近年は、暑い日の目安として最高気温30℃以上の「真夏日」以上に、35℃以上の「猛暑日」がクローズアップされる機会が増えています。
こちらでは、猛暑日の「日数」が増えている状況について、代表的な都市である東京・大阪などの大都市で観測された具体的なデータなどを見ながら確認していきます。
東京の猛暑日日数の変化
東京の猛暑日日数は、昭和の時代まではかなり少なく、観測ゼロの年も一般的でした。しかしながら、gグラフで表示している通り、平成以降に増加傾向がはっきり見られるようになり、とりわけ2010年頃からは「年間10日以上」の観測が一般的になってくるなど、状況が大きく変わってきています。
記録的猛暑となった2023年の夏は、ついに猛暑日の観測日数が20日を上回り、猛暑日はごく日常的な存在になったと言える状況です。
なお、2015年のデータからは、東京の観測地点が大手町のビル街から、わずかに涼しいとされる北の丸公園に移設されています。観測される最高気温に大きな違いはないものの、若干低めに出るようになっている=猛暑日日数が若干少なくなっている可能性がある点に注意が必要です。
大阪の猛暑日日数の変化
大阪の猛暑日日数は、東京と比べるとより多くなっています。
過去からの変化を見ると、グラフでも分かる通り東京と同様に平成以降の期間に明らかに増えている傾向が見られ、近年は年間10日を下回るようなことはほぼありません。大阪ではグラフに表示していない昭和の時代から猛暑日が東京と比べれば観測されやすい状況で、観測がゼロの年は主に戦前の時代が中心となっています。
近年は年間20日以上観測される年が比較的多く、過去最も多い年では30日以上という記録もあるなど、猛暑日は夏の「日常的な存在」となっています。
なお、京阪神エリアで見た場合、大阪は神戸より猛暑日がかなり多く、京都は大阪よりも更に多い特徴が見られます。
名古屋の猛暑日日数の変化
名古屋の猛暑日日数は、大阪と似たような水準であり、国内では多めの地域です。
平成以降は観測されやすい傾向が目立ち、大阪と同様に年間20日以上観測されるケースが多々あります。一方で、年ごとの差がかなり極端な場合があり、ほぼゼロの年・30日以上の年のいずれも存在します。また、名古屋ではかなり古い記録でも猛暑日がやや多く見られる場合があることが特徴で、グラフには表示していない明治・大正時代にも年間10日以上の観測記録が存在します。
福岡の猛暑日日数の変化
福岡は、猛暑日の日数は平均すると東京よりは多く、大阪・名古屋よりはやや少ない程度の状況で、厳しい暑さとなる機会は珍しくありません。
福岡では、2010年頃より猛暑日日数が急増する傾向が見られ、近年は多い年で年間20〜30日程度と大阪・名古屋と大きな差が見られにくくなっています。
猛暑日が増えた要因は?
猛暑日の増加については、その要因は1つだけではありません。
地球温暖化によって「夏の気温」そのものが全体的に上がっているという気候変動の要因は、猛暑日が増加する最大の要因と言えますが、猛暑日自体が都市部やその周辺を中心に見られやすいことからも分かる通り、都市化・ビル群の増加といった局地的かつ非常に具体的な要因が猛暑日の増加に結びついている側面もあります。