こちらでは、北関東に位置する群馬県内において、「雪」が多い地域・少ない地域はどこか?というテーマについて、様々な側面から見ていきたいと思います。
雪の量というものは、「アクセス可能な場所」・「市街地」・「山岳地帯」など、様々な「物差し」で考えた場合、「多い場所」となる地点は異なってきます。
また、その年の雪の降り方などによっても違いが生じる可能性はあり、こちらではあくまでも一般論として地理的な条件で見た場合の「雪の多さ・少なさ」を「推定」して解説をしていくものです。
人が住むエリアでは「藤原(みなかみ町)」が最も多い
観測地点 | 年間平年降雪量 (cm) | 平年年間最深積雪 (cm) | 積雪5cm≧ 年間平年日数 | 観測史上最深積雪 (cm) |
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藤原 | 1152 | 207 | 60.8 | 301(2006/1/26) |
みなかみ | 906 | 155 | 46.4 | 275(2006/1/28) |
草津 | 644 | 99 | 44.5 | 162(2014/2/16) |
前橋 | 19 | 11 | 2.8 | 73(2014/2/15) |
群馬県内では、気象庁が4つの観測地点で雪に関する観測を実施しています。
その中で最も雪が多い地点は、みなかみ町の北側に位置する「藤原」アメダスです。こちらでは、年間に降る雪の量は1,000cmを越え、多くの年で2m台程度の雪が積もるなど、全国的に見ても屈指の豪雪地となっています。
群馬県というと「関東平野」のイメージが強いかもしれませんが、藤原地域をはじめ北部の山沿いの地域は冬に雪が多く晴れ間が少ない「日本海側気候」の特徴が強く、50km程度しか離れていない前橋・高崎などの平地とは全く違う状況が見られます。
藤原地域は、観測地点のある地域周辺に人家や宿泊施設などがあり、冬場でも場所によっては車によりアクセスが可能な範囲となっており、一般的に降雪シーズンに「立ち入ることが出来る」場所としてはこの藤原地域の道路一帯が「群馬県内で一番雪が多い場所」となっています。
市街地では「沼田市」周辺も多め
県内でも山間部ではなくある程度の規模がある「市街地」という観点で見た場合、雪が最も多いのは利根・沼田地域の拠点にあたる「沼田市」の市街地と言えます。
沼田市は「市」としては県内で最も北に位置し、新潟県境からの距離も20km程度と比較的近く、「強い冬型の気圧配置」の際には雪雲が入りまとまった雪となる場合も多いほか、気温も低いため「南岸低気圧」による大雪も比較的多い地域です。
但し、上述した「藤原」をはじめより北側の地域で降る雪の量と比べると「桁が違う」ほど沼田市街地の雪は少なく、「根雪」は基本的に見られないほか、30cm以上のまとまった積雪が見られるケースもそれほど多くありません。
沼田市街地は、前橋・高崎市街地よりはかなり雪が多い一方、みなかみ町方面と比べるとかなり雪が少なく、わずかな南北の距離の差で雪の量がどんどん変化していく、いわば「雪雲が消える境目」のような環境と言えるでしょう。
山地では「三国山脈」一帯が最も多い
一般的にアクセスが可能かどうかなどを問わず、単なる「最も雪が多い場所」として見た場合、雪が最も多くなるのは標高がかなり高い群馬・新潟県境にあたる「三国山脈」一帯となります。
藤原地域の一部をはじめ冬場に人が一般的に立ち入ることが出来る豪雪地は、この三国山脈の南側の山麓または中腹にあたる地域で、これらの地域も積雪1~3m台程度と国内屈指の豪雪地ですが、標高が1,000m以上になるような山地であれば、雪の量は更に増え「数m」もありうる環境となります。
残雪は5~6月にかけては大量に見られ、巻磯山・朝日岳・谷川岳付近などをはじめ、尾根沿いの標高が特に高い場所や谷筋(雪渓)などには、7月に入ってからも残雪が見られることが通常です。
特に有名な場所としては、危険度が高いことでも有名な「谷川岳」の「一ノ倉沢」の万年雪があり、こちらは真夏でも雪が残る場所で、秋にかけても雪が見られる場合があります。一ノ倉沢周辺は標高にすると1,500m以下の場所が多く、一般的に国内で見られる万年雪(概ね1,500~3,000m台)と比べ、低い場所で残る雪として特徴的な存在となっています。
少ない場所は関東平野一帯(南側)
群馬県内で雪が少ない地域は、日本海側から入る雪雲の影響をほぼ受けない関東平野一帯の平地です。
平地ではどこでも雪は少な目ですが、積もる頻度では渋川が最も多く、前橋・高崎・伊勢崎と南側へ行くほど雪の頻度は減っていく傾向にあります。
最も雪が少ない傾向を持つのは、館林市など県の南端部、埼玉県などに近いエリアであり、「冬型の気圧配置」で雪が降ることはほぼありません。
まとめ
群馬県全体の「雪事情」については、上記の記事で別途解説しております。