日本同様に「島国」である一方、南半球に位置するため季節は逆転している「ニュージーランド」。気候は日本ほどはっきりした四季はないものの、南側の地域ほど季節ごとの違いが大きくなる特徴があります。
こちらでは、ニュージーランドの気候のうち「雪」について、その基本的な状況を見ていきます。
基本中の基本
ニュージーランドは、雪が降ることがある国です。但し、その地域差は極めて大きく、世界的な豪雪地と言える場所もあれば、雪が事実上全く降らないような場所もあります。
具体的には、ニュージーランドは、「北島」と「南島」の2つの大きな島に分かれており、それぞれで雪の傾向は大きく異なります。
また、海に囲まれているという点は、日本と同じ地理的特徴を持ちますが、南半球には日本の冬で見られるような「大陸からの寒波」が押し寄せる条件は存在しないため、実際に雪の降る条件・降る傾向には大きな違いがあると言えます。
北島の雪
ニュージーランドのうち「緯度が低い」側にあたる「北島」は、国内では温暖な気候が特徴です。そのため、雪が降ることが少なくなります。
平地では、雪は実質的にほぼ降らないか、南島に近い側でごくまれに降る程度で、生活との関わりはほぼありません。例えば、最大の都市であるオークランドは、冬らしさに乏しく、真冬でも平均の最高気温は15℃程度と、それほど寒くなりません。
例外として、2011年7月下旬に北島の平地でもしっかり雪が積もる、降るような暴風雪に見舞われた事例がありますが、そのような現象は、歴史的なスケールで見てもまれなものです。
但し、北島には南島ほどではないものの、標高がかなり高い山岳地帯もあります。ルアペフ山(標高2,797m)やタラナキ山(エグモント山・標高2,518m)では大量の雪が降り積もり、ルアペフ山の側には、スキーリゾートもあるなど、雪が豊富な場所も一部ながら存在します。
南島の雪
北島とは異なり、南島側は「雪」との関わりが大きくなります。
南島は、西海岸に沿う形で「南アルプス」と呼ばれる巨大な山脈があり、この山脈一帯(標高が高い部分)は、相当な豪雪地帯と言えます。西側の海上から流れ込んで来た雲は、山地にぶつかって地形の影響で局地的に大量の雪を降らせます。
山脈の一部には、日本では見られない巨大な氷河地帯が存在し、世界的な観光地としても知られています。
一方で、平地については、それほど雪の影響は大きくないと言えます。但し、事実上平地の雪がほぼ見られない北島とは異なり、比較的広い範囲で毎年のように積雪・降雪による影響を受ける場合があり、海沿いであっても雪が降ることがあります。なお、内陸側では山地でない場合についても、雪の頻度は次第に増加します。
主要都市の雪
オークランド(北島) | ・雪は事実上ほぼ降らない ・但し2011年など、100年単位のまれな降雪事例はあり |
クライストチャーチ(南島) | ・冬にまれに雪が降る、積もる場合あり ・頻度は少ないものの、日本で例えると「東京」程度の雪はあり得る |
ウェリントン(北島) | ・雪はかなりまれなケース ・但し、オークランドのように100年単位でまれな状況にはない ・郊外の山地などは時折雪の影響を受ける場合あり |
ハミルトン(北島) | ・オークランドと概ね同様 |
タウランガ(北島) | ・オークランドと概ね同様 |
ダニーデン(南島) | ・雪は平均すると2〜3年に一度レベル ・クライストチャーチより緯度が高い一方、雪の頻度はより少ない |
ニュージーランド国内のある程度の規模を持つ都市では、北島は特殊なケースを除き雪が降らず、南島の場合は雪が一切降らないという訳ではないものの、雪が多く降る・しっかり降ると言えるような都市は存在しません。最も降りやすいクライストチャーチでも、せいぜい「東京」レベルと言えます。