑波山以上に東京「高尾山」も多くの登山者が訪れるスポットとなっています。

「雪事情」について、筑波山を高尾山と比較した場合、「雪が積もる頻度」は標高がより高い筑波山の方が多いと言えますが、「雪が積もる量」については、より強い雪雲が掛かるケースが高尾山の方が多いと言えるため、一概に筑波山の方が雪が多く積もるとは言えません。

例えば、高尾山では1998年や2014年などに「1m」前後の雪が積もったことすらありますが、筑波山ではそこまでの積雪は通常見られません。

筑波山の雪事情【まとめ】

  • 雪は一般的に積もるが、必ず根雪になる山ではない
  • 1~3月にかけて積雪しやすい、12月以前や4月以降の積雪も時折見られる
  • 積雪観測地点はなし、雪の状況はライブカメラで確認可能
  • 雪は関東平野一帯同様「南岸低気圧」によるケースが大半
  • 高尾山との比較では、雪の頻度は多いが雪の量は少ない場合もある状況

茨城県内全体の「雪事情」については、上記の記事で詳しく解説しています。