隠岐諸島(西郷)の「雪事情」とは?【雪は松江より多い?】

自然・気候

島根県の中では例外的に「日本海上」に位置する「離島」である「隠岐諸島」。隠岐諸島は、海の影響を強く受けた気候であり、島根県内の他地域とは様々な面で特徴が異なります、。

こちらでは、隠岐諸島(基本的に西郷市街地)における「雪」というテーマで、降る・積もる頻度や傾向などを解説していきます。

当記事内の全ての情報は2023年時点の状況に基づく「過去の一般的な傾向」を解説するものです。実際の状況はその時々の気象条件に応じ様々に変化する場合があります。

特記がない限りは、最も規模が大きな地域である「西郷市街地」の状況を前提として解説していきます。各島ごと、また各島内の地域に応じ、雪の状況が異なる場合があるため、その点はご注意下さい。

雪の降る時期は?

11月・ごく一部の年でわずかに降るケースあり
12月各年ごとの差が大きい
・寒気が強い場合雪が頻繁に降る年も
・雪がほとんど降らない年もあり
1月多くの年である程度雪が降る
・寒気が強い場合連日のように降るケースも
・一部の暖冬年は雪が降りにくいケースあり
2月多くの年である程度雪が降る
・寒気が強い場合連日のように降るケースも
・一部の暖冬年は雪が降りにくいケースあり
3月雪の機会は大幅に減少
・とりわけ近年は雪が降りにくい傾向が強まる状況
4月・基本的にほぼ降らない

隠岐諸島(西郷市街地)では、西日本のその他地域と同様に、雪が一般的に降ることがある時期は概ね12月〜2月です。3月に雪が降るケースもかつては多かったものの、近年は大幅に減少傾向にあり、珍しい現象となりつつあります。

雪の状況は各年ごとの差も大きく、特に12月はよく降る年も、ほぼ降らない年も、いずれもそれなりの頻度で見られます。1月・2月はある程度雪が降る年の方が多めですが、近年は暖冬傾向などもあり、雪が余り降らない年も見られます。

雪の量はどのくらい?

下記の状況は、西郷市街地を前提としています。隠岐諸島内の全ての地域に当てはまるとは限りません。

平均的な冬雪自体は何度も積もる
積もる場合数cm〜10cm台程度が多め
多い場合は積雪20〜30cm台程度となる
・一気に極端に積もるケースは少ない(1日で30cm以上積もるケースはほぼない)
雪が少ない年雪が積もる機会自体が少なめ
最大で積雪10cmに満たない
・標高が低い場所では全く積もらないケースも
まれな大雪積雪40cm以上の場合あり
頻度は少なめで、10年に1〜2回あるかどうか
・ごくまれなケースを除き「根雪」にはならない

西郷市街地は、一部の暖冬を除き雪が積もること自体は珍しくありませんが、豪雪と呼べるような積雪に見舞われる機会は少ない地域です。

頻度としては数cm〜10cm台程度の積雪が何度か繰り返されるようなパターンが最も多くなっています。

地域ごとの状況は?

隠岐諸島は、複数の島に分かれており、各島内にはある程度の「山地」も見られ、全ての地域で同じような環境と言う訳ではありません。

地域ごとの「雪」の状況は、「その都度」差が生じるため一概には言えませんが、基本的には最大の規模を持つ「西郷市街地」は海沿いの場所としては雪が比較的積もりやすい場所にあたります。

一般的に、隠岐諸島を問わずある程度の規模のある陸地では、季節風が直接吹き付ける側(北側〜西側など)よりも、山を挟んでその風下にあたる地域の方が雪が増えやすい特徴があります。西郷市街地は、その条件に当てはまりますので、雪が目立って多いとまでは言えませんが、隠岐諸島内の沿岸部としては雪が比較的積もりやすい地域です。

また、隠岐諸島内には「山地」もあり、当然ながら標高がやや高い地域では、気温も下がるためその分雪は積もりやすくなります。

微妙な気温の違い、雪雲の掛かる程度によって雪の状況は大きく変化します。「隠岐」と一言に言っても、実際は雪が積もっている場所・積もっていない場所・少しだけ積もっている場所・しっかり積もっている場所など、かなりの違いが見られることがありますので、観光で訪れて車を運転される場合などは留意が必要です。

雪が降りやすい条件は?

主な気圧配置冬型の気圧配置
まとまった雪となりやすい条件JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)の影響

隠岐諸島で雪が降る場合、基本的に西高東低の「冬型の気圧配置」が要因です。

離島という地理的特徴から、海の上を通る雪雲は、多くのケースでは比較的「途切れ途切れ」に通過していく傾向があり、先述の通り極端に雪が多い地域ではありません。

一方で、日本海側一帯にまとまった雪を降らせる要因として有名なJPCZ(日本海寒帯気団収束帯)によって、ある程度大きな塊・帯となった雪雲が掛かる場合、隠岐諸島でもそれなりにまとまった量の雪が積もることがあります。

但し、それでも鳥取方面や近畿北部で時折見られるような、1日50cm級の「ドカ雪」には基本的になりません。雪雲の発達は、陸地(山地)の存在による効果も関係しているため、海に囲まれた隠岐諸島では、特殊なケースを除き、平地で1日で30cm以上積もるような雪はほぼ見られない状況です。

周辺地域との比較で見ると?

松江市街地
出雲市街地
境港市街地
平均的には西郷市街地の方が雪が多い
まれな大雪のケースは、松江・出雲・境港側の方が見られやすい
米子市街地平均的には西郷市街地と同等程度
大雪となるケースは、米子の方が多い
鳥取市街地
倉吉市街地
西郷市街地の方が雪が少ない

西郷市街地で降る雪の程度は、平均的に降雪量水準見れば松江方面よりは多く、米子方面とは余り変わらず、鳥取方面よりは少ない傾向があります。但し、状況は年ごとに異なる場合があります。また、「大雪」のケースではなく「降雪量の合計」を見た場合のものですので、まれな大雪は基本的に「本州側」の方が多い状況です。

降雪量が松江方面よりも多くなる要因の1つとしては、「緯度」が関係しています。隠岐諸島は緯度的には「北側」に位置し、寒波がやって来る際には本州側の地域よりも寒気が強くなるケースもあります。そのため、海に囲まれた温暖な気候であっても、松江側と比べると雪が積もる形で降る機会がやや多くなる場合があります。

まとめ・注意点

島根県隠岐諸島エリアの拠点・中心地にあたる西郷市街地は、「冬型の気圧配置」の影響で雪が降る・積もること自体は一般的で、一般的な冬では何度も繰り返し雪が積もる傾向があります。

一方で、極端な量の豪雪・大雪には見舞われにくい傾向で、ごくまれに40cm以上の積雪を観測するケースもあるものの、大半は数cm〜20cm台程度の積雪が多くなっています。

本州側と比較すると、西郷市街地の雪は「松江方面」よりは多く、「鳥取方面」よりは少ないといった傾向が見られます。なお、隠岐諸島内の雪の状況には地域差があり、沿岸部としては西郷市街地の雪はやや多めである点に留意が必要です。

雪の量に関わらず、本州側と隠岐を結ぶフェリー航路は強風・暴風・高波により欠航が生じやすい特徴があります。冬型の気圧配置となる際などには、運航状況などをよくご確認下さい。