4月の札幌で「雪」は降る?積もる?【気象データから考える】

自然・気候

札幌市は本州の各地と比べると冬の訪れは早く、春の訪れは遅い地域(冬の期間が長い地域)です。

本州では春本番となる「4月」については、札幌に関しては「まだ花・みどりが少ない」・「暖かいとも寒いとも言えない」微妙な時期というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

こちらでは、札幌市の4月の気候について観光や生活に影響を及ぼしやすい「雪」というテーマについて、気象データを見ながら「降るのか・積もるのか」を考えていきたいと思います。

4月の札幌「雪が降る」頻度・可能性は?

4月10月11月12月1月2月3月5月
雪日数(平年値)6.7日0.9日13.5日26.829.1日25.2日22.5日0.1日

札幌管区気象台で観測されている「平年」のデータを見ると、4月の「降雪日数」は6.7日となっています。

他の月の平年値と比べると、雪が非常にまれな10月・5月よりは多い数字ですが、毎日のように雪が降る12~2月よりは大幅に少なく、11月や3月と比べても半分以下の状況です。

「雪日数」とは、1日の間にごくわずかな時間であっても「雪」か「みぞれ」が降った記録が残る日数を指します。

一切積もらない雪であっても「降れば」雪日数にカウントされますし、ほとんど雨のような「みぞれ」が5分間降っただけであっても、雪日数にはカウントされます。

その意味では、積もらない雪も含めて月間平均6.7日という数字は、それほど多いとは言えません。

4月の札幌は時に雪が降ることもある」気候ですが、毎日のように「雪が降るのが一般的・当たり前」の気候ではないと言えるでしょう。

4月の雪日数の変化(1990年以降・単位は日)
降雪日数平均気温
1990年5日7.9℃
1991年2日8.0℃
1992年7日6.9℃
1993年13日6.2℃
1994年4日7.0℃
1995年12日7.3℃
1996年15日5.8℃
1997年9日7.2℃
1998年1日9.0℃
1999年7日6.9℃
降雪日数平均気温
2000年9日6.1℃
2001年4日8.3℃
2002年0日9.6℃
2003年3日8.2℃
2004年10日6.6℃
2005年9日6.2℃
2006年12日5.2℃
2007年10日6.3℃
2008年2日9.4℃
2009年3日7.7℃
降雪日数平均気温
2010年7日5.5℃
2011年5日6.9℃
2012年9日7.0℃
2013年9日6.3℃
2014年5日7.3℃
2015年3日8.7℃
2016年4日7.8℃
2017年5日7.7℃
2018年9日8.2℃
2019年6日8.0℃
降雪日数平均気温
2020年7日6.8℃
2021年4日7.9℃

ややマニアックなデータとして、1990年以降の4月中の降雪日数のデータや平均気温のデータを比較して見て行くと、極端な変化はありませんが、全体的には雪日数がやや減っていく傾向が見られます。

北海道の春は近年温暖化の傾向がはっきりしており、ここ数年は特に3月の気温上昇が極端な状況ですが、4月については3月ほどの急激な気温上昇傾向は見られません。

但し、かつてと比べ「寒い4月」が減ってきており、その結果降雪日数が特に多い年(10日以上)が見られなくなってきています。

平均気温と降雪日数を照らし合わせると、その関係性は比較的はっきりしており、上記表の青線(平均気温が平年+1℃以上・降雪日数が平年よりかなり多い10日以上)・赤線(平均気温が平年-1℃以下・降雪日数が平年の半分以下の3日以下)は同じ年に一致する傾向があります。

当たり前と言えば当たり前ですが、寒い4月の年は雪の日も増えやすく、温暖な4月となると雪の日も減りやすいということになります。

4月の札幌「雪が積もる」頻度・可能性は?

4月の降雪量(平年値)6cm
4月の最深積雪(平年値)22cm
4月の積雪日数(平年値)6.3日
1cm以上の降雪量が観測される日数
(平年値)
2.5日
長期積雪=根雪の最終日(平年値)4月3日
積雪の最終日(平年値)4月10日
長期積雪=根雪の開始日(平年値)12月3日
積雪の開始日(平年値)11月9日
根雪期間の平均約122日
積雪初日~積雪最終日の平均約150日
札幌の「雪」に関する開始日・最終日等のデータ

4月の札幌で雪が「降る」ではなく新たに「積もる」頻度・「積もる」可能性で見て行くと、こちらも降雪日数と同様に「積もることはある」一方で「いつでも多く積もる」ほどの状況ではありません。

平年の降雪量は月間の合計で6cmと、冬場に100cm以上となることと比べると極めて少ない状況です。

新しく降る雪の量で見た場合、1日で5cm以上の「新雪」が降る確率は毎年40%程度、10cm以上のある程度まとまった雪となる確率は毎年10%程度となっており、降ってもごくうっすら~数センチの雪となる場合が大半で、4月に新たな雪が積もるという意味での「大雪」となることは余り現実的な状況とは言えません。

なお、札幌管区気象台では積雪が1cmに満たない場合でも、地面の半分以上が白い場合「積雪0cm(積雪あり)」と記録するようになっているため、積雪日数にはそのような「ごくうっすら」も含んでいます。

各年ごとの気象データを詳しく見て行くと、4月にどっさり雪が残っている年もあれば、そもそも4月に降雪・積雪がない年もあります。

各年ごとの4月「降雪量」と「最深積雪」の推移
4月降雪量最深積雪
1990年2cm1cm
1991年なし37cm
1992年なし0cm
1993年5cm14cm
1994年なし69cm
1995年0cm0cm
1996年12cm61cm
1997年3cm9cm
1998年2cm3cm
1999年13cm53cm
4月降雪量最深積雪
2000年5cm57cm
2001年2cm4cm
2002年なしなし
2003年なし28cm
2004年11cm7cm
2005年10cm85cm
2006年26cm11cm
2007年4cm8cm
2008年なしなし
2009年2cm2cm
4月降雪量最深積雪
2010年3cm19cm
2011年14cm30cm
2012年19cm23cm
2013年5cm76cm
2014年7cm28cm
2015年なしなし
2016年00
2017年4cm37cm
2018年2cm2cm
2019年1cm1cm
4月降雪量最深積雪
2020年なしなし
2021年なしなし

この約30年間を見て行くと、積雪が一切なかった年は2002年・2008年・2015年・2020年・2021年の計5回あります。

一方で、4月に新しく雪は積もらなかったものの、冬に積もった雪が4月まで残った年も見られます。

4月の積雪というものは、新しく降る量はそもそも少な目ですが、冬場に降った大量の雪が「根雪」として残っている場合が少なくありません。

例えば、根雪が大変多く・長く残った2005年は4月の初めの段階でまだ85cmもの積雪を観測しています。この積雪量は、近年の雪が少ない年の「年間最深積雪」を上回るほどの量で、4月の積雪は、4月の天候というよりは「その冬」の雪の量や「3月の気温」に左右される存在となっています。

4月に「雪への備え」は必要なの?

これまで、札幌は4月でも雪が降る・積もることはある一方で、新しくまとまって降るようなことはかなり少なく、常に積もる・降るほどの気候ではない。という状況を詳しく解説してきました。

冬場に札幌に訪れる場合は服装や靴、車の運転しかり、様々な場面で「雪」への備え、「雪」を前提とした対応が求められます。

一方で、4月に札幌を訪れる場合、冬場ほどに雪を意識しなければいけないかと言えば、そのようなことはありません。

通常であれば、4月の札幌は真冬の東京よりも気温は暖かい場合がほとんどで(特に中旬以降)、雪が積もる場合でも、先述した通り多くはないため、東京などでまれに雪が積もる場合に降る量と同じ程度と言える状況です。

単に札幌の都心周辺を観光するだけであれば、天気予報などで明らかにまとまった雪が予想されているような場合を除き、特段の「雪対策」は不要なことがほとんどです。基本的には「観光におすすめのシーズン」として過ごしやすい陽気が増える時期といえるでしょう。

なお、市街地を一般的に動き回る状況以外に関する、特記すべき「4月の雪」に関する注意点としては、以下のような点は確認しておく必要があります。

数年に一度程度は先述したように、冬場にどっさり降った「根雪」が4月の初めにしっかり残っている場合があります。このような条件では、都心の道路や歩道などを通常歩くことに大きな問題はありませんが、少し通りからそれたような場所、公園の一部などでは「ぬかるみ」がひどく足をすくわれる可能性があるので、その点はご注意下さい。

札幌市街地から離れて標高の高い山間部へレンタカーなどで出かける場合は、路面状態が4月でも急に悪化する場合がありますので、冬に準ずる心構えが必要です。

藻岩山も含め「ハイキング」を検討される場合、4月中はまだ大量の雪があり、登山道が通行止めとなっている場合や、通常の装備では登れない場合があります。雪が完全に消えるまで無理をしないことが重要です。

札幌の気象台で観測された「遅く降った雪の記録」については、上記の記事で別途解説しております。