東京で「最高気温40℃以上」はあり得るのか?

自然・気候

近年は温暖化の影響を体感的にも強く感じやすい時代となり、日本国内のどこかで毎年のように最高気温「40℃以上」を観測するケースが見られます。

こちらでは、「40℃以上」の気温について、東京で観測されるケース・観測される可能性というテーマに絞って考えていきます。

観測事例は?

東京都内では、過去に最高気温が40℃以上となったケースが既にあります。

その記録は「1回だけ」であり、具体的には青梅市の青梅アメダスで「2018年7月23日13時29分」に「40.8℃」の最高気温を観測した事例があります。

2024年現在、これ以外の地点・日付で最高気温40℃以上の事例はありません。

地点最高気温記録観測日
青梅40.8℃2018年7月23日
練馬39.6℃2018年7月23日
東京39.5℃2004年7月20日
八王子39.3℃2020年8月11日
府中39.2℃2024年7月8日
羽田38.2℃2013年8月11日
江戸川臨海38.0℃2004年7月21日
小河内36.2℃2002年8月11日

最高気温記録が39℃未満の地点を見ると、羽田・江戸川臨海は海に隣接した場所であり、小河内は標高500m以上の山間部であるという特徴があります。

風から考える

最高気温が40℃以上になるような状況、またその発生可能性は、その場所の地形・標高などの条件に加え「風」が非常に重要です。

東京都の場合、大まかに言えば北関東の方角から流れ込む「陸風」と、東京湾・相模湾の方角から流れ込む「海風」がせめぎ合うような環境です。

陸から吹く風は、湿度が低く乾燥した傾向を持ち、昼間に地上付近が「熱せられる」効果がそのまま反映されるため、「熱風」とも言える風として吹きます。

海から吹く風は、湿った空気である一方、海水温は1日の変化に乏しいため、昼間の温度が比較的上がりにくく、少なくとも「陸風」と比べれば熱風とは言えません。

具体的には、都内の南側や、東京湾に近いエリアほど「海風」の影響を受けやすい特徴があり、気温上昇がやや抑えられます。40℃以上の気温を観測した青梅は、都内では内陸側で海から遠い地域のため、海風の影響が限定的となり、極端な暑さとなったことが推定されます。

23区内の状況は?

東京都内のうち特別区(23区)内の観測地点では、過去に最高気温40℃以上となった事例はありません。

23区内は、地域ごとに気温差が生じやすく、大まかには海風の影響を特に受けやすい東京湾沿いほど気温上昇が抑えられ、内陸側の一部(特に練馬・板橋方面)ほど気温が上がりやすい特徴があります。

最も気温が高い練馬アメダスでは、過去に39.6℃の最高気温観測事例があり、今後の状況次第では40℃以上の気温が観測される可能性は十分に考えられます。一般論として見れば「時間の問題」と言える状況でしょう。

また、「東京」の観測地点(北の丸公園・2014年まで大手町)でも、過去に39℃台の観測記録があります。海からそれほど遠くない場所であっても、高層ビル群に囲まれたような場所では海風の影響が抑えられ、気温が上がりやすい場合があります。

一方で、羽田など直接海に隣接する場所については、過去の最高気温記録に39℃台はありません。現在の温暖化傾向をもってしても、沿岸の観測地点で40℃以上の気温が観測される可能性はまだかなり低いと言えるでしょう。

まとめ

東京都内では、過去に青梅の観測地点で40.8℃の最高気温記録があります。それ以外では気象庁による40℃以上の気温観測記録はありません。

東京都は、陸側から吹く乾いた熱風と、海側から吹く湿った風(熱風とまでは言えない)がせめぎ合う環境です。

陸風の影響を受けやすい内陸側・多摩側では気温が特に上がりやすく、海風の影響を受けやすい東京湾沿岸などは、気温上昇が抑えられる傾向にあります。

23区内で40℃以上の気温を観測した記録はありません。但し、練馬などの観測地点では、既に40℃近い気温を観測した事例がありますので、今後は「時間の問題」と言えるかもしれません。