近鉄電車の運賃は高い?安い?他社との比較等から考える | 奈良まちあるき風景紀行

近鉄電車の運賃は高い?安い?他社との比較等から考える

観光お役立ち情報

奈良・三重を中心に大阪・京都・名古屋へも足を延ばす日本最大の私鉄「近鉄電車(近畿日本鉄道)」。

近鉄電車については、その運賃が高いという感想を持つ人が比較的多いようですが、こちらのページでは他社の同じ距離の区間等と比較しながら、その運賃水準について見ていきたいと思います。

ざっくりと言えば、近鉄電車は大手私鉄の中でも運賃は高い方ですが、JR線よりは長距離区間ではやや安い傾向があり、通学定期等の場合は一層割安になります。

近鉄電車の普通運賃について

比較をしていく前に、まずは2019年の消費増税以降の近鉄の普通運賃を一覧表でご紹介します。

キロ程運賃キロ程運賃キロ程運賃
初乗り3km160円56~60km900円141~150km1950円
4~6km210円61~65km960円151~160km2050円
7~10km260円66~70km1020円161~170km2150円
11~14km310円71~75km1080円171~180km2250円
15~18km360円76~80km1140円181~190km2350円
19~22km410円81~85km1200円191~200km2450円
23~26km460円86~90km1260円201~210km2550円
27~30km510円91~95km1320円211~220km2650円
31~35km560円96~100km1380円221~230km2750円
36~40km610円101~110km1440円231~240km2850円
41~45km660円111~120km1500円241~250km2950円
46~50km710円121~130km1560円
51~55km760円131~140km1620円

上記が近鉄電車の普通運賃です。この他けいはんな線や鳥羽線、吉野線・湯の山線・志摩線を利用する場合加算運賃が20円~130円程度適用されます。

初乗り運賃・近距離の場合

高いと言われがちな近鉄電車の運賃ですが、具体的に各社と比較する場合はどうなっているのでしょうか。まずは初乗り運賃や近い距離の区間から見てみましょう。

近鉄の初乗り運賃は2020年現在「160円」です。これは阪急・南海・京阪といった関西の主要私鉄と同水準ですが、京王や小田急・東急といった関東の私鉄各社・JR西日本・JR東日本等と比べても割高な水準です。

逆に、初乗り運賃が近鉄よりも大幅に高いのは地下鉄各社局(大阪メトロ=180円・京都市営地下鉄=220円)等です。

例えば、近鉄線の場合では近鉄奈良駅~東生駒駅は運賃300円・距離11.3キロですが、JR西日本であればほぼ同じ距離の奈良駅~法隆寺駅間は運賃220円・距離11.8キロとなっています。

また、初乗りではなく数駅程度の「近距離」区間では、とりわけ近距離が安い傾向にあるJRと比べると運賃差は大きくなり、他の私鉄と比べてもほとんどのケースで近鉄が割高になります。

近鉄よりも運賃が高くなる主要な鉄道会社は、12キロ以上で340円となる南海電車や、そもそも収益基盤が弱い山陽電鉄や神戸電鉄、また建設費の都合で極端に運賃が高いつくばエクスプレス・北総鉄道・東葉高速鉄道等に限られます。

運賃が高いとされがちな近鉄電車については、確かに近距離区間では実際に割高感があることは否定できません。

中距離(30キロ程度~)の場合

都市間の移動で一般的な中距離(概ね30キロ程度)の場合はどのような運賃水準になっているのでしょうか。

これについては、特別な区間を除いてはJR線より概ね割安ですが、関西・首都圏の大手私鉄の中では割高な部類にあたります。

但し、JR線と近鉄線がやや競合している区間で、JRが特別に安い運賃を設定している場所では、運賃に大きな差はないか、むしろJRが安い場合もあります。
例えば近鉄奈良駅~近鉄大阪難波駅・JR奈良駅~JR難波駅の運賃は同じ570円ですが、距離自体はJR線経由がかなり長めです。また、JR奈良駅~JR天王寺駅間は470円と割安な運賃となっています。

他の鉄道会社と比べると、名古屋鉄道よりはやや安く、南海電車は30キロ前後では近鉄線より高く、距離が長くなると近鉄線より安くなる傾向があります。また、西鉄電車とは概ね同じくらいの運賃水準です。

もっとも、それ以外の大手私鉄と比べると、近鉄は運賃は高めです。阪急電車のようにローカル線区を持たない鉄道会社の場合、30キロ乗っても運賃は320円ですので、近鉄はその1.5倍以上の運賃ということになります。首都圏の大手私鉄で近鉄より高い会社はなく、東急・京王・小田急・西武などと比べても阪急電車と状況はほぼ同じです。

距離が長くなって行くと、近鉄線とJR線の運賃差は少しづつ増えていきます。例えば50キロ乗る場合、近鉄線は770円・JR線は860円、75キロ乗る場合、近鉄線は1090円・JR線は1340円と、次第に近鉄線の割安感が強くなっていきます。

遠距離(100キロ以上等)の場合

遠距離・長距離の区間の場合、そもそも運行距離の短い一部の鉄道会社とは比較はできませんが、近鉄線の場合、概ねJR線よりは割安な水準となっています。

例えば120キロの区間は、近鉄線は1590円・JR線は1980円、150キロの区間は近鉄線は1950円、JR線は2640円とかなりの運賃差が出て来ます。

名古屋へ行くルートとしては、新幹線よりも近鉄特急アーバンライナーが安いことで知られていますが、これは特急料金の差だけではなく、普通運賃も含めて割安なことも一つの要因です。

定期運賃について

近鉄線は普通運賃で乗車する場合、JRよりも少し安いことが多い。という程度の運賃ですが、定期券をご利用の場合は「通学定期」ではかなり割安となります。

やや距離が長い区間であれば、月3往復で元が取れることすらある程で、学生には非常に優しいのが近鉄線の特徴となっています。

近鉄線の通学定期の特徴については、上記の記事で詳しくご紹介しています。

なお、通勤定期については特に近距離~中距離などは区間によってJR線より高くなる場合もあり、特段の価格面での特徴はありません。

まとめ

近鉄電車の運賃は、近距離ではJR線より高く、各私鉄の中ではやや割高な部類にあたります。30キロ以上の中距離では一部の競合区間を除いてはJR線より割安で、距離が長くなるほど安さがはっきりします。なお、各大手私鉄の中では名鉄に次いで割高で、南海や西鉄と概ね同水準です。長距離の場合はJR線よりかなり安くなります。

運賃の高さについては、近鉄が奈良県・三重県という大都市ではないエリアを主な営業区域としており、吉野線や鳥羽・志摩線系統、各支線系統などローカル線も多く、奈良線など利用の多い路線の収益で全体を下支えする必要があるという切羽詰まった理由があります。

新型コロナウイルスの影響で利用が減り、更に値上げされる可能性も出てきていますが、比較的運行本数も多く「地方・田舎」にしては使いやすい公共交通機関を維持しているという社会的使命を考慮すると、むしろ比較的抑えられた運賃とも言えるのではないでしょうか。