北見市の「気候の特徴」とは?季節ごとの傾向などを解説【オホーツク海側内陸部】

自然・気候

本ページでは、北海道オホーツク海側にある都市としては最も規模が大きい「北見市」の気候について、各季節ごとの詳しい特徴・札幌との比較などを解説していきます。

北見市の気候「全体的な特徴」

北見アメダスの雨温図
降水量平均気温日照時間平均風速降雪量最深積雪
年間平年値774.8mm6.4℃1724.3時間2.0m/s414cm83cm

北見市は、北海道内ではオホーツク海側に位置する地域ですが、海に面している場所はごく一部で、人口のほとんどが住む市街地一帯は、海から30km以上離れた内陸部となっています。

気候は1年を通して平均気温が低めの寒冷な地域で、同じく内陸に位置する旭川よりも気温は低いなど、道内の都市部では最も寒い地域と言えます。他方で気温差が激しいことも特徴で、5月~8月頃を中心に大雪山地・北見山地を越えてくる風が「フェーン現象」を引き起こすため、気温が30℃以上の真夏日になることも珍しくありません。

天候は1年を通して比較的穏やかな地域で、春の一部を除き風もそれほど強くなりません。

世界的な気候区分(ケッペン)では、亜寒帯の「亜寒帯湿潤気候(Df)」に当てはまり、道内の大半の地域と同じ区分となっています。

なお、市内は全国4番目の面積を持ち、東西90km程度に渡って広がるため、市内の気候差も無視できません。例えば西側の山地ほど雪が多い・内陸の平地ほど冷え込みやすい・海沿いの常呂地域はやや風が強い一方、流氷の接岸期間を除き冷え込みは抑えられるなど、地域により一定の気候の差が見られます。

北見市「季節ごとの気候」

【春の気候】最も晴れやすい・気温差が目立つ

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪
3月-1.9℃3.3℃-7.6℃35.1mm157.6時間81cm69cm
4月5.1℃11.1℃-0.6℃45.0mm165.5時間26cm23cm
5月11.2℃17.8℃5.2℃56.2mm174.9時間1cm1cm
いずれも平年値(1991年~2020年)
観測史上最高気温38.1℃(2019年5月26日)

北見市の春は、その訪れは早いとは言えません。3月中はまだ真冬に近い寒さとなることも多く、低気圧が発達しながら通る影響などで大雪が降ったり、1年で最も深い積雪が観測されるあります。また、沿岸部(常呂)では流氷の接岸もあり、長ければ4月の初め頃まで流氷が見られることがあります。

4月以降については、オホーツク海からの冷たい空気の影響を受けるため、道央・道南・太平洋側などと比べ全域で気温が低い傾向があります。但し、海水温の低さが直接影響する沿岸部と内陸の北見市街地では気温差が比較的大きく、昼間の気温は場合によっては5℃ほど違う日も見られます。

5月以降は全体的な気温が低い傾向は同じながら、南側の石狩山地・北見山地を越えてくる風が「フェーン現象(山を越える前と比べ空気の温度が上がる現象)を引き起こす場合、本州各地以上の暑さとなることがあり、寒い日は最高気温10℃以下・暑い日は30℃以上の「真夏日」という、かなり極端な気温差が生じる年もあります。

天気は春全体を通して晴れる日が比較的多く、1年の中では天候が安定しやすい時期となります。雨量は冬場に次いでかなり少ない時期で、雨や雪の頻度が多いとは言えません。但し、低気圧の通過が周期的に見られることや、南から暖かい風が吹き込みやすいこともあり、「風速」は1年の中で最も強くなりやすい時期です。

【夏の気候】オホーツク海高気圧によって左右・時に猛暑も

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間
6月15.4℃21.3℃10.3℃66.2mm157.2時間
7月19.1℃24.6℃14.7℃94.5mm153.4時間
8月20.2℃25.4℃15.9℃128.9mm148.5時間
いずれも平年値(1991年~2020年)
真夏日日数6月7月8月夏季合計
平年値1.9日4.3日5.2日11.4日
いずれも(1991年~2020年)

北見市の夏は、年による気候の差が比較的大きくなるシーズンです。

これは、6~8月頃に冷たい空気を伴った「オホーツク海高気圧」が影響を及ぼしやすいためで、この高気圧の勢力が強い年は、海からの冷たい気流が内陸部も含め流れ込み、どんよりしてと湿った曇り空・小雨・霧雨が続きやすい状況になります。特に6月に悪天候が続く場合、本州の梅雨になぞらえて「蝦夷梅雨」と呼ばれることもあります。

夏場の日照時間を見ると、年によっては月200時間以上と1年で最も良く晴れる時期となっているケース、逆にその半分の100時間以下で最も日照不足となっているケースなど、オホーツク海高気圧の状況次第で全く違う気候となります。

気温については、オホーツク海高気圧の影響が少ない場合、南からの風が「フェーン現象」を引き起こすことも多く、最高気温が30℃の真夏日となる日数は、平均すれば夏場に合計10日以上見られます。最高気温35℃以上の猛暑日も、平均すれば2年に1回程度の頻度で観測されており、平均気温はそれほど高くないにも関わらず、「暑い日の多さ」で見ると道内で最も暑い地域の一つと言える状況です(内陸部の平地に限る)。

雨は6月までは少ないですが、7月以降やや雨量が増えやすく、8月は秋雨前線の影響を受ける頻度が増えるため、1年のうちで最も雨量が多い時期となります。

【秋の気候】天気は比較的安定・内陸部は急速に冷え込む

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪
9月16.2℃21.7℃11.3℃111.8mm148.0時間なしなし
10月9.5℃15.5℃3.9℃77.2mm153.8時間なしなし
11月2.4℃7.6℃-2.6℃40.3mm126.8時間16cm6cm
いずれも平年値(1991年~2020年)

秋の北見市は、9月を中心に秋雨前線の影響を受けやすい傾向が見られますが、概ね天候は穏やかです。まれに前線に台風などの影響が加わり、1日100mm前後の雨が観測されることもありますが、頻度としてはそう多くありません。降水量は季節が進むにつれて急減し、11月になるとまとまった雨量が観測されにくくなります。

気温は内陸部ほど下がるのが早く、9月中から寒さを感じ、10月の早い段階から氷が張るような冷え込みになることも珍しくありません。但し、夏に上がった海水温がまだ下がりにくいため、沿岸部(常呂)では春とは逆に気温はやや高めとなります。

日照時間は秋が深まると昼間の時間が短くなるためやや減りますが、道内の日本海側のように急減することはありません。

雪は日本海側ではないため、寒さの割には降り始めがやや遅い傾向があり、数年に1度程度早い時期から大雪となる場合もありますが、11月中には目立った積雪とならない年が多い状況です。

【冬の気候】市街地も極寒・雪は効率的に降る

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪
12月-5.1℃0.0℃-10.8℃51.3mm112.9時間92cm39cm
1月-8.0℃-2.6℃-14.2℃39.3mm106.1時間109cm65cm
2月-7.4℃-1.6℃-14.0℃29.0mm119.5時間85cm69cm
いずれも平年値(1991年~2020年)
積雪深日降雪量年間降雪量
観測史上最大の値171cm(2004年1月16日)75cm(2014年12月17日)574cm(1993年)

冬の北見市は、内陸部へ行くほどに極寒であり、北見市街地は道内の人口10万人を超える主要な都市見た場合、旭川をもしのぐ最も寒い地域です。

気温は毎日のように-10~-15℃程度に冷え込み、年によっては-20℃どころではなく、-30℃近い最低気温が観測されることすらあります。北見アメダスはイオン北見店のすぐそばに設置されており、市街地の中の気温であるため、市街地周辺の農地・草地などでは更に冷え込みが強い可能性もあります。

また、非常に冷え込む場合には、空気中の水蒸気が直接凍ってキラキラと舞う「ダイヤモンドダスト」が比較的見られやすい条件にもなります。

市内での気温差を見ると、沿岸部は冬の当初は冷え込みにくい一方、流氷が接岸した後は内陸部と同じ条件になり急に冷え込みやすくなる傾向、また山間部に近い場所は、平地ほど放射冷却が発生しないことがあり、市街地より必ず寒いとは限らないといった特徴が見られます。

雪については、「寒いため効率的に積もる(残る)」ことが大きな特徴です。単純な「降る機会(頻度)」で見ると日本海側の沿岸部より圧倒的に少ないにも関わらず、積もった後に寒さが続くためほぼ解けず、結果年によってはメートル単位の積雪になることがあります。

雪が毎日降るような地域ではないため、冬に晴れることも比較的多く、日照時間は日本海側と比べるとかなり多めです。

まとまった雪・大雪は、頻度は少ないものの低気圧が道東周辺で急発達した際に、オホーツク海側から低気圧を取り巻く強い雪雲が長時間掛かり続ける場合に降りやすく、過去の「ドカ雪」で見た場合、まれに日本海側ですら降らないような雪(2004年の豪雪では2日で積雪が1m以上増加)となったこともあります。

札幌と比較する

札幌と北見「月降水量」の比較
札幌と北見「月平均気温」の比較
年間平均気温冬の平均気温年間降水量年間降雪量年間最深積雪年間日照時間
札幌管区気象台9.2℃-2.3℃1146.1mm479cm97cm1718.0時間
北見アメダス6.4℃(-2.3℃)-6.8℃(-4.5℃)774.8mm(-371.3mm)414cm(-65cm)83cm(-14cm)1724.3時間(+6.3時間)
いずれも平年値、括弧内は札幌との比較

北見市の気候を札幌市と比較した場合、比較的大きな差が見られます。

気温は1年を通して札幌より低くなっており、特に冬場は都市化で冷え込みが鈍い札幌との気温差はかなりのものです。また、夏場は北見の方が平均気温が低くても、札幌の方が真夏日が少ないという点で、北見の寒暖差・気温差の大きさが目立ちます。

降水量については、日本海からの季節風の影響を直に受ける札幌との差が晩秋~春先にかけてかなり大きい一方、春の終わり~夏にかけては差がほとんどありません。違いが少ないのは日照時間で、年間を通しての数字はほぼ同じ状況です。

雪は降る頻度としては札幌の方が圧倒的に多いものの、北見は寒いため雪が積もりやすく、結果札幌との差は比較的少なくなっています。

北見市のある「網走地方」の気候については、上記の記事で別途解説しております。