カナダの「雪」とは?どのくらい降る・積もる?

自然・気候

カナダは、北アメリカの中でも北側に位置し、緯度的にはかなり高い場所も含み、一般に「寒い気候」が特徴とされます。

こちらでは、カナダにおける「雪」について、その基本的な傾向をまとめて解説していきます。

基本

カナダについては、国土の全域で雪が降る可能性がある国です。アメリカのように、歴史的に見て一度も雪が降ったことがないような地域が存在する国とは特徴が異なります。

但し、雪の量には相応の「地域差」はあります。カナダ=寒い=豪雪というイメージはさすがに短絡的なものであり、雪がかなり多い場所もあれば、比較的少ない場所もあります。

雪が降りやすい地域

カナダ国内は、後述するブリティッシュ・コロンビア州の一部を除き、事実上全域が雪が降りやすい地域です。雪が身近な国土面積は極めて広く、寒冷なカナダのイメージと一致しています。

もっとも、雪が降りやすい=豪雪地帯という訳ではありません。頻繁に雪が降る場合でも、一度に降る量は限られており、日本の豪雪地帯のように「ドカ雪」にはならない地域も多くを占めます。

例えば、北極圏に近いような地域では、秋から春まで長期間雪に覆われる特徴を持ちますが、その際の降雪量は、日本で言えば「長野市」よりも少ない程度の数字で、ある程度降ると言っても、豪雪と言えるほどではありません。

「極寒」であれば、少量の雪が降る程度でも非常に長い期間残るため、「雪と氷の世界」というイメージになりますが、実際の雪の量はさほど多くない場合もある(例えば10cmくらいの積雪で根雪の状態が長期間続くケースも)。という点において、カナダの雪事情は「ロシア(シベリア)」に近い傾向を持つ地域も多いと言えるでしょう。

雪が特に多い地域は?

カナダで雪が多くなる地域は、非常に大雑把に言うと「東側の広範囲」・「カナディアン・ロッキー一帯」・「ヌナブト準州の一部」、概ねこの3地域に分けられます。

東側の広範囲・特にケベック州、ニューファンドランド=ラブラドール州の一部
・大西洋上を進む低気圧の影響で、一部海沿いでも雪が多くなる場合あり
・なお、多いといっても「札幌」や「青森」には及ばない水準
西側の山地・西海岸沿岸を除く山沿いはは総じて豪雪地
・太平洋海岸山脈一帯は、カナディアン=ロッキー山脈一帯よりも雪が多い
・雪の量は場所によっては極めて多く、世界で最も多い水準の地域も
・人が住む地域が少ないため、影響は比較的小さい
北側(ヌナブト準州)の一部・主にバフィン湾、グリーンランドに近い側で雪が多い
・気温が低いため、降る量に対し積もる量が多い特徴

単純な雪の多さでは、太平洋海岸山脈周辺が圧倒的な豪雪地で、積雪数m水準もあり得ます。それ以外については、一部で1m以上積もることはありますが、主に人が住む地域の場合、最大1mに満たない年も多いと言えます。

「生活への影響」という意味で見た場合、日本の豪雪地帯と比べると、その影響は人口比率の面からはやや限定的と言えるかもしれません。

雪が少ない地域

カナダで雪が少ない地域は、西海岸(太平洋)沿いの地域(ブリテッシュ・コロンビア州の一部)のうち、主に南側の標高が低い場所です。

バンクーバー及びバンクーバー島一帯などは、降っても「雨」の場合が多く、雪となるケースは一部に限られます。バンクーバー市街地では、年間の積雪日数は10日未満であり、積もってもすぐに解けてしまいます。

降雪量で見ると、仙台市より雪が少なく、東京よりはある程度多く、岐阜市と同じくらいの状況(年間平均降雪量30cm台程度)となり、寒冷なカナダのイメージからすると、かなり雪が少ない環境と言えます。この水準は、ニューヨークで降る雪の量も下回っています。

但し、このような特徴を持つ地域は、あくまでもカナダ国内ではごくわずかな面積です。大半は「雪がより身近」な環境となっています。

主要都市の傾向を知る

カナダ国内の人口上位10都市について、大まかな雪の傾向を見ると、下記の通りとなります。

都市(人口上位10都市)雪の傾向降雪量
トロント・時折ある程度積もる
・雪が降る期間は11月〜4月(主に前半)頃
・途中で解ける場合も多い
122cm
モントリオール・トロントなどと比べ雪が多い(降る期間はほぼ同じ)
・根雪が一般的で、降る期間も長い
・時にまとまった量の積雪も
217cm
カルガリー・寒さの割には雪がそれほど多くはない
・20cm以上積もるケースはまれ
・気温は低いため根雪になる
・降る期間は5月、9月なども一部見られるなどかなり長い
139cm
オタワ・トロントより多く、モントリオールよりやや少ない水準
・雪が降る期間はトロントなどとほぼ同じ
・30cm以上積もることはまれ
184cm
エドモントン・カルガリーに似た特徴(寒さの割に雪が多くない、降る期間は長い)124cm
ミシサガ・トロントとほぼ同様115cm
ウィニペグ・カルガリー、エドモントンに似た特徴126cm
バンクーバー・雪はカナダの主要都市で「圧倒的に少ない」
・気温も温暖で、冬でも「雨で降る」ことが多い
・雪が全く降らない訳ではないが、日本で例えれば岐阜市並み程度
37cm
ブランプトン・トロントとほぼ同様115cm
ハミルトン・トロントとほぼ同様118cm
降雪量出典:Environment and Climate Change Canada

人口の多い都市では、バンクーバーを除き100〜200cm程度の場所が目立ちます。もっとも、人口がこれより少ない都市に目を向けると、更に降雪量が多い都市は存在します(ケベック・シティーなど)。

まとめ

カナダは、「国土の全ての地域」で雪が降ることがある国です。

雪は大半の地域で「ある程度」降ります。但し、日本の本格的な豪雪地帯のような場所は限られます。

雪が多めの場所は、ケベック州など東側の一部・西側の山地(海岸山脈など)・北側(ヌナブト準州)の一部です。

雪が明らかに少ない地域は、バンクーバーなどブリティッシュ・コロンビア州の標高の低い沿岸部のみとなります。

人口規模が多い都市では、モントリオールの雪が比較的多くなっています。カルガリーなどより寒冷な地域が、必ずしもより雪が多いという訳ではありません。