JR西日本の「新快速電車」は、京阪神エリア・兵庫県播州地域・滋賀県・福井県にまで足を伸ばすなど、日本で最も幅広いエリアを運行する「特急以外の列車」の1つとなっています。
様々なエリアを運行するため、各エリアごとの「気候」も大きく異なり、とりわけ冬場に「雪」が降りやすい場所が一部見られるため、積雪が運行に影響を及ぼすようなケースもあります。
こちらでは、「新快速と雪」に関するごく基本的な状況について解説していきます。
雪が積もりやすい地域はどこ?
特に雪が多い地域 | 雪が積もりやすい地域 | 時に雪が積もる地域 | |
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滋賀県 福井県 | 湖西線:近江今津駅〜近江塩津駅 北陸線:長浜駅〜敦賀駅 | 湖西線:堅田駅〜近江今津駅 琵琶湖線:野洲駅より東側(彦根・米原方面) 北陸線:米原駅〜長浜駅 | 湖西線:堅田駅より南側(大津京方面) 琵琶湖線:野洲駅より西側(草津・大津方面) |
京都府 | なし | なし | 京都駅周辺〜琵琶湖線・湖西線方面(山科方面) |
新快速電車の運行区間において、雪が積もりやすい地域は、概ね「滋賀県北部」または滋賀県北部に近い地域です。また、京都市内・大津市内などの区間についても、頻度はそれほど多くないものの、時折雪が積もる場合があります。
とりわけ、滋賀県の北端部に近いエリア(高島市の一部・長浜市北部)では、場所によっては1m程度の積雪が一部の年で見られます。
大阪府内・兵庫県内については、雪が積もる機会は大幅に少なくなります。高槻周辺・姫路周辺などは、まれに積雪することもありますが、とりわけ大阪〜神戸周辺は雪が積もる機会が極めて少なく、1cm以上の雪は10年に1〜2回程度積もるかどうかといった状況です。
雪による影響はどのように生じる?
雪に伴う運行への影響としては、例えば以下のようなケースが挙げられます。
遅れの発生 | 積雪に伴い一部徐行をするなどして、列車に遅れが生じる 列車の乗り継ぎ待ちなどを行う場合、それによって別の列車が遅れるケースも |
行き先変更 折返し運行 | 運行時間や積雪状況の関係で、一部区間を運休するなどして行き先が変更となる |
運転見合わせ | 大雪の影響で積雪が多い区間全体が運休となる |
乗り継ぎ不可 | 雪で列車が遅れる場合、通常乗り継げる列車との接続が行われず、乗り継げないケースも |
雪がまとまって降る場合、とりわけ「徐行運転」となるケースは珍しくありません。徐行運転を行うと、運行時刻が遅れることになるため、そのまま運行される場合、多くは遅れを取り戻すことは出来ず遅れたままの状況で運行されることになります。影響が広がることを防ぐために、列車の行き先・運行区間が変更されることも一般的です。
なお、大雪が見込まれる場合、事前に運休の可能性・運休の決定が発表されることもあります。まとまった雪の予報がなされている場合は、事前の運行情報なども含めご確認頂くのが無難と言えるでしょう。
2023年の大雪による運行障害について
2023年1月24日〜25日にかけては、短時間で大量の積雪が発生したことから、新快速電車を含むJR京都・神戸・琵琶湖線系統のほぼ全ての列車が運転を見合わせ、とりわけ京都周辺では、長時間列車に閉じ込められる事象が発生し、ニュースなどでも大きく取り上げられる問題となりました。
この事象については、新快速電車の運行区間で冬場に一般的に見られるような「雪の影響」よりも深刻な事象であり、具体的には雪によって京都駅・山科駅構内の「ポイント」が動かなくなった結果、列車の発着が一切不可能となり、次々に運行中の列車が立ち往生するという結果を招いたものです。
すなわち、単に徐行運転をしたとか、除雪のために運休したといったような状況ではなく、そもそも線路自体が使えなくなったため、長時間の立ち往生になったというケースでした。
なお、こういった事象は過去に発生したことはなく、あくまでも極めて異例の状況として発生した事象でした。
雪の影響は「雪が降らない地域」でも時に生じる
新快速電車は、様々な運行区間がありますが、兵庫・大阪・京都・滋賀・福井県までの区間が「一つの運転系統」として一体的に運行されています。
すなわち、例えば滋賀県内で遅れが生じると、同じ列車として運行される訳ですので、滋賀県ではない京阪神エリアにもその遅れが「波及」しやすい状況です。
途中で運行を打ち切って折返し運行をする場合、一部区間が完全に運転見合わせとなる場合など、状況に応じ遅れが波及する度合いも異なりますが、一般的に滋賀県方面などで大雪が降ると、大阪駅・三ノ宮駅など雪と無縁のような地域に到着する新快速にも、ある程度の遅れが見られることはそれほど珍しくありません。