【新薬師寺本堂】十二神将像がずらりと並ぶ姿にただ圧倒される空間

ごあんない

新薬師寺「本堂」は、十二神将像で知られる「新薬師寺」では最大規模の仏堂であり、その「十二神将像」が安置されている境内最大のみどころです。

現在の本堂は、改修を経つつも新薬師寺の創建期である奈良時代(天平時代)から残され続けている大変貴重な建物(国宝)であり、東西に比較的広がりを持った姿となっており、内部は建築様式が良く分かる天井のない構造となっているほか、土間が広がる空間の中央に「十二神将像」などの並べられている土壇が設けられています。なお、かつてはこの建物のある周辺は境内の中心部と言える位置でなかったため、この建物は本堂ではなかったとされており、創建期には仏道修行を行う空間であったとも、食堂であったとも考えられていますが、当初の使用目的は明らかになっていません。

安置されている仏像一覧

本尊薬師如来坐像

本堂中央の土壇の中心部に安置されている新薬師寺のご本尊「薬師如来坐像」。十二神将像と比べると知名度は劣る存在かもしれませんが、新薬師寺のご本尊はあくまでもこちらなので、本来の「十二神将像」の役割はこの薬師如来さまを守護する役割ということになります。

像高2メートルほどの温和な表情の仏さまは、奈良時代から平安初期の造立と考えられ、木目を合わせることにより全体を一本の木材から彫り上げたように見せる工夫がなされており、新薬師寺創建の由来が光明皇后の「眼病」治癒であったとも伝わることに関わるかのように、通常の仏さまよりも大きく開いた目が特徴的な存在となっています。また光背には6つの化仏が彫られており、「七仏薬師」を表現したものとされているほか、仏像内部から法華経が発見されたというエピソードも有しています。

十二神将像

十二神将像は、薬師如来が修行中に発願されたという「十二の大願」に応じて十二の時や方角を守護し、薬師如来様を護衛する神々とされており、十二支に対応する形となっています。一躯あたり7000人の護衛を率いるとも言われるそれぞれの神将は、怒りの表情に満ちていることが特徴となっており、見る者を圧倒する「凄み」を感じずにはいられない存在となっています。

新薬師寺の十二神将像は一躯を除き奈良時代のもの(国宝)となっており、現在でも一部で彩色が残るなど最古かつ最大規模であるにも関わらず保存状態はよいものですが、当初より新薬師寺にあった訳ではなく、現在では廃寺となった山沿いの「岩淵寺」にあったという伝承も残されるなど、そのルーツを巡っては謎の多い存在にもなっています。

「いぬ」 伐折羅(バサラ)大将

・左手を垂れて拳を広げつつ、右手に剣を持っている姿となっており、堂々たる姿は古い切手の題材にもなっています。

「ひつじ」 頞你羅 (アニラ)大将

・兜を身に着け、両手に矢を持つ姿となっています。

「たつ」 波夷羅(ハイラ)大将

・兜を身に着け、両手には弓を持つ姿となっています。なお、この神将像のみは奈良時代のものが破損した後補われた形となっているため、国宝指定がなされていません。

「ね」 毘羯羅(ビギャラ)大将

・左手を腰に当てつつ、右手には煩悩を打破する心を表現する「三鈷杵」を持っています。

「うさぎ」 摩虎羅(マコラ)大将

・左手を腰に当てつつ、右手には斧を持った姿となっています。

「ゐのしし」 宮毘羅(クビラ)大将

・左手を腹部に当て、右手には剣を有する姿となっています。

「うし」 招杜羅(ショウトラ)大将

・右手を腰に当てながら左手に剣を持つ姿となっています。

「とら」 真達羅(シンタラ)大将

・左手に宝棒、右手には宝珠を持つ姿となっています。

「うま」 珊底羅(サンテラ)大将 

・左手を腰に当てつつ、右手には鉾を持った姿となっています。

「とり」 迷企羅(メイキラ)大将

・左手を挙げ、右手を腰に当てており、武具を手に有していない姿が特徴的な存在となっています。

「さる」  安底羅(アンテラ)大将

・兜を身に着け、両手には払子と呼ばれる法具を持っています。

「み 」 因達羅(インダラ)大将

・兜を身に着け、左手を腰に当てつつ、右手には鉾を持った姿となっています。

香薬師如来立像

香薬師如来立像は高さ75センチほどの小さな仏さまであり、かつて「香薬師堂」において安置されていた飛鳥時代の仏像のレプリカとなっています。本体は戦時中に盗難に遭い、現在右手部分のみ発見されている状況ですが、このレプリカはかつての佇まいを十分に再現したものとなっているため、白鳳彫刻の代表的作品らしく、穏やかな子供のような独特の雰囲気を十分に感じられる存在となっています。

新薬師寺本堂の風景(外観)

※堂内・十二神将像を含む仏像の撮影は厳禁となっていますのでご注意ください。

新薬師寺では、通常時は五色幕は掲げられていませんが、お正月などには本堂が五色幕で美しく彩られます。

アクセス

奈良交通バス

・JR、近鉄奈良駅から「市内循環外回り」「山村町」「藤原台」「鹿野園町」「奈良佐保短期大学」行き乗車、「破石町」下車、東に徒歩10分(新薬師寺境内まで)

新薬師寺「本堂」周辺地図