道内屈指の観光地であり、日本海(石狩湾)に面した港町となっている「小樽市」。こちらのページでは、小樽市の気候について、季節ごとの傾向・札幌市との比較等を詳しく考察・解説していきます。
小樽市の気候「全体的な特徴」
平均気温 | 降水量 | 日照時間 | 平均風速 | 降雪量 | 最深積雪 | 降雪日数 | |
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年間平年値 | 8.8℃ | 1281.6mm | 1586.2時間 | 2.7m/s | 556cm | 118cm | 131.2日 |
小樽市は、北海道の道央地方・後志(しりべし)地方に位置する市で、地理的には日本海側(石狩湾)に面する地域となっています。
気候は、海沿いということで朝晩の冷え込みが抑えられる海洋性の気候であり、夏はそれほど暑くならない一方、「緯度」の割に冬場の気温は温暖です。
一方、市街地はオタモイ方面をはじめ、北側と西側を山でガードされている影響により、海沿いの地域としては風が弱めに観測される傾向が強く、平均風速は旭川・札幌を下回る水準です。
雪については、気温が道内ではやや高めでありながらも、日本海からの雪雲が次々に流れ込む影響で、道内のみならず国内の主要な都市部(人口10万人以上)では平均的には「最も雪が多い」都市と言えるなど「豪雪地」としての特徴が強い地域で、冬場の雪が多いため「降水量」も道内では多めの地域となっています。
市内を見ると、海に近い場所も含め急傾斜地となっている場所が目立ち、小樽港周辺のようにゼロメートル地帯もある一方で、望洋台・最上町・松ヶ枝方面など標高が高い地域も目立ちます。そのため、気温や雪の量は標高の差によって大きな違いがあり、同じ市街地の中でも差が出る場合があります。
加えて、風の吹き方も地域により異なる場合があり、海からの風がガードされにくい銭函方面や塩谷方面では、市街地よりも強風・暴風が吹きやすい可能性があります。
小樽市「季節ごとの気候」
【春の気候】根雪が長く残る年も・気温はそれほど寒くない
月 | 平均気温 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 降水量 | 日照時間 | 降雪量 | 最深積雪 | 降雪日数 |
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3月 | 0.8℃ | 4.1℃ | -2.4℃ | 87.3mm | 128.8時間 | 80cm | 106cm | 22.8日 |
4月 | 6.5℃ | 10.9℃ | 2.6℃ | 56.4mm | 175.5時間 | 7cm | 42cm | 7.6日 |
5月 | 12.1℃ | 16.9℃ | 7.9℃ | 53.7mm | 200.6時間 | なし | なし | 0.2日 |
近年の「積雪の多い3月」 | |
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1位 | 155cm(2013年3月10日) |
2位 | 153cm(2005年3月4日) |
3位 | 148cm(2014年3月12日) |
小樽市の春は、当初は雪の多い時期で、その後は比較的春らしい陽気の日も増えていきます。
3月については、2月までに積もった大量の積雪に加え、更にまとまった雪が降ることもあり、積雪深のピークが3月中に観測される年もあります。
長期間積もり続けた「根雪」は、その年の雪の量により消える時期には大きな差があり、3月中に雪が全て消える年もある一方、4月以降、場合によっては4月20日前後まで積雪が残った年もあるなど、道内の各都市と比べても雪が消える時期はやや遅めです。
気温については、海沿いということで内陸部ほどの急上昇はありませんが、太平洋側・オホーツク海側の都市のような低温傾向が目立つこともありません。
天気は4~5月は1年で最も日照時間が長い時期で、雪のシーズンが終わるとしばらく安定した天候が続きやすい時期となります。
【夏の気候】天候は道内では安定した地域・海沿いの割に暑い
月 | 平均気温 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 降水量 | 日照時間 | 夏日日数 | 真夏日日数 |
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6月 | 16.0℃ | 20.4℃ | 12.5℃ | 55.6mm | 170.4時間 | 3.4日 | 0.1日 |
7月 | 20.2℃ | 24.2℃ | 17.1℃ | 93.6mm | 163.3時間 | 11.8日 | 1.6日 |
8月 | 21.7℃ | 25.6℃ | 18.4℃ | 131.3mm | 167.7時間 | 17.4日 | 2.9日 |
小樽市の夏は、北海道内海沿いの地域として見た場合、比較的安定した天候が特徴の地域と言えます。
6月は「梅雨」のない北海道を象徴するように、降水量は5月と並び1年で最も少ない時期となり、雨がやや増える時期は秋雨前線の影響を受ける8月以降が主となります。
晴れ間で見ると、6月の天候は特に安定しやすく晴れが多く、7・8月も太平洋側で起こるような「海霧」に覆われる現象は多くないため、良く晴れる年が目立ちます。但し、北海道付近に低気圧・前線が長期間停滞したり、オホーツク海からの冷たい気流の影響等を受ける年には晴れ間が少なくなり、日照時間がまれに100時間以下となる月もあります。
気温については、海沿いの地域が一般に「涼しい」とされる一方、小樽のまちは必ずしも涼しいとは言えず、夏場には暑さを感じる日も多くなっています。これは、南側に山が多く、乾いた風が温度を上げて吹き込む「フェーン現象」が比較的起きやすい地形となっている点が一つの要因として挙げられます。
昼間の気温が上がりやすい上に、海沿いのため朝晩の気温が下がりにくいことから、道内では珍しく最低気温が20℃以上となる日も一般的で、内陸部のように肌寒さを感じる頻度は少なくなっています。
【秋の気候】春とは逆に海の影響で温暖に・まれに台風の影響も
月 | 平均気温 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 降水量 | 日照時間 | 降雪量 | 最深積雪 | 降雪日数 |
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9月 | 18.1℃ | 22.3℃ | 14.3℃ | 131.7mm | 159.8時間 | なし | なし | なし |
10月 | 11.8℃ | 15.9℃ | 7.9℃ | 123.0mm | 139.7時間 | 0cm | 0cm | 1.6日 |
11月 | 4.9℃ | 8.3℃ | 1.6℃ | 152.4mm | 79.6時間 | 36cm | 15cm | 14.9日 |
初雪 | 初積雪(1cm以上) | |
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平年値 | 10月31日 | 11月15日 |
最大瞬間風速の上位記録 | |
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1位 | 44.2m/s(西南西の風・2004年9月8日) |
2位 | 37.2m/s(南西の風・1954年9月27日) |
3位 | 35.2m/s(南西の風・1981年8月23日) |
小樽市の秋は、1年の中では最も降水量が多いシーズンです。
雨量が増える要因は前半は秋雨前線の影響が大きく、後半は「冬型の気圧配置」が増えるに従い、季節風(シベリアからの寒気)に乗って雨雲・雪雲が流れ込んで来る影響を受ける形になります。晴れ間は冬型の気圧配置が増える時期に入ると急速に減る傾向があり、11月以降は晴れがやや貴重な存在となります。
気温については、海沿いということもあり道内では温暖な地域で、9月の段階では蒸し暑さを感じることも一般的です。冷え込みは弱く、氷点下の厳しい冷え込みが毎日続くようなケースは、11月の下旬を除いてはほぼ見られません。
一方で、雪は11月中からまとまって降るような状況となりやすく、場合によっては積雪20~40cm程度が観測されることがあります。但し、年ごとの差が大きいため、秋の段階では10cm以上の雪とならない年もあります。
台風については、北海道のため「影響を受ける頻度・確率」自体は低いですが、小樽の西側(日本海上)を台風(または台風から変わった温帯低気圧)が進む際には暴風となることがあり、これまでの風速に関する記録は、台風により観測された数字も目立ちます。
【冬の気候】国内の主要都市では最も雪が多い・気温は「道内では」温暖
月 | 平均気温 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 降水量 | 日照時間 | 降雪量 | 最深積雪 | 降雪日数 |
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12月 | -1.1℃ | 1.6℃ | -3.8℃ | 151.9mm | 59.0時間 | 142cm | 54cm | 28.5日 |
1月 | -3.1℃ | -0.6℃ | -5.8℃ | 138.1mm | 63.5時間 | 157cm | 92cm | 29.8日 |
2月 | -2.7℃ | 0.2℃ | -5.7℃ | 106.6mm | 78.2時間 | 130cm | 117cm | 25.7日 |
積雪深 | 日降雪量 | 月間降雪量 | 年間降雪量 | |
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観測史上1位の値 | 173cm(1945年2月19日) | 84cm(1996年1月8日) | 310cm(1954年1月) | 792cm(2000年) |
小樽市の冬は、一言で言えば「豪雪」ながら「道内では温暖」な地域と言えます。
雪については、積もる量で考えた場合、人口が10万人単位の「主要な都市」としては年間最深積雪の平年値で見た場合、最も雪が多くなりやすい傾向があります。
(※新潟県の都市部等では2m以上降る年と、30cmも降らない年が入り混じるような地域がありますが、小樽の場合2mの雪が降ることはなくても、極端に雪が少ない年が存在せず、毎年コンスタントに1m前後降るという意味で「日本で一番(平均して)雪が多い」と言えます。)
雪は海水温が高い12月に最もまとまって降りやすく、1月以降も比較的多く降り、結果として1m以上の積雪となることが少なくありません。札幌や岩見沢と異なり、様々な風向きで雪が降りやすい点も特徴で、積もるほどの雪ではなくても、長時間雲に覆われ雪が舞うことが多いため、結果として冬場は晴れ間がかなり少なくなります。
一方で、気温については海沿いであり、晴れる頻度が少ないことも加わる結果、内陸部のように地上の熱が奪われる「放射冷却」が起きず、結果として道内では比較的温暖な地域となっています。朝の冷え込みを見ると、最低気温が-10℃以下に一度もならない年も一部あり、暖冬の年は-5℃以下になる頻度も少数派となるなど、札幌圏では最も冷え込みが弱い地域と言えます。
小樽と札幌の気候を比較する
年間平均気温 | 冬の平均気温 | 年間降水量 | 年間降雪量 | 年間最深積雪 | 年間日照時間 | |
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札幌管区気象台 | 9.2℃ | -2.3℃ | 1146.1mm | 479cm | 97cm | 1718.0時間 |
小樽特別地域気象観測所 | 8.8℃(-0.4℃) | -2.3℃(±0℃) | 1281.6mm(+135.5mm) | 556cm (+77cm) | 118cm(+21cm) | 1586.2時間(-131.8時間) |
小樽市の気候を札幌市と比較すると、近くということで全体的な差はそれほど目立ちません。
但し、冬場は小樽の雪(降水量)が多くなり、逆に日照時間は減るため、結果としてその差が小樽の年間降水量の多さ、札幌の年間日照時間の多さをもたらしています。
気温については、冬場は小樽が海沿いのため冷え込みにくい影響で、札幌は都市化による「ヒートアイランド現象」で冷え込みにくい影響により、結果としてどちらも大きな差はありません。春から夏は海水温の影響もあり1℃程度の気温差が生じますが、それほど目立つような気温差とは言えません。
風については、内陸部である札幌管区気象台で観測される風速が、海沿いの小樽を上回るという珍しい現象が見られますが、これは「風の通り道」にあたる札幌が強風に見舞われやすい特徴と、札幌の風速計が高い「塔の上」にあるという環境上の問題が重なった結果と言え、単純に比較してよいかは判断に迷うポイントです。
札幌と小樽は30km程度の距離ですので、小樽観光の折には札幌へ、札幌観光の折には小樽へ訪れるのがおすすめです。
小樽市の気候【まとめ】
小樽市のある「後志地方」の気候については、上記の記事で別途解説しております。