岩見沢市の「気候の特徴」とは?季節ごとの傾向などを解説【冬は豪雪】

自然・気候
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札幌の通勤圏内に入る地域である一方、メディア等で度々「ドカ雪」が降る場所として取り上げられることも多い「岩見沢市」。当ページでは、冬に限らず岩見沢市の各季節ごとの気候の特徴、札幌市との気候の比較等を詳しく解説・考察していきます。

岩見沢市の気候「全体的な特徴」

岩見沢の雨温図
平均気温降水量日照時間平均風速降雪量最深積雪降雪日数
年間平年値7.9℃1248.5mm1679.1時間3.4m/s664cm120cm129.4日(暫定的数字)

岩見沢市は、北海道の道央地方(空知地方)に位置する市で、地理的には石狩平野の内陸側にあり、札幌からは30km少々の距離しか離れていない地域でもあります。

気候は内陸らしく冷え込みやすい環境である一方、石狩湾からの距離は30km程度で、冬場は「冬型の気圧配置」となると海からの風が吹き込みやすい環境にもなっています。

季節風に乗った雪雲は、石狩湾からの場合岩見沢方向へ向くことが最も多いため、結果として雪は道内の市では最も多い地域となり、積雪1.5~2m程度の極端な豪雪に見舞われるなど、雪の多さは札幌と比較してもスケール違いの年があります。

年全体で見ると、天候は日本海側の天候らしく冬場以外は比較的安定した傾向が見られます。

市内全体を見ると、全域が内陸部であるため、地域ごとの大きな気候の差はありませんが、美流渡・万字方面等の山間部へ行くと、より気温が低く雪は多くなるなど市街地と山沿いの一般的な気候の差は見られます。

岩見沢市「季節ごとの気候」

【春の気候】3月は積雪が多い・気温は順調に上がる季節

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪降雪日数
3月-0.4℃3.5℃-4.5℃59.4mm161.9時間72cm99cm21.9日
4月6.1℃11.2℃1.3℃52.7mm176.6時間8cm32cm7.9日
5月12.1℃17.7℃7.1℃83.9mm196.5時間なしなし0.3日
根雪終日(1cm以上)4月6日
平年値(1991年~2020年)
近年の「積雪の多い3月」
1位195cm(2021年3月2日)
2位174cm(2012年3月4日)
3位146cm(2013年3月11日)

春の岩見沢市は、当初は「雪の季節」となります。3月は1日10~20cm程度のまとまった雪が降る日も見られ、年によっては初旬に積雪のピークを迎えるなど、春ではなく冬の延長と言って差し支えないシーズンです。

積雪が続く「根雪」の状況については、年による差が大きく、豪雪となった年や3月以降の気温が低い年は、4月の半ばを過ぎても雪が残っている年もありますが、雪が少ない年や3月の気温が高い年は、4月に入るまでに雪が無くなる年も少なくありません。

気温については、4月以降はしっかり上がっていくため、5月には春本番の陽気になる日が増えます。海沿いと比べると昼間の気温も上がりやすく、毎年のように最高気温25度以上の「夏日」も観測しているなど、汗ばむ気温となる日もあります。

天気は1年の中では最も落ち着いた時期で、晴れ間が多く、雨は最も少ない季節です。5月の日照時間は平均200時間近くに達し、冬場と比べ倍以上となっています。

【夏の気候】8月は雨がやや多い・気温は平均的

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間夏日日数真夏日日数
6月16.3℃21.7℃12.0℃69.5mm173.6時間6.5日0.3日
7月20.2℃25.1℃16.6℃111.5mm156.2時間16.4日2.3日
8月21.3℃26.1℃17.6℃161.1mm158.8時間19.8日3.8日
平年値(1991年~2020年)

岩見沢市の夏は、北海道の中で見るとこれといった極端な特徴はない「平凡な気候」と言える地域です。

気温は内陸部のため海沿いと比べ気温は上がりやすいですが、風が吹き通しやすいため特に熱が溜まる・熱が逃げる地域とは言えません。例えば旭川・富良野・帯広ほどに「暑い日」が多い訳ではなく、朝晩もやや冷え込みやすいとは言え、真夏に10℃以下になることはかなり稀で、内陸としては過ごしやすい環境です。

なお、道内の内陸側では「猛暑日」を観測する地域も多いですが、岩見沢市ではこれまで4回だけ(全て2021年)しか観測しておらず、極端な猛暑にはなりにくい地域と言えるでしょう。

天候については、次第に雨の頻度が増えていきます。夕張山地の斜面沿いでは雨が増えやすい影響で、山地に近い岩見沢は、石狩平野一帯では8月の雨量が最も多い地域ですが、周辺では苫小牧・夕張市よりは雨量が少なく、晴れる頻度も道内では平均的であるなど、特筆すべき傾向はありません。

【秋の気候】寒さは比較的早く訪れる・11月は大雪が降る年も

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪降雪日数
9月17.4℃22.4℃12.9℃142.2mm161.9時間なしなしなし
10月10.8℃15.7℃6.2℃110.4mm138.5時間1cm1cm2.1日
11月3.9℃7.6℃0.2℃118.8mm84.7時間70cm29cm14.9日
初雪10月30日
初積雪(1cm以上)11月10日
平年値(1991年~2020年)
最大瞬間風速記録
1位39.6m/s(南南西の風・1954年9月26日)
2位38.7m/s(南南東の風・2004年9月8日)
3位37.6m/s(南南東の風・2018年9月5日)

岩見沢市の秋は、比較的降水量が多い時期で、秋の終わりにかけて晴れ間は急速に減っていくことが特徴です。

雨は9月の段階では秋雨前線の影響によりやや多く、その後は次第に「冬型の気圧配置」となる頻度が増え、11月以降は継続的に雲が流れ込みやすくなるため、晴れる頻度が減っていきます。

台風の影響は、岩見沢のみならず北海道自体が台風の影響を受ける頻度が低い地域となっていますが、過去の暴風に関する記録は台風によって記録されたものが多く、主に台風(または台風から変わった温帯低気圧)が岩見沢より西側の日本海上を進む際に暴風となっています。

雪については、11月から積雪することが一般的で、秋の段階では石狩湾の海水温がまだ高い影響で、海の上で雪雲が急発達しやすく、気温が低いタイミングではかなりの大雪となる場合があります。過去には1日40~50cm程度の降雪量となったこともあり、道内の平地では早い時期から雪が多くなりやすい地域の一つです。

気温も海沿いではないため比較的早い時期から冷え込みやすく、11月には氷点下の冷え込みが当たり前になっていきます。

【冬の気候】平地では最も雪が多い地域・冷え込みも厳しい

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪降雪日数
12月-2.6℃0.5℃-6.0℃144.5mm69.0時間200cm74cm27.9日
1月-5.3℃-1.9℃-9.2℃119.4mm90.2時間187cm101cm29.1日
2月-4.6℃-0.9℃-8.9℃85.5mm111.3時間137cm118cm25.3日
平年値(1991年~2020年)
過去最大の積雪深過去最大の日降雪量過去最大の月間降雪量過去最大の年間降雪量
観測値・観測日208cm(2012年2月12日)68cm(1969年12月24日)453cm(2002年12月)1112cm(1970年)

冬の岩見沢市は、道内のみならず国内の平地で見ても、平均的な積雪の深さが最も多い「豪雪地」です。

雪は、海水温が高く雪雲が発達しやすい12月にピークを迎え、その後は2月にかけて降る量はやや減る傾向がありますが、全体としては年間平均で合計6m以上の降雪量、平均の最深積雪では1m20cm程度の雪が積もります。

雪の量は、1m以上となる年が多くを占めますが、小樽・札幌等近隣の都市と比べ差が大きいことも特徴で、最も少ない場合では50~60cm台しか積もらなかった年と、最も多い場合は2m以上積もった年が見られるなど、その年の状況によって降る量にはかなりの差があります。

岩見沢で雪が多くなりやすい原因は、海を隔てたロシア「シホテアリニ山脈」によって風の動きが変わり、結果雪雲がまとまるという現象(村松バンドとも)に由来する点も大きく、まとまった雪雲が「冬型の気圧配置」の際に最も吹きやすい風向きである「西北西」の風に乗った場合必ず岩見沢を直撃することから、結果として雪が増えやすい状況が生まれています。

冬場の気温については、内陸部であるため、海沿いの地域と比べると冷え込みやすい状況が見られます。最低気温は-20℃に達する年もまれにあり、道内では概ね平均的な厳しい寒さが見られます。但し、市街地は一定程度都市化の影響を受けるため、近隣の新篠津・栗山といった地域と比べると朝晩の気温はやや高めになります。

岩見沢と札幌の気候を比較する

札幌と岩見沢「月間平均気温」の比較
札幌と岩見沢「月間降水量」の比較
年間平均気温冬の平均気温年間降水量年間降雪量年間最深積雪年間日照時間
札幌管区気象台9.2℃-2.3℃1146.1mm479cm97cm1718.0時間
岩見沢特別地域気象観測所7.9℃(-1.3℃)-4.1℃(-1.8℃)1248.5mm(+102.4mm)664cm
(+185cm)
120cm(+23cm)1679.1時間(-28.9時間)
データは平年値、括弧内は札幌との比較

岩見沢市と札幌市の気候を比較した場合、30km少々の距離しか離れていないため、全体的に似た傾向も数多く見られますが、一定の違いも見られます。

気温については、差はそれほど大きくはないものの、都市化による「ヒートアイランド現象」の影響が大きい札幌では常に岩見沢より高くなっており、これは朝晩の冷え込みの強弱による部分が大半を占めています。

降水量を見ると、岩見沢は雪雲が発達しやすい12月、また夕張山地の影響でやや雨量が増えやすい真夏のシーズンに札幌より雨量が多くなっており、結果年間で1割程度雨量が多くなっています。晴れ間については、雪雲がより入りやすい岩見沢では冬場の日照時間が減りやすい一方、年間全体では大きな差は見られません。

雪は、岩見沢の方が札幌よりもかなり多くなっています。但し、岩見沢は年ごとの雪の量の差が極端な場合があるため、近年では2016・2020年のように積雪の深さが逆転することもあるなど、岩見沢が必ず多いとは限りません。

岩見沢市のある「空知地方」全体の気候については、上記の記事で別途解説しております。