成田空港(成田市)の「雪事情」とは?【雪は少ない・まれな積雪時の影響大】

自然・気候

こちらのページでは、千葉県の北部に位置する、日本で最も規模が大きな国際空港でもある「成田空港(東京国際空港)」周辺(成田市)の「雪事情(雪の降る・積もる状況)」について解説していきます。

成田市は、首都圏の中でも太平洋沿岸に近い地域のため、基本的に温暖で雪も少ない地域ですが、空港という性質上、まれに雪が積もった際には交通に大きな影響が生じることがあります。

掲載情報は2022年時点のものです。その後の観測状況などにより、データなどが変化していることも考えられますので、その点はご留意下さい。

空港では臨時観測として雪の観測を実施

成田市内には、気象庁の「成田」観測所がありますが、こちらでは「雪」に関する常時の公式的な観測は実施されていません。そのため、データベース上で一般的に確認可能な積雪観測データはないほか、一般的にリアルタイムで「成田の積雪~cm」といったような形で状況を把握することが出来るデータはありません。

但し、過去に雪となった際には当局により、臨時に積雪の観測が実施されており、成田航空地方気象台のウェブサイト内の情報などで、過去の雪に関する状況をある程度把握出来るようになっています。

例えば、全てではありませんが、過去の主なまとまった雪の事例としては、以下のようなケースが見られます。

観測日最深積雪
2006年1月21日13cm
2013年1月28日8cm
2018年1月22日16cm
2019年2月9日6cm
2019年2月11日6cm
2022年1月6日6cm
出典:成田航空地方気象台航空気象情報誌「空のしおり」

成田空港・成田市「月別の降雪・積雪傾向」

成田空港・成田市市の「雪事情」について、市内の「平地・市街地」を前提とした、各月ごとの大まかな傾向をまとめると以下のような形になります。

雪の傾向
11月・基本的に雪は見られない
・2016年に1度だけ積雪となったケースあり
12月・雪は全く降らない場合が大半
・積雪となったケースは極めてまれ
1月・雪が必ず積もる訳ではなく、積もらない年も一般的
・雪は主に「南岸低気圧」が要因、但し他の特殊要因によるケースも目立つ
・10cm以上のまとまった雪はかなりまれ
2月・雪が必ず積もる訳ではない、積もらない年も一般的
・雪は主に「南岸低気圧」が要因、但し他の特殊要因によるケースも目立つ
・10cm以上のまとまった雪はかなりまれ
3月・雪となるケースは非常に少ない
・特に近年3月の雪は激減の傾向
4月・基本的に雪は見られない
・2010年の事例など、極めてまれに雪となったケースあり

成田空港一帯は、山地もなく丘陵地や平地が続く地域で、一般的に見れば、市内に極端な気候の差はありません。

但し、成田市内といっても範囲がやや広いほか、「南岸低気圧」通過時にこの一帯が「雨と雪の境目」となるケースも見られるため、雪がまれに積もった場合でも、市内での雪の量に差が生じたり、場合によっては積雪がある場所・ない場所に分かれたりする可能性も考えられます。

成田空港・成田市の雪事情「ここがポイント」

雪は少ない・予測は難しい

成田空港は、地理的には太平洋沿岸からもそれほど遠くはなく、海からの暖かい空気も入りやすいことなどから、雪は少ない地域です。

一方で、成田市周辺は、関東で雪が降る場合(南岸低気圧)に「雨」と「雪」の境界線付近となることも多く、雪となるかどうかの判断が難しい地域とも言えます。

過去の事例を見ると、東京が雪の際に成田空港側は「大雨」となったケース、気温が高かった所から急降下して雪に変わったケース、成田も東京も雪がしっかり積もったケース、東京では何も降らず成田では積雪となったケースなど、「少ない中」でも雪を取り巻くパターンは様々です。

「南岸低気圧」以外で積雪となるケースも目立つ?

成田市で雪となる場合、その要因として最も多いものは、東京など関東平野一帯に雪をもたらすことがある「南岸低気圧」によるケースです。

但し、過去の雪の事例を見ると、東京などと比べ南岸低気圧以外によるケースも目立ちます。

1つは「シアーライン」によるケースで、冬型の気圧配置に移り変わる際などに、違った向きの風がぶつかり合うことで雪雲が発生し、雪を降らせるというものです。

2つ目は「寒冷な低気圧」によるケースで、冬型の気圧配置の際などに、上空に非常に強い寒気を伴った低気圧(天気図に現れないケースも)が通過し、雪を降らせるというものです。

雪の頻度自体は少ないものの、雪が降る場合は比較的様々な、やや特殊な要因も含めた形で雪がもたらされるのが成田空港周辺の特徴と言えるでしょう。

わずかな雪でも影響は大きい

雪は少ない成田空港ですが、仮に平均年1回程度の積雪であったとしても、一度積もればわずなか量でも「空港」という性質上、飛行機の運航には大きな影響を及ぼすことがあります。

まれな雪にも対応できるように、成田空港には多数の「融雪機」が配置されていますが、積雪時には一時的に滑走路が閉鎖されることもあるため、欠航便などが生じることは多く、例えば2018年1月の記録的な大雪では、欠航便の数が200便近くに達するなど、大きな影響を及ぼしました。

なお、「大雪」のケースに留まらず、積雪がうっすら~数cm程度であったとしても、一時的には支障が生じ欠航便が発生することが多いため、その点は注意が必要です。

スタッドレスタイヤの利用は少ない

成田市は、雪が少ない地域のため「スタッドレスタイヤ」の装着といった雪に対する備えは余り一般的ではありません。

また、空港に訪れる車は東京方面からの車が多く、冬場に必ずスタッドレスタイヤを備えている訳ではないため、積雪時には一時的に動きづらい状況となるケースもあります。

なお、成田市は太平洋に近い地理的な環境の割には冷え込みが厳しいため、雪の有無に関わらず時に路面凍結が生じることも考えられるため、その点はやや注意が必要な場合があります。

成田空港・成田市の雪事情【まとめ】

  • 雪は少なく、雪が積もらない年も一般的に見られる環境
  • 積雪は基本的に1~2月が大半、12月以前や3月以降の雪はかなりまれ
  • 10cm以上の大雪はまれ
  • 空港という性質上、うっすら~数cm程度の雪でも影響が大きくなる場合あり
  • 雪は「南岸低気圧」が主要因、雨と雪の境付近となり予測が特に難しいケースも
  • 但し、「シアーライン」や「寒冷な低気圧」などやや特殊な要因で積もるケースも目立つ

千葉県全体の「雪事情」については、上記の記事で別途解説しております。