奈良県内の観光地として、奈良市内と同じくらいの知名度と観光客数を集める場所。それは「明日香(飛鳥)」エリア。
この記事では、古墳や奇妙な石造物が多数ある「古代ロマン」あふれるエリアとして知られる明日香エリアへのアクセス情報、また明日香エリア内の移動・交通手段についてなるべくわかりやすく解説していきたいと思います。
明日香エリアは、一見交通手段が不便にも見えますが、実際のところは「公共交通機関」のみで移動することも可能であり、レンタサイクルなどを組み合わせれば車なしでもスムーズな観光が出来るようになっています。
明日香(飛鳥)エリアの最寄り駅は?
明日香エリアへのアクセス手段は、他の地域からアクセスする場合は、基本的には「近鉄電車」でアクセスすることになります。
最寄り駅・拠点駅となるのは、
近鉄飛鳥駅・近鉄橿原神宮前駅の2つ。
飛鳥駅については、電車の本数はやや少ないものの明日香村にある唯一の駅であり、明日香村の玄関口として機能しています。また、ウォーキング・ハイキングやサイクリングを行う拠点として便利にご利用頂けるようになっています。
橿原神宮前駅については、京都方面からの電車などが直接ご利用頂けるなど利便性が高い駅となっています。一方で、明日香村ではなく橿原市内の駅ということもあり、徒歩ルートなどの起点としてはあまり適しておらず、路線バスを利用して観光される際の拠点として便利にご利用頂けるようになっています。
ざっくり言えば「路線バスで明日香エリアを巡る」場合は橿原神宮前駅から、徒歩・レンタサイクルで明日香エリアを巡る場合は飛鳥駅のご利用がおすすめです。
※なお、飛鳥エリアでも「キトラ古墳」だけを見たいというような場合は、飛鳥駅の次の駅である「壺阪山駅」のご利用が例外的に便利です。
各地からの交通手段
ここからは「飛鳥駅」までのアクセスについて各地からの主なアクセスルート・運賃・所要時間などをご紹介してまいります。なお、橿原神宮前駅へのアクセスについては、以下の記事で詳しく解説をしていますので、そちらをご参照ください。
大阪駅(梅田)から
ルート:JR大阪駅~天王寺駅・近鉄大阪阿部野橋駅(乗り換え)~飛鳥駅
運賃:1,060円(特急利用の場合520円プラス) 所要時間:約1時間10分~
・大阪駅からの場合、天王寺駅まで行けばあとは近鉄線でダイレクトにアクセス可能です。飛鳥駅・橿原神宮前駅へはJR天王寺駅の南側すぐの場所にある大阪阿部野橋駅から直通の特急・急行などが運行されています。
京都駅から
ルート:近鉄京都駅~橿原神宮前駅(乗り換え)~飛鳥駅
運賃:1,160円(特急利用の場合920円プラス) 所要時間:約1時間10分~
・京都駅からの場合、時間帯によっては特急のみで快適にアクセスすることが可能です。特急利用の場合、乗り換えは橿原神宮前駅での1回のみ。橿原神宮前駅へ行く場合はダイレクトアクセスが可能となっています。
近鉄奈良駅から
ルート:近鉄奈良駅~大和西大寺駅(乗り換え)~橿原神宮前駅(乗り換え)~飛鳥駅
運賃:700円(特急利用の場合は520円プラス) 所要時間:約50分~
・近鉄奈良駅からの場合、大和西大寺駅と橿原神宮前駅の計2回の乗り換えが必要ですが、1時間以内でアクセス出来る場合も多くなっています。奈良市内と明日香エリアを結ぶ交通手段・アクセス情報については、以下の記事でも詳しく解説しています。
神戸三宮駅から
ルート1:阪神神戸三宮駅~近鉄大和西大寺駅(乗り換え)~橿原神宮前駅(乗り換え)~飛鳥駅
※特急利用時など近鉄大阪線経由の利用も可能
運賃:1,270円 所要時間:約1時間50分~
ルート2:JR三ノ宮駅~大阪駅(乗り換え)~天王寺駅・近鉄大阪阿部野橋駅(乗り換え)~飛鳥駅
運賃:1,590円(特急利用の場合は520円プラス) 所要時間:約1時間40分~
・神戸からは、割安な阪神線と近鉄線を利用するルートと、最速ながら運賃はかなり高めのJR線経由のルートがありますが、所要時間は10~20分程度の差ですので、混雑も少ない阪神線・近鉄線経由のルートがおすすめとなっています。
明日香エリア内の交通手段は?
飛鳥駅や橿原神宮前駅までアクセスしても、多くの観光スポットは駅から更に離れた場所にあるため、駅からの移動・交通手段を考えなくてはなりません。
徒歩でハイキング・散策される方もおられますが、一般論としては複数のスポットを巡る場合など、徒歩移動の距離がかなり長くなってしまいますので、明日香エリアを巡る移動・交通手段としては、観光向けの路線バス(かめバス)と、レンタサイクルのいずれかのご利用がおすすめとなっています。
路線バス(赤かめバス)
明日香エリア(明日香村)の観光スポットを巡る最もポピュラーな交通手段は、奈良交通の路線バス(赤かめバス)です。
路線バスは、近鉄橿原神宮前駅・近鉄飛鳥駅のいずれからも、石舞台や飛鳥資料館をはじめとする主要観光スポットへアクセス出来るようになっています。電車の利便性は橿原神宮前駅の方が高いため、路線バスを使って飛鳥エリアを回る場合は、橿原神宮前駅を拠点にされることをおすすめします。
主なルート
・橿原神宮前駅東口~甘樫丘~明日香奥山・飛鳥資料館西~飛鳥大仏前~石舞台~高松塚~飛鳥駅
・飛鳥駅~高松塚~石舞台~飛鳥大仏前~明日香奥山・飛鳥資料館西~甘樫丘~橿原神宮前駅東口
※バスはこの他橿原神宮前~石舞台間の区間便が一部のみあり、観光シーズンの利用が見込まれる時期は両駅から約30分間隔で運行しています。それ以外の期間は約1時間おきの運行となっています。
主な区間の運賃(橿原神宮前駅から)
・甘樫丘まで=260円
・明日香奥山・飛鳥資料館西まで=290円
・飛鳥大仏前まで=260円
・石舞台まで=380円
・高松塚まで=430円
お得なきっぷ
明日香エリアを巡る路線バス「赤かめバス」については、専用1日乗車券「明日香周遊バス1日フリー乗車券」が発売されています。橿原神宮前駅から石舞台までの往復運賃よりもお安い価格ですので、ぜひご利用ください。
発売価格:650円(子ども330円)※この他2日券もあり
利用可能範囲:周遊バス(赤かめバス)全線及び明日香奥山・飛鳥資料館西~桜井駅南口の区間
発売場所:近鉄橿原神宮前駅・飛鳥びとの館・石舞台駐車場料金所・キトラ古墳壁画体験館四神の館・奈良交通八木案内所・かしはらインフォメーションセンターなど
この他、一部私鉄沿線からのお得なきっぷ「古代ロマン 飛鳥 日帰りきっぷ」には、路線バス1回乗車券の特典があります。
レンタサイクル
飛鳥エリアは、日本の観光地の中でも特に「レンタサイクル」の利用が多い場所にもなっています。自転車でのどかな景色を味わいながら観光地を巡る楽しさは自転車ならではであり、春や秋の観光シーズンには大勢の観光客が自転車で飛鳥の里を走る姿が見られます。明日香村におけるレンタサイクルは「明日香レンタサイクル」によるサービスが大規模に展開されており、非常に使いやすくなっています。
利用方法
レンタサイクルは、明日香レンタサイクルの各営業所で利用手続きをすることでご利用頂けます。借りた自転車は借りた営業所に返すことが原則ですが、200円の乗り捨て料を払うことで別の営業所などに置いていくことも可能な場合があります(乗り捨て=どこでもおいて置ける訳ではありません)。
料金
・一般の自転車:平日900円・土日祝日1000円
・電動自転車:1500円
・原付バイク:2000円
営業所(自転車置き場)
営業所は飛鳥駅前の「飛鳥駅前営業所」、橿原神宮前駅東口すぐの場所にある「橿原営業所」、また「亀石営業所」と「石舞台営業所」の4つがご利用頂けます。団体観光客の方はこのほか高松塚営業所もご利用頂けます。亀石営業所を除いては駐車場はない、もしくは台数が少ないですので、レンタサイクルを利用される場合はぜひ公共交通機関を利用して明日香村へお越しください。
営業所の詳しい場所・営業時間などについては、明日香レンタサイクル公式サイト などをご参照ください。
車でアクセスする場合は?
明日香村へのアクセスについては、車でアクセスしようと考えておられる方も多いかもしれませんが、観光シーズンには駐車場が込み合う可能性があるほか、明日香エリアの性質上様々な観光スポットを徒歩や自転車、バスで巡るほうが効率が良い場合があります。明日香村内には一部無料駐車場があるほか、有料駐車場は1日500円程度となっており、駐車のコストはそれほど高くありませんが、数百台規模の駐車場はなく、点在する各駐車場の駐車可能台数がそれほど多くありませんので、場所によっては満車になる可能性はあると言えます。
明日香へは、基本的は近鉄電車でアクセスし、橿原神宮前駅もしくは飛鳥駅からバス・レンタサイクルを利用する交通・移動手段がおすすめです。
まとめ
以上、奈良「飛鳥」エリアへの交通アクセスについてまとめてきました。
バスで観光する場合は近鉄「橿原神宮前駅」、自転車や徒歩で観光する場合は「近鉄飛鳥駅」も含め拠点として移動して頂くことで、概ねスムーズな移動が可能となっています。バスについては観光シーズンの利用が見込まれる時期は30分おき程度に運行されていますので、少しだけ時間を合わせれば、使い勝手は決して悪くありません。また、レンタサイクルについても、日本有数のレンタサイクルシステムが「明日香レンタサイクル」によって提供されており、ストレスフリーで自転車の旅を楽しんで頂けます。
ぜひ、電車・バス・レンタサイクルを活用して、のどかな「飛鳥」の風景と観光スポットを思う存分楽しんでみてはいかがでしょうか。