留萌市の「気候の特徴」とは?季節ごとの傾向などを解説【日本海に面する】

自然・気候

当ページでは、北海道内で小樽・石狩・稚内とともに日本海に直接面する数少ない「市」である留萌市の気候について、季節ごとの詳しい特徴や札幌市との比較について解説していきます。

留萌市の気候「全体的な特徴」

留萌特別地域気象観測所の雨温図
降水量平均気温日照時間平均風速降雪量最深積雪
年間平年値1154.1mm8.0℃1514.0時間5.1m/s546cm90cm

留萌市は、北海道の日本海側に位置する市で、多くの人口が住む留萌市街地一帯は海に直接面した地域となっています。

気候は日本海からの気流の影響が強い海洋性の気候であり、水温の差が比較的小さくなる海に面しているため、気温は道内の同じ緯度にある内陸部と比べ冬場は高く、夏の最高気温はやや低くなりやすい傾向がはっきりしています。

海からは季節風が吹き込みやすいため、秋~冬を中心に風が非常に強く、低気圧が発達するタイミングなどには最大瞬間風速30m/s以上の台風並みの暴風が吹くこともあります。

雪は日本海側ということで多い地域ですが、その年の気象条件によって差が大きく、市街地では1m以上積もる年もあれば、札幌・旭川よりもかなり少ない積雪になる年もあるなど、雪の量には大きな差があることも特徴です。

なお、市内は市街地一帯に加え、留萌川に沿って内陸部の地域(幌糠など)・山間部もあり、こちらはより寒く、かなりの豪雪地であるなど一定の気候差があります。

留萌市「季節ごとの気候」

【春の気候】晴れが多い季節・雨量はとても少ない

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪雪日数
3月0.0℃3.2℃-3.5℃53.5mm129.7時間75cm72cm23.2日
4月5.5℃9.4℃1.6℃43.2mm174.5時間9cm18cm10.3日
5月11.1℃15.4℃7.2℃59.7mm201.2時間なしなし0.7日
平年値(1991年~2020年)

留萌市の春は、3月の段階では前半ほど真冬に近い寒さになりやすく、最高気温0℃未満の真冬日となること・1日20cm以上のまとまった雪が降るようなことも時折あります。根雪も多くの年で3月の後半まで残り、一部の年では4月まで積雪状態が続く場合があります。

4月以降は積もるような雪が降ることは稀で、体感的には次第に春らしくなりますが、気温は日本海の冷やされた海水温の影響を受けるためやや上がりにくく、朝晩の気温差も大きくなりにくいため、昼間の気温は道内の内陸部・山間部の方が大幅に高いことが多い時期です。

天候で見ると、時折低気圧が通過して強い風が吹くことなどはありますが、降水量はとても少ない時期で、5月は1年の中でも最もよく晴れるシーズンとなります。

【夏の気候】暑い日が少ない・天候は比較的安定

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間
6月15.4℃19.2℃12.3℃56.3mm174.0時間
7月19.6℃23.1℃16.7℃113.9mm169.2時間
8月20.9℃24.6℃17.7℃126.6mm174.4時間
平年値(1991年~2020年)

夏の留萌市は、海が近いということで朝晩の気温差は比較的抑えられ、湿度は高い傾向があるものの、気温の面からは暑くなりにくく比較的過ごしやすい地域です。

珍しく気温が上がるケースとしては、南東・東南東方向から風が吹き、十勝方面から複数の山地を越えた風が「フェーン現象」を起こしながら吹き込む場合が挙げられますが、頻度は少なく、平均すれば年2日程度しか最高気温30℃以上の「真夏日」は観測されません。

夏場は雨量が次第に増える時期ですが、道内では天気が安定しやすい方で、まれにオホーツク海側からの湿った気流(オホーツク海高気圧)の影響を受け、日照時間が少なくなる年がありますが、その影響も日本海側のため比較的限定的です。また、冬場と違い強い季節風が吹き込むこともなく、風は1年のうちで最も弱くなる時期となっています。

【秋の気候】降水量が多い時期・どんどん減る晴れ間

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪雪日数
9月17.2℃21.4℃13.1℃145.4mm167.5時間なしなしなし
10月11.1℃15.2℃6.9℃131.4mm124.3時間0cm0cm2.2日
11月4.4℃7.8℃1.1℃140.0mm51.9時間35cm13cm17.1日
平年値(1991年~2020年)
初雪日初積雪日(1cm以上)
平年値10月25日11月14日

秋の留萌市は、降水量を見ると1年間で最も多い時期となります。

理由としては、1点目としては秋の前半は「秋雨前線」の影響を受けやすく雨の頻度がやや増えること、2点目としては秋が進むにつれてシベリアからの寒気(季節風)の影響を受け「冬型の気圧配置」となりやすくなり、雨や雪の頻度が増えていく点が挙げられます。すなわち、留萌では「雨が少ない時期」を挟まずに夏から冬へと季節が進んでいきます。

台風については、影響を受ける頻度は北海道のため少ないですが、留萌よりも西側(日本海上)を台風(または台風から変わった温帯低気圧)が発達した状態で進むと、強い風・暴風が吹く可能性もあります。

冬の兆しは10月の半ばころから次第に見られるようになり、「冬型の気圧配置」の頻度が増えるにつれ晴れ間は急速に減り、強風・ぐずついた天気が続きやすくなります。雪が観測されるのは10月末以降の場合が多く、積雪は11月以降が基本で、年によっては11月中から20cm程度の積雪となる場合もあります。

気温は、春とは逆に海水温が高い状態が維持されるため、海沿いの留萌市は内陸部よりも気温が大幅に高くなります。但し、緯度は高い地域ですので寒さ自体は比較的早く訪れ、10月中から氷が張る程度の冷え込みはあり得る環境です。

【冬の気候】暴風のシーズン・豪雪の年も

平均気温平均最高気温平均最低気温降水量日照時間降雪量最深積雪雪日数
12月-1.5℃1.3℃-4.4℃119.8mm29.6時間147cm47cm28.8日
1月-4.1℃-1.0℃-7.4℃95.8mm48.0時間165cm74cm29.9日
2月-3.7℃-0.4℃-7.4℃68.5mm69.7時間120cm86cm26.1日
積雪深日降雪量年間降雪量
観測史上最大の値204cm(1946年3月17日)62cm(1956年12月23日)739cm(1970年)
いずれも平年値(1991年~2020年)

冬の留萌市は、雪や寒さに加え、極端な晴れ間の少なさ・強風(暴風)が特徴と言えます。

海に面する開かれた地理的条件を持つ留萌市は、稚内市などと同様に「冬型の気圧配置」となると、ほとんどすべての風向きから雪雲が流れ込む状況(どんな時でも雲が流れ込む)となります。この場合、降る雪は弱く舞う程度のことが多いケースでも、ほとんどの時間雲に覆われ続けるため、結果日照時間は極めて少なくなります。

同じ冬場でも、海水温が高く雲が発達しやすい冬の前半ほど日照時間は減りやすく、12月は平均で30時間未満と、晴れ間を探すことに一苦労するような比較的厳しい気象条件が続きます。

また、冬型の気圧配置となる際や、その前に低気圧が発達しながら進む場合には、日本海から常に強い風が吹きつけます。風は特に強いケースでは台風並みの最大瞬間風速30m/s以上となり、雪を伴う場合ブリザード・ホワイトアウトと表現できるような天気となり、地吹雪になることも一般的です。

雪が降る量で見ると、近年は「豪雪」と言ってよい積雪1mを大幅に上回るような年と、札幌・旭川よりもかなり少ない30~50cm台で済んだ年と、年ごとの雪の量にかなり差が生じる傾向が強まっています。

雪が増える要因としては、稚内・羽幌沖方面から雪雲の塊(収束帯)がやってきて1日30cmを超える「大雪」をもたらす場合もありますが、豪雪の年の状況を見ると、まとまった雪に加えて1日5~15cm程度の雪が長い期間じわじわ降り積もって増えるケースも多くなっています。

札幌と比較する

札幌と留萌「月降水量」の比較
札幌と留萌「月平均気温」の比較
年間平均気温冬の平均気温年間降水量年間降雪量年間最深積雪年間日照時間
札幌管区気象台9.2℃-2.3℃1146.1mm479cm97cm1718.0時間
留萌特別地域気象観測所8.0℃(-1.2℃)-3.1℃(-0.8℃)1154.1mm(+8.0mm)546cm(+67cm)90cm(-7cm)1514.0時間(-204.0時間)
いずれも平年値、括弧内は札幌との比較

留萌市の気候を札幌と比較すると、全期間で札幌よりも気温はやや低くなっています。気温差は海水温の影響で気温が高くなりやすい秋はかなり小さく、逆に海水温が低い春~夏にかけてはその差はやや広がります。

降水量については、全体的な差はそれほど大きくありませんが、秋は留萌が多く、冬~春先は札幌が多い傾向が読み取れます。この要因としては、より北側に位置する留萌では、冬場になると海が「冷やされ過ぎて」雪雲が発達しにくい傾向が強まること、また太平洋側を通る低気圧などの影響を受けにくい点が挙げられます。

差が目立つのは日照時間であり、こちらは札幌が冬場でも雪の日・晴れる日のメリハリがはっきりしている一方、留萌は先述したように雪の量に関わらず長時間雲に覆われ続ける点によるもので、春以降や夏の日照時間に大きな差はありません。

留萌地方全体の気候については、上記の記事で別途解説しております。