気候から比較する「東京と大阪」【雨・降水量編】

自然・気候

日本最大の都市である東京と、第二の都市である大阪は気候の面ではいずれも温暖な太平洋側の気候ですが、細かい気候の特徴には違いが見られます。

こちらでは、雨の状況(降水量)というテーマから、両都市の気候の特徴について比較していきます。

平年降水量データの比較

東京の平年降水量大阪の平年降水量東京-大阪
1月59.747.0+12.7
2月56.560.5-4.0
3月116.0103.1+12.9
4月133.7101.9+31.8
5月139.7136.5+3.2
6月167.8185.1-17.3
7月156.2174.4-18.2
8月154.7113.0+41.7
9月224.9152.8+72.1
10月234.8136.0+98.8
11月96.372.5+23.8
12月57.955.5+2.4
1598.21338.3+259.9
出典:気象庁(過去の気象データ検索)

東京と大阪の降水量を、平年の数字で比較をすると、例えば以下のような特徴が見いだせます。

・東京の年間の降水量が大阪と比べ2割程度多い
・東京の降水量の多さは、8月〜10月の降水量の増加による部分が大きい
・梅雨時の雨量は東京の方がやや少ない
・冬場の降水量に大差はない

東京は「雨量の多い都市」と言えるほどの気候ではないものの、大阪と比べると明らかに差が見られます。

大阪は晴れ間が多く雨の機会が限られる「瀬戸内海式気候」に該当しますので、東京の雨量が多いというよりは、大阪の雨量が比較的少ないという意味で見ることがより現実的と言えるでしょう。

平年降水日数の比較

東京の平年降水日数大阪の平年降水日数
1月10.419.5
2月11.718.6
3月17.219.5
4月17.016.4
5月17.216.1
6月20.219.3
7月20.119.2
8月17.916.8
9月20.118.6
10月18.516.0
11月13.214.4
12月11.017.4
194.5212.0
出典:気象庁(過去の気象データ検索)
東京
「30mm以上」平年降水日数
大阪
「30mm以上」平年降水日数
1月0.60.2
2月0.40.2
3月1.00.5
4月1.20.8
5月1.11.4
6月1.61.9
7月1.61.9
8月1.41.0
9月2.11.5
10月2.31.3
11月0.80.5
12月0.40.3
14.311.5
出典:気象庁(過去の気象データ検索)

東京と大阪を「降水量」ではなく、雨が降った日数である「降水日数」で比較すると、今度は大阪の方が「単に降った日数」としては多くなります。

日数の差は、主に冬場に大きくなります。この違いは、東京は関東平野特有の乾燥した晴天(ほぼ快晴)が続きやすいのに対し、大阪も冬はよく晴れるものの、冬型の気圧配置などの影響を受け、ほぼ気づかない程度のごくわずかな降水(雨・みぞれ・雪)を観測することが若干多いことが関係しています。

大阪で冬の降水日数が多いことは、大阪で冬の降水量が多いことは意味しません。また、雨ではなく雪で降るケースについても、まれな大雪は圧倒的に東京で生じる傾向にあり、大阪はほぼ雪が積もらない地域となっています。

降水日数について、「単に降った日数」ではなく、「ある雨量以上を観測した日数」で見ると、雨量が多い東京の方が日数が多くなります。上記の「30mm以上の日数」のみならず、10mm・50mmといった基準で見ても、大阪より東京で降水日数が多くなっています。

反転する「梅雨と秋雨」

大阪よりも雨が多い傾向にある東京ですが、雨が多い夏〜秋のシーズンで見ると、大阪とは特徴が大きく入れ替わることがポイントです。

具体的には、大阪の場合「梅雨」シーズンの方が雨量が多く、東京の場合「秋雨」シーズンの方が雨量が多くなるというものです。

梅雨・雨をもたらす「湿った空気」は基本的に「西日本」側ほど多く入り込む
・結果として、東京より大阪の方がやや雨量が多い傾向に
秋雨・前線を生み出す「冷たい空気」は北日本側から入る
・結果として、距離的に近い「東日本」側、大阪よりも東京で雨量が多い傾向に
・台風の影響も重なりやすい(9月以降を中心に、台風のルートが東日本寄りになりやすい)

まとめ

東京と大阪では、東京の方が「雨の量(降水量)」は多い特徴があります。大阪と比べ東京は2割程度年間の平均的な降水量は多い状況です。

時期で見ると、梅雨時は大阪の降水量がやや多い一方、8〜10月にかけては東京の降水量が多い傾向が見られます。

量に関わらず「単に降った日数」は冬場の天気の関係上、大阪の方が多くなります。但し、これは大阪の雨量が多いことは意味しません。