東京の「7月」と「8月」どちらが暑い?

自然・気候

こちらでは、夏真っ盛りの時期である「7月」と「8月」について、東京の状況を基本として「どちらが暑いのか」というテーマから見ていきます。

データから見る

平年値

平年値平均気温平均最高気温平均最低気温
7月25.7℃29.9℃22.4℃
8月26.9℃31.3℃23.5℃

上記の平年データは、東京の観測地点における数字です。7月と比べると8月の方が気温がやや高いことがわかります。

なお、7・8月の気温差自体は同様の傾向ですが、この数字は1991年〜2020年の平均的な数字を示すものであり、近年の気温上昇傾向からするとやや低めの数字と言えるため、実際の数字とはやや違って感じられやすいと言えます。

気温推移の一例

7月平均気温(℃)8月平均気温(℃)気温差
2015年26.226.70.5℃(8月が高い)
2016年25.427.11.7℃(8月が高い)
2017年27.326.40.9℃(7月が高い)
2018年28.328.10.2℃(7月が高い)
2019年24.128.44.3℃(8月が高い)
2020年24.329.14.8℃(8月が高い)
2021年25.927.41.5℃(8月が高い)
2022年27.427.50.1℃(8月が高い)
2023年28.729.20.5℃(8月が高い)

東京の観測地点が現在の北の丸公園となった2015年シーズン以降の数字(2023年まで)を見ると、平均気温の状況は上記の通りです。年によって気温の状況は様々です。

区分

平成以降のデータをまとめると、気温の状況は下記のように区分されます。

8月の平均気温>7月の平均気温26回/36シーズン
7月の平均気温>8月の平均気温10回/36シーズン
両月ともに同じ平均気温1回(2002年)
最大の気温差4.8℃(8月が高い・2022年)

各種データが示す通り、8月の平均気温が高い年の方が多くなっています。但し、7月の平均気温が高い年も4分の1以上あり、さほど珍しい現象ではありません。気温差は年によって様々で、同じような気温となる年もあれば、上記の通り最大5℃近い差が生じる年もあります。

気温差をもたらす要因

8月が暑くなるケース

一般的な、7月と比べ8月の気温が高いケースは、気温差が大きいほど、7月中に「梅雨前線」の影響を受けているケースが多くなります。また、梅雨前線に加え、オホーツク海高気圧と呼ばれる冷たい空気を持った高気圧の影響を受けているケースもあります。

また、8月には太平洋高気圧に広く覆われ、晴れの日が続きやすいケースが目立ちます。

7月が暑くなるケース

ややまれな、7月の方が8月と比べ気温が高いケースでは、梅雨明けが早く、7月中に「太平洋高気圧」の影響をより大きく受けている場合が目立ちます。

また、8月には湿った空気・秋雨前線などの影響を受け、天候不順の傾向になっているケースもあります。

その他

両方とも気温が高いケースは、梅雨明けが早い上に、太平洋高気圧に一貫して広く覆われているケースが当てはまります。また、両方とも気温が低いケースは、夏を通して梅雨前線・秋雨前線などの影響を受けやすい場合や、オホーツク海高気圧の影響を受けやすい場合が当てはまります。

温暖化傾向に伴い頻度は大きく減っていますが、東京を含む東日本は、西日本と比べオホーツク海高気圧の影響を受けるケースがやや目立ちます。

一般的な傾向(日本全体)

日本全国で見た場合、気温の傾向は東京に近い場所が目立ちます。すなわち、7月と8月を比べると、少しだけ8月の方が平均気温が高い地域が多くなっています。

気温差は、「海沿いの地域」で大きく、「内陸側」でやや小さい傾向にあります。これは、海水温は大気の温度と比べ上がるペースが遅いため、8月の方がより高く、その状況が海沿いの気温にも反映されることによるものです。例えば関東地方では「銚子」などの海洋性の気候を持つ地域では、8月の平均気温は7月と比べ2℃程度も高くなっています。

但し、国内を見渡すと例外もあります。具体的には沖縄地方(南西諸島)では、平均気温は7月が8月よりもわずかに高くなっているケースもあります。これは、7月は太平洋高気圧に広く覆われ晴れが続きやすい気候であるのに対し、8月は台風や湿った空気の影響を受けやすく、晴れ間がやや減る傾向にあることなどが関係しています。