韓国の「雪」とは?降りやすい地域・特徴を知る

自然・気候

対馬海峡などを挟んだ日本の隣国「韓国(大韓民国)」は、気候の面では日本と共通する特徴(夏などは温暖多湿)を持つ一方、細かい特徴には違いも見られます。こちらでは、韓国の「雪」というテーマに絞って、その基本的な特徴を見ていきたいと思います。

全体的には「日本より雪が少ない」

韓国の「雪」を、日本の状況とざっくり比較した場合、傾向としては「日本よりも雪が少ない」と言うことが出来ます。

これは、全ての地域を平均したケースですので、日本のある地域で、韓国のある地域よりも雪が大幅に少ない場合もありますが、全体を平均して見れば、明らかに韓国の方が雪の量が少ないと言える状況です。

「極端な豪雪地」・「雪が全く降らない場所」がない

韓国の雪を考える上で重要な特徴は、主に2つあります。

1つは日本の日本海側で見られるような「極端な豪雪地帯」が存在しないという点です。

日本の場合、新潟県・山形県・北海道をはじめ、3m以上雪が積もることが当たり前のような場所が「人が住む地域」にも存在しますが、韓国では雪が多い地域であっても、そこまで極端な状況には至りません。平地での最高記録は1m前後で、山地であっても冬の降水量自体が日本の豪雪地と比べ抑えられるため、3m積もるようなことは通常考えにくいと言えます。

そもそも、韓国は中国・ロシア方面からの大陸と一続きの半島で、日本のような島国と比べ、冬は「寒冷」で「乾燥」した気候が特徴となります。

もう一つは、韓国国内であれば、頻度に差はあっても「雪が全く降らない場所」がない=どの地域でも「雪が降る可能性」自体はあるという点です。

日本の場合、南西諸島・伊豆小笠原諸島の一部には「一切雪が降らない」場所がありますが、韓国は緯度面では全ての地域が北緯30度を大きく上回り、雪が降るレベルの寒気が流れ込む地理的特徴を持つため、温暖なチェジュ島・釜山方面を含め、雪がごくまれであっても降る可能性はあります。

その意味では、日本は「極端な豪雪地」と「雪と無縁な地域」を同じ国土に持ち、韓国よりも多様な気候を持つ国と言えるでしょう。

韓国でやや雪が多い地域は?

韓国国内で雪がやや多くなりやすい地域は、主に下記の4地域です。

出典:地理院地図(一部作図の上利用)
江陵道・日本海から(北〜東側から)雪雲が入り、積雪が増える場合あり
・気圧配置のパターンは通常の「冬型の気圧配置」とは異なる
・過去の記録的大雪では、沿岸部も含め1m前後の積雪になったケースあり(通常は山地を除きそこまで積もらない)
鬱陵島・冬型の気圧配置の際に、日本の日本海側とほぼ同じ原理で雪が降りやすい
・頻度は少ないものの、過去には1m前後積もった事例も
全羅南道
全羅北道
・冬型の気圧配置の際に、特に寒気が強い場合などは雪がまとまって降る場合あり
・内陸側より沿岸部の方が雪が積もりやすい傾向
・30cm以上積もるケースはかなりまれ

「多め」は、あくまでも韓国国内で見た場合のものです。江陵道・鬱陵島はある程度「雪」の存在感があると言えますが、全羅南・北道については、相対的にはやや雪が多めでも、「体感的な意味」ではさほど雪が多いとは感じられないかもしれません。

日本の日本海側の気候に最も近いのは鬱陵島で、こちらは日本海上にある島ということで、気候は「大陸性」の特徴を持つ韓国の中ではかなり特殊な環境であると言えます。

韓国で特に雪が少ない地域は?

韓国国内で雪が「少なめ」の地域は、上記「雪がやや多い地域」を除く大半の地域です。とりわけ雪が少ない地域は、慶山南道のうち釜山(プサン)周辺、また国内で最も南側に位置する離島である済州島(チェジュ島)周辺です。

釜山周辺や済州島に関しては、わかりやすく言えば「平地の雪は東京より少ない」レベルで、雪が積もる風景自体かなりのレアケースと言えます。

ソウルの雪は?

首都であり世界的な大都市でもあるソウルは、雪はやはり「比較的少ない」地域です。

但し、ソウルは青森よりも寒い環境で、大都市としてはかなりの低温が特徴となっています。気温は真冬に-10℃前後まで下がることもある状況です。

雪が降る・積もる機会自体は多くなく、平均すれば冬の間に数回程度積もる程度と言えますが、時にに雪が積もった後は、気温次第では凍った雪が比較的長期間残ることもあり、その意味では東京・大阪などのイメージとは少し違う特徴があると言えます。なお、積もる場合でも「ごくうっすら」から「数cm程度」が多めで、「10cm以上」の大雪は一層まれな現象と言えます。

ソウルの気象台で観測された観測史上最大の積雪は約26cm(2010年)で、この点では古い時代に30cm以上の積雪記録がある東京よりも少なくなっています。

出典:気象庁「日々の天気図」(2010年1月4日9時の天気図をトリミング)

上記は、ソウルで約26cmの記録的大雪となった日の天気図です。ソウルの南側を低気圧が発達しながら進むパターンとなっています。このような天気図の場合、日本付近は比較的気温が上がる場合が多い一方、1〜2日後に急激に寒くなる(寒波がやって来る)場合が目立ちます。

韓国の雪に関する状況を知りたい

Korea Meteorological Administration
Korea Meteorological Administration

韓国国内の雪に関して実際の天気予報・状況などを知りたい場合、韓国気象庁のウェブサイトなどをご確認下さい。