香港で「雪が降ったことがある」というのは本当?

自然・気候

中華人民共和国の特別行政区(1国2制度)である「香港特別行政区」は、気候としては一般に「亜熱帯」に位置づけられ、1年を通して温暖な地域です。

他方、冬に中国大陸側からまれに「寒気」が流れ込むことがあり、そのようなケースでは、香港でも気温が10℃を下回るようなケースがあり、過去には「雪」が降ったという歴史もあるとされます。

こちらでは、一見イメージ出来ない「香港と雪」について、その実情を見ていきます。

大前提

香港は、雪が降ることは基本的に「ない」地域です。

同様に雪が実質的に降らない「沖縄(本島)」で極端にまれに雪が降る可能性と、香港で極端にまれに雪が降る可能性を見た場合「平地」であればほぼ同じ程度です。すなわち、「世紀単位」でまれな現象となっています。

但し、香港の場合標高が500mを大きく上回る山地があり、最高峰の大帽山は「957m」もの標高があります。そのため、沖縄と比べて山地の気温が低くなることで、雪が見られる機会が「ごくまれな中」では若干多くなると言えます。もっとも、その頻度は平均すれば100年のうちに10回あるかどうかといった程度に過ぎません。

過去の雪の記録

2016年1月24〜25日(新界一部)

西日本を含むアジアの広範囲が「世紀レベルの大寒波」による異常低温となったタイミングで、香港では市街地でも3℃台まで下がり、大帽山で-6℃という気温(観測史上最低レベル)を観測しました。

山地や深セン市に近い新界の一部では、あられ・みぞれなどが降ったという目撃情報がありました。

2014年2月10日(大帽山)・2005年1月1日

2014年2月10日には大帽山山頂付近で、みぞれが降ったとされます。2005年1月1日の記録に関しては詳細不明です。

1975 年12月14日(新界の山地)

大帽山・飛鵝山の山頂付近などで純粋な「雪」が降りました。香港でみぞれではなく「雪そのもの」を記録した最後のケースとなっています。

1971年1月29日(大帽山)

大帽山山頂付近で、霧の中でみぞれでなく「雪」が舞った記録があります。

1967年12月13日(大帽山)

大帽山山頂付近で、ごくわずかに雪が舞った記録があります。但し、当時の気温は6〜7℃台であり、かなり高い気温降ったことになります。

1967年2月2日(香港島)

香港島の南東側に位置する「歌連臣角懲教所」で、雪が舞った記録があります。但し、当時の気温は8〜9℃台であり、気象学的に見た場合、相当まれな事象として生じたと考えられます。場合によっては、あられ・ひょうなどの見間違えである可能性もあるかもしれません。

なお、新界側ではなく香港島側で雪となった記録は、この記録が最後となっています。

1893年1月中旬(平地で積雪)

最も極端な記録は、1893年の歴史に残る異常な大寒波による雪です。

このケースでは、山地では大量の積雪に見舞われ、香港島を含む平地であっても雪が降り、積もったとされています。香港天文台では、最低気温0.0℃(観測史上最低)を記録しているため、確かに雪が積もっていてもおかしくはない気温となっています。

出典

Last time it snowed in Hong Kong
Last time it snowed in Hong Kong WONG Tak-kan Hong Kong's climate is sub-tropical, tending towards temperate for nearly ...
天文台網誌

雪に関する記録は、香港天文台の著述した記事などで確認することが可能です。