北海道の南西側(檜山地方)に位置し、日本海に浮かぶ離島となっている「奥尻島」。こちらのページでは、奥尻島の「気候」について、全体的な特徴・各季節ごとの特徴などを詳しく解説していきます。
奥尻島は、大まかに言えば「道内で特に温暖」かつ「降水量(雨・雪)が少ない」傾向を持つ地域で、北海道本島の側とは気候に違いが見られます。
「気象データ」から見る奥尻島の気候
月 | 降水量 (mm) | 平均気温 (℃) | 平均最高気温 (℃) | 平均最低気温 (℃) | 平均風速 (m/s) | 日照時間 (h) |
---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 29.6 | -0.4 | 1.6 | -2.4 | 8.8 | 45.2 |
2月 | 34.1 | -0.2 | 1.9 | -2.2 | 8.3 | 71.3 |
3月 | 42.4 | 3 | 5.3 | 0.7 | 7.4 | 158.2 |
4月 | 64.2 | 7.4 | 10 | 5 | 6.1 | 207.9 |
5月 | 83.8 | 11.7 | 14.6 | 9.3 | 5.3 | 196.2 |
6月 | 76.3 | 16 | 19 | 13.6 | 4.3 | 178.4 |
7月 | 113.3 | 20.1 | 22.9 | 17.9 | 4.2 | 154.3 |
8月 | 127.1 | 22.5 | 25.4 | 20.1 | 4.2 | 199.1 |
9月 | 122.7 | 20 | 22.6 | 17.5 | 5.1 | 189.1 |
10月 | 90.4 | 14.2 | 16.6 | 11.8 | 6.3 | 160.6 |
11月 | 84.2 | 7.6 | 10 | 5.1 | 7.6 | 87 |
12月 | 61.9 | 1.7 | 3.9 | -0.5 | 8.9 | 46.3 |
年 | 920.1 | 10.3 | 12.8 | 8 | 6.4 | 1698.2 |
月 | 降水量 (mm) | 平均気温 (℃) | 平均最高気温 (℃) | 平均最低気温 (℃) | 平均風速 (m/s) |
---|---|---|---|---|---|
1月 | 31.3 | -1.6 | 0.7 | -3.9 | 8.1 |
2月 | 30.9 | -1 | 1.4 | -3.5 | 7.8 |
3月 | 40.3 | 2.3 | 5.1 | -0.5 | 7 |
4月 | 53 | 6.8 | 9.8 | 3.6 | 5.6 |
5月 | 87.4 | 11.3 | 14.4 | 8.2 | 4.6 |
6月 | 82.7 | 15.8 | 18.7 | 13.1 | 3.9 |
7月 | 108.4 | 19.8 | 22.4 | 17.5 | 4 |
8月 | 112 | 22.2 | 25.1 | 19.6 | 4.2 |
9月 | 113.8 | 19.4 | 22.4 | 16.2 | 4.8 |
10月 | 76.8 | 13.5 | 16.4 | 10.1 | 6.1 |
11月 | 74.1 | 7 | 9.7 | 3.9 | 7.3 |
12月 | 57.7 | 0.8 | 3.3 | -1.8 | 8.3 |
年 | 868.2 | 9.7 | 12.5 | 6.9 | 6 |
奥尻島(奥尻町)には、気象庁の観測地点として、奥尻アメダス・米岡アメダスの2か所があります。
奥尻アメダスは、島内最北端「稲穂岬(賽の河原公園)」近くに位置し、米岡アメダスは逆に南端に近い「奥尻空港」近くにあります。観測される気温は冬場を中心に差が見られ、海に突き出したような環境にある奥尻アメダスでは、冬の気温が特に温暖な状況となっています。
奥尻島「春の気候」
奥尻島の春は、海に囲まれた環境(変化が小さい海水温の影響を受ける)ということで、当初(3月)は気温が高めである一方、4月以降の気温上昇はゆっくりしたペースで、途中からは札幌・旭川などの方が気温が高い傾向がはっきり見られるようになります。
朝晩の気温差は小さく、氷点下の冷え込みはかなり少ない一方で、昼間の気温はそれほど上がりません。
天気は時折低気圧などの通過で天気が崩れるなど、周期的な変化を見せますが、全体としては「よく晴れる」傾向が見られます。風は「冬型の気圧配置」の頻度が減るに従って次第に弱まる傾向ですが、低気圧通過時などに暴風が吹き荒れるケースもあります。
雪については、道内の日本海側各地と比べると雪が少ない傾向があり、島内でも環境によりますが、3月に入った時点で「積雪・残雪なし」となっているケースも多くなっています。3月以降に雪が降ることも一般的ですが、山地を除き雪が長期間残るようなことは多くありません。
奥尻島「夏の気候」
奥尻島の夏は、海からの風が吹くため「暑さ」はそれほど感じない一方、特別に気温が低いような地域でもありません。最高気温が30℃以上になるようなケースはほぼなく、札幌などと比べ、気温の面では概ね過ごしやすい環境と言えるでしょう。
天気は当初は比較的安定した晴れが続きやすく、次第に前線などの影響で雨が降る量も増えていく傾向です。但し、雨の状況などは年ごとの差が大きく、梅雨前線・秋雨前線が停滞しやすい年は天候不順の傾向となる一方、高気圧の影響を受けやすい年は長期間晴れ続ける場合があります。
その他の特徴としては、低気圧が発達しながら通過する頻度などが減るため、比較的風が強い奥尻島の1年では最も「風」が穏やかな季節です。まれな暴風など例外もありますが、丸1か月以上・長期間穏やかな状況が続く場合もあり、観光等には適した環境となりやすい時期と言えます。
奥尻島「秋の気候」
奥尻島の秋は、道内で見た場合「非常に温暖」な特徴を持ちます。海沿いのため残暑などが厳しいことはなく、東京などと比べれば気温は大幅に低いものの、朝晩の肌寒さを感じる時期は比較的遅く、11月に入ってからも氷点下の冷え込みは少な目となっています。
天気については、前半と後半で大きく異なり、9月などは比較的晴れる日が多い一方、10月の後半以降は「冬型の気圧配置」の影響を受けやすくなり、次第に晴れ間が減る傾向で、どんよりした天気(雨や雪も)や風が強く吹く日が増えていきます。
気温が高いため雪が降る時期は遅く、道内各地で初雪の便りが届く場合でも、奥尻島で雪が降るとは限りません。但し、多くの年で11月中に1度は雪が積もるケースが多く、12月まで雪がずれこむケースはごくまれと言えます。なお、積雪はうっすら~10cm程度の場合が大半を占めます。
奥尻島「冬の気候」
奥尻島の冬は、気温の面では道内では最も温暖な地域の一つにあたり、朝晩の冷え込みなども限定的で、昼間も海からの風が吹き付ける地域の場合、プラスの気温となる場合の方が多くなっています。
一方で、日本海に浮かぶ島ということで「冬型の気圧配置」により悪天候が続きやすく、日照時間(晴れ間)は12月・1月を中心にかなり少なく、曇りや雪の日が多くなっています。風もかなり強く、状況によっては25m/s~以上の暴風が連日のように吹く場合もあります。
雪については、「降ること」は一般的ですが、「積もる量」は多くなく、条件によっては冬場でも雪が積もっていないケース・根雪がないケースがある、道内では珍しい地域です。
なお、積雪には地域差が生じる場合があり、島内でも山地では雪が増えやすく、海沿いでも奥尻港周辺(奥尻地区)など島の東側はやや多い一方、西側を海に面したような地域では積雪が特に少ない傾向が見られます。
札幌の気候と比較する
年間平均気温 | 冬の平均気温 | 年間降水量 | 年間日照時間 | |
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札幌管区気象台 | 9.2℃ | -2.3℃ | 1146.1mm | 1718.0時間 |
奥尻アメダス | 10.3℃(+1.1℃) | 0.4℃(+2.7℃) | 920.1mm(-226.0mm) | 1698.2時間(-19.8時間) |
奥尻島の気候は、札幌と比較した場合気温は「温暖」で、降水量は「少ない」傾向があります。また、日照時間(晴れ間)はそれほど差が見られません。
気温は夏は札幌の方で「暑い日」が増えやすい一方、冬の気温が奥尻島で非常に高いため、年間では札幌よりも平均1℃程度高い地域となっています。
雪については奥尻島で観測がないため、データによる比較はできませんが、海沿いで見た場合札幌の雪が圧倒的に多い傾向(雪が比較的多い島内東側との比較でも札幌が多め)で、場所によっては比較にならないほどの差が生じます。
奥尻島の気候【まとめ】
奥尻島のある「檜山地方」全体の気候については、上記の記事で別途解説しております。