高尾山の「雪事情」とは?【かなりの積雪に見舞われるケースも】

自然・気候

こちらのページでは、首都圏における日帰り登山・観光の定番スポットである「高尾山」について、その「雪事情(雪の降る・積もる傾向)」を解説していきます。

高尾山は、特別に雪が多い山とは言えない一方で、山頂一帯の標高が500m以上ということで平地よりも気温が低く、雪の頻度・量も都市部と比べると明らかに多めの傾向が見られます。

掲載情報は2022年時点のものです。その後の観測状況などにより、データなどが変化していることも考えられますので、その点はご留意下さい。

高尾山での積雪状況を知るには?

高尾山は、山頂付近などで公式的な気象観測は行われておらず、ニュースや気象情報などで「高尾山~cm」といった形で積雪の状況を確認することは出来ません。

一方で、高尾山は国内でも最も多くの登山者・観光客が訪れる山の一つに挙げられる場所でもあるため、SNS上も含め、直近の雪の状況は比較的確認しやすい環境です。また、公式的な情報の一例としては「高尾山ビジターセンター」などのサイトでも積雪状況が発信されている場合があります。

東京都 高尾ビジターセンター – 高尾ビジターセンターは高尾山山頂にある東京都の自然公園施設です。高尾山の自然情報を発信しています。

積雪については、データがないため実測ではありませんが、過去の大まかな傾向として見た場合、比較的多くの年で積雪20cm以上程度と推定される雪が積もる機会があり、雪が多い年は一時的に30~50cm程度と推定される雪となるケースもあります。

また、2014年といった記録的な豪雪が降った際には、場所によっては概ね1m前後という東京都内では驚くような積雪となったこともあり、積雪は思いのほか多めの「身近な山」と言えます。

高尾山「月別の降雪・積雪傾向」

高尾山の「雪事情」について、各月ごとの大まかな傾向をまとめると以下のような形になります。

なお、こちらで述べる傾向は「山頂周辺」を基本としたものです。京王高尾山口駅周辺といった標高が低い山麓エリアは、雪の量は大幅に少ない傾向があります。逆に、奥高尾を越え陣馬山方面へ行くような場合は、更に雪が多くなることもあります。

雪の傾向
11月・雪の頻度自体は非常に少ない
・雪を見ない年の方が圧倒的に多い
・過去の積雪事例あり(2016年は20cm以上)
12月・まれに積雪となるケースあり
・雪の頻度自体は少な目
・雪がほぼ積もらない年も多い
1月・雪が積もる機会が次第に見られやすく
・大雪の際には積雪が長期間残るケースも
・時に大雪となる場合あり(20cm以上など)
・低気圧が通らず、ほぼ雪が積もらない年も
2月・比較的雪が積もりやすい時期
・大雪の際には積雪が長期間残るケースも
・時に大雪となる場合あり(20cm以上など)
・低気圧が通らず、ほぼ雪が積もらない年も
3月・依然雪となるケースが見られる時期
・後半も含め、時には大雪となる場合あり
・温暖な年は雪が降らない場合も
・気温が上がりやすく、積雪が長期間残ることは少ない
4月・年によっては積雪の機会あり
・雪の頻度は非常に少ない
・雪が見られない年が多い

高尾山の雪事情「ここがポイント」

根雪になる山?アイゼンの必要性は?

高尾山は、電車などで便利にアクセス可能な身近な山で、都市部からも非常に近いですが、雪事情は平地とは大きく異なり、年によっては積雪が長期間残ることもあります。

なお、雪が長期間残る場合でも2014年の豪雪などのケースを除いては、はっきり「根雪」と呼べるような状況は少なくなっていますが、雪が残る期間は日陰で特に雪が解けにくい場所と、そうでない場所で大きく状況が異なるケースがあるため、その点は注意が必要です。

雪は降った量・日当たり・標高の微妙な違いによって残りやすさが異なり、20cm程度の雪であれば、長期間雪が残る場所は山の全域ではなく、ある程度限られてくると言えるでしょう。

なお、登山ルートには様々なものがありますが、一例としては6号路など雪が残りやすく凍結しやすい区間を持つルートもありますので、雪が降った形跡すらないような「大暖冬」を除いては、冬場はアイゼンなどを備えて登山をするのが望ましいでしょう。

時に「ドカ雪」がある山

高尾山は、毎年必ず大雪になる山ではありませんが、発達した「南岸低気圧」が通過する際などに、時に驚くような「ドカ雪」に見舞われるケースがあります。

比較的近い2014年の記録的豪雪では概ね1m程度と推定される雪となり、この他は平均数年に1度程度(続けて積もる年も)は30~50cm程度と推定されるかなりの積雪が見られます。

この雪の量は首都圏のもう一つの日帰り登山の定番スポット「筑波山(高尾山より標高が高い)」と比べても雪が多い状況と言え、アクセスのしやすさの割には雪が積もりやすい環境と言えます。

なお、雪が増えやすい要因としては、低気圧が通る際に関東山地周辺で発達した比較的強い雪雲が掛かりやすく、「降水量=降雪量」が増えやすいことが大きな要因となっています。

雪がない年もある?

大雪となることもある高尾山ですが、その冬の気象状況によっては、積雪が全くない・ほぼない状況が長期間続くこともあります。

過去の事例を見ると、一冬のうち「一度も雪が積もらなかった」ような年はないと言えます。但し、冬の間ほとんどの期間で雪がない状況となった事例、一度もまとまった積雪が見られなかった事例は時折に見られ、近年は2019年・2020年・2021年など雪が少ない年が目立ちます。

雪が少ない年は、「暖冬」かつ「降水量が少ない」ケースで見られることが多く、温暖化傾向と言われる中で、雪が少ない年は着実に増えてきている状況にあると言えるでしょう。

車によるアクセスと雪

高尾山へは、車でアクセスしようとされる方もおられますが、そもそも「山の上」へは車で移動することが出来ません(山麓部まで通行可能)。

雪については、京王高尾山口駅周辺までの場合、高尾山上と比べその頻度は少なく、影響を受けることは多くありませんが、まれに積雪となる場合は道路事情が悪化・混雑する可能性もあります。また、相模湖側からのアクセス(大垂水峠経由)は、標高が高く雪の頻度がやや増える傾向があるため注意が必要です。

明らかに雪が降っている・積もっているような場合は、電車によるアクセスが無難でしょう。

高尾山の雪事情【まとめ】

  • 雪が積もることは珍しくない山
  • 1~3月にかけて雪が比較的見られやすい
  • 20cm以上の大雪(まとまった積雪)となるケースも
  • 過去には1m前後の豪雪(2014年)となった事例あり
  • 状況によっては長期間積雪が残ることも
  • 明らかに雪がない状況(大暖冬・長期間何も降っていない)を除きアイゼン携行が無難
  • 年によっては雪が少ないシーズンも見られる

八王子市の「雪事情」については、上記の記事で詳しく解説しています。